1つは料理をする人で、もう1つは料理をしない人だ。
このうち料理をするようになる人は、一時期、妙に料理にこだわるようになったりして、特に自分の好きな料理の分野に関しては、特殊な調理道具や調味料までも揃えて、やらた凝った真似をするようになったりする。
こういう道具にこだわるような話は、特に男性に多く聞く話のように思う。おそらく男のほうが料理という分野に多くを期待されていないだけに、逆に少しでもネタがあればあけっぴろげに話しやすいのだろう。期待されていない立場の強みがある。しかしそれだけに独身男性の料理自慢というのは、どこか独り身の悲哀を感じたりもする。
さて、私はというと、かなりこれらが当てはまってしまう。とりわけ自分の好きな肉料理などは、グリル、ロースと、煮込み、炒め、揚げと、一時期いろいろとやってみたりしたものだ。今でもディープフライヤーのような調理器具に、突然手を出したりしている。
今ではそんなに凝った真似はしなようになったものの、それでも自炊をするときにはもはやレシピは不要で、適当に目分量で調理して、名もないオリジナル料理を作るくらいのことは、普通のことになっている。それで大きく失敗することはほとんどない。ぱらぱらチャーハンもできるし、フライパントントンで木の葉型のオムレツだって作れる。
「料理できるの」と問われたら、即答で「できる」だ。
そんな私なんだけど、実は苦手な料理がある。それは、包丁を使うこと、だ。
特に果物の皮を剥くようなことが一切できない。肉を適当に切る、くらいのことはもちろんできるけど、皮を剥くような細かい作業ができない。かつら剥きなんてもってのほかだ。理由は単純で、皮を剥く必要のある食物を、ほとんど食べないからだ。正直、向こう10年にわたってりんごを食うな、にんじんを食うな、と言われても痛くもかゆくもない。ジャガイモは・・・いいさ、皮ごと食うさ。
でも、果物を食べたいわけではないのに、ある日突然、果物の皮くらい剥けるよな人間になりたいよな、と思ってしまったのだ。
・・・いや、わかってるよ。全然たいしたことないことを言ってることはわかっている。でもとにかく、ある日私はそう思ったのだ。りんごや梨の皮を剥く練習をしよう、と思ったのだ。
でも、ただ練習をはじめるとなっても、りんごや梨を食べたいわけでもないのに、モチベーションを保てるか不安だった。
そこで思い出したのが、今までの料理経験だった。今まで、フライパンを買ったり、圧力鍋を買ったりすることが、新しい料理への活力になってきた(もちろん今までの場合、それ以上に食欲があったわけだけど)。それに倣って、今回はナイフを買うことを皮むき練習の活力としようじゃないか。
前置きが長くなったけど、それで今回購入したのが、上掲の写真のナイフセットだ。
スイスアーミーナイフ(十得ナイフ)でおなじみ、ビクトリノックスのぺティーナイフ&パーリングナイフセット。なんとお値段たったの1400円というコスパのよい商品にした。
手にしたそれは、かなり安っぽい感じのぺらぺらの刃と、スカスカのプラスチックの柄でできた極々軽量なナイフだった。しかしそのつくりの頼りなさとは裏腹に、ためしにこれを使って梨を切って、皮を剥いて食べてみたところ、なかなかに使いやすいナイフだった。私の技量ゆえのぎこちなさを除けば、値段によらず使いでのあるもののように思えた。小型軽量低価格なので、アウトドアに持っていくのにも良さそうだ。
この秋冬は、これでりんごや梨をデザートにしていくことにしよう。うむうむ。
私も愛用包丁の1本はビクトリノックスです。かぼちゃや厚めの肉等を切るのには頼りないので、もっぱら皮むき・千切り用ですが。
ただ、皮むき目的なら「ピーラー」が最近はいろいろ種類もあって便利&楽しい。
包丁でするするむけるのは格好いいけど、法事で手伝いに来てくれた近所のおばちゃんがりんごの皮をうちにあった安物のピーラー使って、ものの数秒で丸裸にしてるのを見たときはカルチャーショックというか、価値観をかなり揺さぶられたよ。
さすがにピーラーを使えば剥ける!
しかし今回は剥きたいのではなくて、剥けるようになりたいのだ。
木陰で大樹に寄りかかりながら器用にナイフを使って果物を食う
さすらいの旅人を演じたいのだ。ピーラーじゃ絵にならない!