日記: 1月22日 (2004年)

 駅の売店、おなじみのキヨスクが変わっていた。

 キヨスクと言えば、取り扱い全商品の値段を、どうみてもタダのおばさんにしか見えないような店員さんが完璧に(例外はあるが)記憶していることに、私としては率直に尊敬の念を持っていて(これ言うと毎回「仕事なんだから普通だろ」といわれるけど)、商品を取って見せた瞬間に「はい、○○円です」と言ってくれることの利便性、売買成立までに要する時間の短さを高く評価していた。いわば、駄菓子屋的利便性、とでもいうべき良き伝統。「パッ、サッ、パッ」のリズムでことが済むのである。

 ところが、今日駅へ行き、何気なくキヨスクをみると、こんなことが書かれたシールが貼られていた。

 「本日よりレジで会計を行います」

 記載の通り、キヨスクの狭い店内に、今まではなかったレジスターが置かれている。どうやらスーパーやコンビニのような、レジスターを使っての会計が、本当に行われるようだ。

 さて、しからばレジ会計なるものの効率や如何に、と思い、しばらく観察していると、新聞を買うサラリーマンや、ガムを買う青年が、いちいち商品を取って店員に見せ、店員がその価格を慣れない手つきでレジスターに打ち込み、しかるのちにやや慌てた表情を浮かべながら代金を受け取り、受取金額を再びのろのろとレジスターに打ち込み、必要に応じてはお釣りなどを計算し、ようやっとレジより吐き出されたお釣りとレシートを客に渡す、という今までの簡便・単純なる駄菓子屋的会計法とはうってかわった、非常に迂遠にして長大なる手順を経て、商取引を成立させているのだ。

 うぬぬ。こうした方法を採ることにより、一日の売上げの集計等が効率的になるのはわからんでもない。わからんでもないが、キヨスクの「パッ、サッ、パッ」のリズムを愛する私としては、少し残念というか、淋しいというか、そんな気分にさえなるのであった。

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