日記: 9月30日(2019年)

 我が家の水道管に穴が開いたため、その対応に半日ほど忙殺させられた。

 ことの顛末はこうだ。

 去る日曜日のこと。実家でぬくぬくと暮らしていた私の携帯電話に、見知らぬ番号からの通話が受信された。

 「なんだろうか」と思いつつ電話に出てみると、それがマンションの管理会社からの、水漏れ事件の第一報だった。

 曰く、「5階で水漏れが発生した。直上の6階、7階を調べたが、そこでも上から水が漏っているようだった。そして9階を調べたが、そこでは異常がなかった。ゆえに、8階のあなたの部屋が怪しいのであります(どーん)」

 なんということでしょう。
 
 しかしその時私がいたのは、自宅から遠く離れた実家。時間的にその日中に対応することはできそうもなかった。そこで取り急ぎこれ以上の漏水を止めるために、漏水箇所と推定されるお湯系統の元栓を、すべて閉めておいてもらい、翌日に本格的に対応することとなった。

 そして翌日。

 水道工事という金科玉条を振りかざし、まんまと早退を勝ち取った私は、悠々と自宅で管理会社と工事業者とを待ち受けた。

 やがて定刻通りに我が家へとやってきた彼らは、早速原因究明に取り掛かった。

 下階の様子から、漏れているエリアはおおむね特定できているので、脇目も振らず一直線に洗面台に向かった。

 そこで取り出だしたるは、「携帯型胃カメラ」のようなもの。大きさや形状は、おおよそロボット掃除機ルンバと同じ。円盤形の機械になっており、中央にはモニターが、外周部には胃カメラ線がぐるぐると巻かれている。

 そのカメラを洗面台下の点検口から床下に突っ込み、そこの様子を観察するところから調査は始まった。

 給湯器からくる水道の2つの系統のうち、洗面台系統の水道管をまずチェックしているらしい。

 ここで異常が見つかればよし。点検口もあるのでイージーモード。すぐに工事開始。

 という皮算用だったようだが、そうは問屋が卸さなかった。ここに異常は見当たらなかったのだ。

 となると・・・ハードモードだ。そこからさらに風呂場のほうへ延びる、もう1系統の水道管が容疑者ということになる。

 もうそれしか選択肢はないようで、確信に近い語調でその工事について説明された。

 「つきましては、その工事のために・・・洗面台をわきにのけて、その下と横の床と壁を斬ります。はい、斬りますとも(ニタァ)」

 ・・・ワォ。

 ギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインンンンンンン!!!!!

 静かな平日午後のマンションに、突如響き渡る電動ノコギリの破壊的サウンド。音もすさまじければ、振動もなかなかのもので、少し離れて観察していた私の足の裏にまでその振動は響いてきた。

 その凶暴さを余すところなく発揮した電動ノコギリは、頼もしいばかりに着実に床板を切り裂いてゆき、やがて40cm四方ほどの床板がぽっかりとくりぬかれた。床板は結構分厚い木材でできていて、イメージとしてはマンホールが外れたかのような感じだった。厚さにどこか頼もしさや安心感を覚えた。

 そしてその状態で再び胃カメラを挿入してみると・・・。

 も、も、も、漏れてたー!!!

 洗面台下から風呂場の壁面へと続く水道管の、ちょうど水平移動から垂直移動に代わる部分のL字の部分、そこから水がピューっと噴き出しているのが、胃カメラのモニターに克明に映し出されたではないか。

 イメージとしては、ビニール袋に水を入れて、そこに針で穴をあけた時の感じだ。ああいう感じに、ピンホールからピューと水が、弧を描いてスプリンクラーのように出続けていた。

 水漏れってもっとおしとやかにしっとりと湿っていくものかと思っていたから、そのあまりの元気小僧っぷりには驚いてしまった。これは水漏れというより、水撃ちって感じだよ。

 そして自宅の専有部分に本当に水漏れがあったことを確認して、残念なような、でも謎が解けてほっとするような、不思議な気分にも、襲われた。

 さて、患部は縦横のL字部分なので、床板だけではなく、壁板も切り抜かなければ、工事にアクセスできない。

 そこで床板の時と同じようにして、壁面もくりぬかれ。こちらは素材が石膏ボードかなにかの、切断が容易なものだったようで、作業はあっという間だった。

 そして事がここまですすめば、あとは簡単だ(いや、作業は大変なんだろうけど。不明点はなくなった)。

 問題のL字状の水道管を取り外し、新しい水道管に付け替えた。元々ついていた水道管は銅製のものだったけど、新しいものは樹脂製と思しきものだった。これでええんかね? と思ったけど、詳しそうな知人の言ではこれでよいらしい。

 そしてくりぬいた床板と壁板とを元に戻し、それを覆い隠すように洗面台を置きなおして、おおよそ作業は完了した。

 かかった時間はきっかり2時間。

 あとに残ったのは、他人が長時間自宅に居座るという気疲れと、そこかしこに残る作業の汚れと、そして15,000円の請求書だった。

 あー、なんにもしてないのにエライ疲れた。まぁ、これで後顧の憂いは断てたからいいとするかな。

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