MHF: レビュー

 そろそろモンスターハンターフロンティアもそれなりに「遊んだ」といえるくらいのプレイ経験は積んだ。シリーズものであり、先輩プレイヤーが全国にそれこそ数万単位でいる現状を慮って、今まで本格的なレビューをしてこなかったけど、そろそろいいだろう。

 ということで、誰も望んでいない私のモンスターハンターフロンティアレビューのはじまりはじまり。


 【概観】

 史上最もアクションできるオンラインRPG(?)の1つ。

 成長の概念が装備だけではあるものの、「剣でモンスターを倒して強くなるぞ」という趣旨のゲームのなかでは、これほどまでに個人の腕前を要求するオンラインゲームはほぼない。同じ数人規模のオンラインRPGでも、アクション性ではDiabloなどは比較にもならず、PSOですら遠く及んでいない。あまり強調されないけど、これはかなり画期的なことだ。

 またこのアクション部分も、FPSのように純粋な反応速度や操作精度を要求する類のものではなくて(もちろんモンスターハンターフロンティアとて、これらが高いプレイヤーほど有利ではあるけど)、シチュエーションごとに比較的明確な「攻略法」が用意された、経験によって一歩一歩成長していきやすいシステムになっている。そのため、回数をこなすほどどんなプレイヤーでも上達していけるシステムと言ってよく、才能面での平等性と、投資時間面での非平等性に富む、非常に好感の持てるシステムになっている。

 練習しないと必ず弱いけど、練習すれば必ず強くなる。こういう調整は案外難しいはずだけど、ちゃんとそれを達成しているのが見事だ。安易に個人の反射神経に依存しすぎる作りになっていない。無論、アクションに極端に不向きな人には、自ずと限界はあるだろうけど、FPSなどに比べてその限界によって挫折するラインはかなり低く、才能の壁の与える残酷さは少ない。技術不足をある程度装備でカバーできるのも、それに拍車をかけている。万人向けアクションゲームといえるだろう。

 このようにアクションRPGとしてのつくりは、そのシリーズ販売実績で裏打ちされているように、凡百のオンラインRPGでは、そうそう太刀打ちできない質の高さだ。というか、今まで質の高いアクションゲームというもの自体が、オンラインRPG界にほとんどなかったというのもあるけど、とにかくそのくらい他のオンラインRPGと比べると、アクションの点では別世界のつくりだと言っていい。もちろん細かい不満点は数多くあるけど、それらもひっくるめてトータル的にオンラインRPG界全体の中での、アクションゲームとしての立ち位置は、ほとんど唯一にして頂点と考えても差し支えがないと思える。「未発達のジャンルなだけだろ」といえばそれまでだけど、先駆者のレベルが高いことは非常によい事だ。

 ところが一方で、オンラインゲームのオンラインゲームたるゆえんであるオンライン部分については、いろいろと疑問符を打たざるを得ない点が多い。

 初動のトラブルに始まり、サーバー定員の不可解な圧迫、ボスにしか取られない同期、チャットの不便さ、コミュニティ機能の不便さ、チートの蔓延、等々。本当に「唯一無二のオンラインアクションRPG」であるからこそ許されているけど、そうでなければ一つ一つが致命傷となりかねない不手際、不注意、粗製にあふれている。

 ありていに言えば、考えが浅いのだ。オンラインゲームというものに対する見識が足りないといってもいい。「うまくいく」ではなく「うまくいけばいいなぁ」で企画を進めているような感覚。ゲーム作りにおいては手練のカプコンも、いまひとつオンラインゲーム作りにおいては、その手腕、あるいはやる気が伴っていないという疑念を抱かざるを得ない。

 以前も書いたけど、カプコンという企業は日本オンラインゲーム界において、ユーザーに対する許されざる背信行為を、幾度となく繰り返してきた過去を持っている。そのため、「あの行為の延長線上にモンスターハンターフロンティアも存在していて、オンラインRPG市場を成熟させようなどという気概は当然のようになく、オンラインゲーム市場を、当面小金を吸い取ることのできる場、くらいにしか思っていないのでは」・・・という疑念を抱いてしまうのだ。

 もちろん、最初から不信感があるからこそ、必要以上にそう見えるのかもしれないけど、とにかく私の目には、モンスターハンターという良質のアクションRPGをオンライン化するにあたり、その作業が非常にやっつけの、「できるだけ移植コストをかけずに儲けよう」という類のものに思えてならないのだ。

 総括すれば、モンスターハンターフロンティアというゲームは、オンライン化以前からあったと思しき部分は大部分が良く出来ていて、オンライン化するにあたって追加されたオンラインならではの部分はことごとく稚拙。そういう評価が相応しい。

【個人的な感想】

 では、そういった良い点・悪い点面も含めて、では結局お前にとってモンスターハンターフロンティアはどうなのさ、と聞かれれば、素直に面白いと思う。

 狩りも面白いし、アイテム生成も面白いし、見た目がダイナミックに変わるのも悪くない。音楽も時々盛り上がるいい感じのBGMになってぐっと来るし、グラフィックの印象と要求スペックのバランスも高いレベルで取れているように見える。

 プレイの主要なモチベーションとなる素材収集も、素材の出現率がやる気をなくすほどレアではなく、かといって簡単にそろってしまってすぐ飽きるほどにはコモンでもないという、なかなかの良バランスで、この手のローグ系Diablo系ゲームをすぐに投げ出しがちな私にしては、珍しく相当長いことモチベーションが持続している。あえて挙げれば、ちょっとお金がたまりにくすぎるのが欠点と言えなくもない。また、私のプレイペースでちょうどいいとなると、私よりプレイ頻度の高い層にとっては、コンテンツ量的に物足りない可能性もある。でも全体的には、いいバランスだと思う。

 ただしこの面白さは【概要】で述べたように、元々面白いゲームだった、モンスターハンターというゲームの基礎設計の面白さがほとんどであって、オンラインゲームとしての、すなわちモンスターハンターフロンティアとしての、独自の面白さというのはあまり見えないというのが正直なところだ。

 言い方を変えれば、モンスターハンターというゲームは、「それをただ複数人でプレイさせるだけで、面白いオンラインゲームに転用できるほどの実力を持ったゲーム」だった。そしてフロンティアはその実力をそのまま無加工で製品化しただけの、遺産の流用ものだと言える(それ以前のシリーズもオンラインプレイは可能だったようだけど、あえて触れない)。

 そういう考えがあるので、結局全体の印象としては、

 「初期開発への尊敬と、移植チームへの落胆」

 というような複雑なものになっている。モンスターハンターというゲームの面白さは十分に堪能したけど、オンライン化が拙くて残念、もったいない、という感じかな。誉めたいけど誉めきれない。責めたいけど面白い。複雑だ。

MHF: レビュー」への2件のフィードバック

  1. ドードー

    私が考えている事が文章になっていて驚きました
    まさにその通りだと思います

    モンハンという面白いゲームに乗っかって小銭を回収しにきている感がひしひしと伝わってくるんですよね
    このフロンティアという作品におけるポリシーだとか、ビジョンだとか、そういう一本の筋が通ってないんでしょうね
    今起きている問題も、小手先の調整ぐらいしかどうせしないんだろうなぁ
    そういう暗い将来性だけが不安です
    ゲームが面白いだけに

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  2. Nez/蝿

    実は私はエスパーで、ドードーさんの心を読んで書きました・・・ふふふ。

    というアホはいいとして、やはりみんなそう感じるんですねー。
    トホホ

    返信

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