今まで使っていたのは、棒状の持ち手のついたいわゆる北京鍋。そして今回買ったのは、写真のような両側に耳のついた広東鍋だ。
今までの北京鍋は20年近く使ってきていて、雑に手入れをしていたこともあり、孔食がぽつぽつ目立つようになってきた。別にまだまだ使おうと思えば使えたとは思うのだけど、常々北京鍋ではない広東鍋というものに興味があったから、これを機に思い切って買い替えることにした、という次第だ。
TVやYouTubeで中華料理人の調理風景を見ると、かなりの確率で北京鍋ではなく広東鍋を使っている。その姿にあこがれ・・・てはいないけど、広東鍋なるものがどういった具合なのかを、一度は自分で使ってみて知りたかった。鍋なんてせいぜい2000円くらいのもの。テーマパークに行くよりもはるかに安い。それで体験が買えるなら、たとえ使いこなせず、すぐに捨てることになったとしても、安いものだ。
そんな判断で購入に踏み切ったわけなんだけど・・・はじめは難しかった。
そもそも論として、広東鍋は中華料理屋の専用コンロありきの鍋だ。わかってはいたけど、家庭用コンロと専用コンロとの間にある溝は深かった。
1番違うのは火力・・・ではなくて、五徳の堅牢さと防火壁性能だ。
まずは堅牢さの問題。中華料理屋の動画を見てもらうのが一番早いけど、広東鍋を専用コンロで降るときには、五徳の上に鍋を載せたまま、ごりごりと滑らすように鍋を振る。フライパンのように持ち上げるわけではない。このスライドさせてもびくともしない五徳が、家庭用コンロにはない。
さらに防火壁性能の問題だ。専用コンロの堅牢な五徳は、コンロから出る炎を五徳の手前側にもたらさないようにシャットアウトする機能も担っている。これがあるからこそ、炎で手が焼かれる心配なく、広東鍋の短い耳をつかみにいけるのだ。家庭用コンロで同じようなアクションを取ると、炎が手に近すぎて熱い。食材の前に手が焼ける。
購入した直後は、これらの現実に直面して軽く絶望した。使えるのか、これ? と。
でも少しずつ慣れてきて、購入から1カ月たった今、やっと上手く使えるようになってきた。
まず堅牢さ問題。これは我が家の古いコンロは、少しだけ最近のスタイリッシュコンロよりは堅牢な作りだったので、五徳の一部を専用コンロの縁に見立てて、ごりごりとスライドさせての鍋返しができるようになった。人間、練習するとできるもんだな、と自分で自分に感心した。五徳の耐久性が心配ではあるが。
次に防火壁性能の問題。これはどうしようもないね。「1)炎の大きな最大火力にせず、炎が手に届かない中強火程度で使う」「2)鍋をつかんでいるときは、鍋を少し手前に引いて持ち手から遠い側2/3に炎を当てるように使う」という消極策しか解決方法はなかった。今回は30cmの中華鍋を買ったけど、つかむ箇所が熱い問題を考えると、33cmや36cmのほうが炎が遠くてよかったかもしれないな。多少重くなっても、ごりごりスライド法ならあまり重さは関係ないし。
そんな現在の広東鍋の評価はというと・・・。
結局のところ面倒が増えただけで北京鍋のほうが良かったんじゃないか? という気がしないでもない。正直なとこね。でも、確かに上で挙げたような使いにくいところもあるんだけど、それ以外のいいところだってちゃんとある。
まず収納の問題。柄が短いので、場所を取らない。
バランスがいいので、家庭用コンロの上でも安定している。
北京鍋より広東鍋のほうが浅いので、食材が薄く広がりやすく、炒めやすい。ま、これは誤差だけど。
そしてなにより、なんとなく難しいことをしているという自己満足に浸れる。これは料理モチベ的には大きい。料理のエンタメ感が上がる。
ってことで、トータル的にはプラマイゼロの評価というところかな、今のところは。でも、マイナス部分は使いこなすにつれて目減りするタイプの内容で、プラス部分はずっと残っていくタイプの内容だから、時間経てば経つほどだんだんプラス評価が優勢になっていくと思われる。
少なくとも数年はこれで炒め物をしていく所存だ。
あとはまあ、サイズかな。一回り大きいのにすればよかった、とは思っているよ。



