日記: 7月20日 (2006年)その2

 20日の日記(というか嘆き)と前後するけど、19日分として日記を挙げておこう。

 ここ2日間の最大のニュースはやっぱり「元職員による弊社への不正アクセスについて」。これだ・・・。

 オンラインゲーム界の発展を心から願う私としては、そのオンラインゲーム界を担う立場にある人間の、心ない犯罪行為が、大変悲しい。

 この手の事件のまとめサイトや、関係者の密告によれば、これは組織ぐるみだ、とか、会社ぐるみだ、とか、いろいろ言われている。どこまでが真実で、どこまでが虚構なのかは、私にはわからないけど、その一部分だけでも真実であるとするならば ―いや、本件ですでに一部分の真実性が実証されてしまったんだけど― オンラインゲーム、特に仮想通貨や仮想ステータスが大きな意味を持つMMORPGの世界秩序を、根底から揺るがしかねない大事件だ。以前別のところでも述べたが、本当にドス黒い気分になる。

 しかし、「『MMORPGの運営会社がゲームデータを改ざんして、データ自体を売る』ことが犯罪行為に当たるのか」というのは、そろそろ本気で考えるべき問題だよなぁ。

 今回の容疑は、容疑者がサーバーなりなんなりに、無断でアクセスし、データを改ざんしていたという、「不正アクセス禁止法違反容疑」だ。「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」の第8条によれば、罰則は「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となる。6000万のメリットに対して、なんと低いリスクか。ちなみに窃盗罪は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、背任罪は「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、業務上横領は「10年以下の懲役」だ。不正アクセス禁止法違反は、ダントツで軽い。

 さて本件の場合、「容疑者が会社に無断でやった」という前提だから、上記法律違反が成立するわけなんだけど、もし仮に、会社が今回の行為を「命令してやらせていた」場合、犯罪行為は成立するのだろうか。

 たぶん、しない。

 法律に詳しくないのでなんともいえないけど、現行法下では罪状が全く思い浮かばない。どれだけ擬似通貨を作ろうが、現状では、オレンジ農家が知人にオレンジをあげている、に等しいレベルの問題なのだ。オンラインゲームを知らない人に「ZENYを運営が増やして売ってたよ!最低だね!」と鼻息荒く説明しても、人生ゲームの偽ドル紙幣をカラーコピーで増産した、というレベルの問題としか受け止められない。

 我々プレイヤーの現場の感覚だと、これは通貨偽造罪(無期又は3年以上の懲役)に匹敵する、ゲーム世界の崩壊を引き起こす重大な犯罪行為なんだけど、現実と仮想現実の間に立ちふさがるフィルターを通せば、この体たらくだ。

 「換金可能擬似通貨造幣に関する法律」でも作らない限り、この手の「犯罪じゃないけどカス」な行為を規制するのは、運営会社のモラルと、選択権のあるプレイヤーの意識だけなのだろうな。そして議員投票を見るまでもなく、日本人はこの手の選択権の行使をしない民族だ。絶望的。

 今回の不正取引額は1400万とも6000万ともいわれているけど、いずれにしてもRMTで数千万単位の市場が形成されていること自体は、RMTの是非を超えて、すごいと思うんだよね。オンラインゲームはうまくやればお金のなる樹。そういう認識が広まるのは、オンラインゲームの発展のためには必要不可欠だと思う。でも、そういった発展の途上で、未熟な部分を食い物にする腐った連中が必ず現れる。

 オンラインの世界に法律が干渉するのは、本当は好まざるところではあるのだけど、腐った連中の息が、オンラインゲームそのものを腐らせる前に、上のインチキ法ではないけども、実際なんらかの法整備も必要なのかもしれないなぁ。

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