日記: 10月21日(2008年)

 私は、懐かしい物事をふと思い出したかと思うと、突然インターネットで検索しだすという病気を持っている。インターネット依存症なうえに、調べ物が好きで、比較的懐古主義という性向がそうさせるのだろう。

 で、今日も今日とて、突然、昔何度か立ち寄ったことのあるラーメン屋のことを思い出して、一心不乱に検索してしまった。

 そのラーメン屋は、福生にある「一番」というラーメン屋で、初めて立ち寄ったのは、秩父方面へのプチツーリングにいった帰り道だったと思う。当時はゼルビスに乗りたての頃で、半ばおどおどしながら、テキトーに田舎っぽいほうに走っては、すぐに引き返すような、意味のわからないぶらり旅を楽しんでいた。秩父方面といえば聞こえはいいけど、要するに「なんとなく北西に進むツーリング」の帰路だ。

 その店「一番」は、この世のものとは思えない小汚い店で、明日閉店になっても疑わないほどに、死兆星がキラキラと眩しい店だった。なぜそんな店に入ったのかは、今となっては定かではないんだけど、一種の冒険心だったのだろう。若気の至りと言ってもいい。

 ところが、そこで食った豚骨ラーメンは、これまたこの世のものとは思えないうまさだった。

 当時の私は今ほどラーメンが好きでもなくて、ラーメンのジャンルなども、「醤油」「みそ」「塩」程度の認識。豚骨ラーメンといえば、昔横浜に出没していた頃に食った家系(などという認識も当時はなかったけど)の、太麺の豚骨醤油を食べたことがあるくらいで、それさえも「ラーメンのような食べ物」のような認識だった。どちらかといえば豚骨=「スーパーカップ1.5倍」というレベルかもしれない。

 そんな私がここで受けた衝撃は筆舌に尽くしがたい。多少、ツーリング疲れや空腹がプラスに働いたんだろうけど、それを補って余りある、クリーミーな豚骨スープのうまさだった。

 帰宅した当時の私は、早速そのラーメン屋について検索するも、あまり情報が多くは得られなかった。まぁ福生という、言っちゃ悪いけど僻地の一ラーメン店について、そうそう詳らかには情報は乗っていなかったのだ。それでもその検索のさなか、同名の同系列店が八王子市内にもあることを突き止め、この八王子店は、以後の甲州方面、富士山方面へのツーリングの帰り道には、決まって立ち寄る店として、私の生活に深く根づく店となった。私が各地でラーメンを食うようになったのも、この頃からのように思うから、ある意味、我が健康の宿敵といえるのかもしれない。

 しかし、それからもうかなりの年月が過ぎた。

 福生店、八王子店ともに、風の噂で潰れたと聞いたのももう数年前だ。今、ツーリングの帰り道の定番ラーメン屋は、同じ八王子市の「NAGAHAMAラーメン」になっている。これはこれで大好きだけど、でもちょっと「一番」とは違うんだよね。思い出に美化された部分もあって、未だに東京都最強の豚骨ラーメンは、私の中では「一番」のままだ。

 で、やっと冒頭に戻るんだけど、検索。この「一番」について、かつて検索しても、ろくに情報の得られなかった「一番」について、より情報の充実した現在になって、再検索をしてみたのだ。

 すると驚くべきことに、色々な情報が引っかかった。ラーメンという大衆食が、むやみにもてはやされだしてから久しいけど、そのおかげでラーメンに関する情報も、加速度的にオンライン上に蓄積されているようだ。

 そのなかでも、私を一番驚かせたことは、「福生一番系」とでもいうべき、懐かしの「一番」の味を受け継いだ店が、まだまだ東京西部~埼玉西部にかけて、多数現存しているという情報だ。「一番」は営業力・経営力が底抜けに不足していたようだけど(店の汚さだってそうだ)、味のほうはやはりそれなりにファンがいて、弟子もいたに違いない。オリジナルが失われているとはいえ、クローンがまだ存在しているというのは、非常に有益な情報だ。

 もう忘れつつあるあの味を、もう一度味わえるかもしれない。食べてみたら、「あ・・れ・・? そんなでもないな」ってなる可能性もなきにしもあらずだけど、でもやはり相当興味をそそられる。

 ってことで、今週末。予報によれば土曜は雨のようだけど、晴れていたら系列店のどこかへ食いに行くかもしれないし、行かないかもしれない。なんだか、古い友人の消息をオンラインで見かけたような、妙なむずがゆさと、興奮を覚えるよ。ふふ。

日記: 10月21日(2008年)」への2件のフィードバック

  1. teltel

    昔大好きだったみたらし団子屋(それこそ、バラックというか固定式屋台というかそんなみせだった)を20年近くたって、その娘夫婦が受け継いでやってたのを知った時はうれしかった。
    味は微妙に違う・・・でもまぁ他の団子屋とは比べ物にならないうまさだった(主観がかなり入ってますが)
    さて、いま親父さんの体調が悪くて、もうながくなさそうなラーメン屋があります。娘は隣町でサラリーマンの奥さんで、奥さんとは離婚済み。私が通ってる10年来、弟子らしき人はいなかったきがする。。。がんばれ親父!

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  2. Nez/蝿

    そこでteltelさんがラーメン屋の跡を継ぐんだ。

    ラーメンといえば、袋インスタント麺の味も、
    微妙に変わっていってる気がしてならない。
    むかしのチャルメラはうまかった・・・ような・・・。

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