日記: 3月8日(2010年)

 先週末。珍しく外出の業務があって、その帰り道の話だ。

 その日は金曜日で、ちょうどその後飲み会に参加する予定があった。だから外出先から直接飲み会の会場に向かって、京浜東北線に乗っていた。

 ところがこんな珍しく出かけた日に限って、良くないことは起こるもので、乗車中の電車が見事に途中で止まってしまったのだ。車内アナウンスによれば、川口駅で人身事故が発生したらしい。うーん、事故にあった方には気の毒だけど、その人よりも私はまず自分の運のなさを呪ってしまったよ。

 とはいえ動かないものは仕方がないな。どうせすぐに動き出すだろうと電車を降り、駅を出てぶらぶらすることにした。途中下車した駅は日暮里。こんな機会でもないとなかなか立ち寄る場所ではないから、ここはひとつ気持ちを切り替えて、偶然できたこの機会を楽しむことにしよう。

 あてもなくぷらぷらと歩くこと数分。裏側(?)の出口からでて、ぐるっと回って駅前のターミナルらしきところまでたどり着いたところに、魅惑的なアイリッシュパブのサインが出ていた。日暮里にアイリッシュパブって、ずいぶんイメージが違うけど・・・と思いつつも、ついつい興味がわいてしまった。

 時刻は18時過ぎ。今ならハッピーアワーだよな。

 その雰囲気と、想像される味覚とに容易に敗北した私は、そのあと飲み会に参加するという予定も忘れて、パブに入ってしまった。わたくし、ギネスもエールも大好きであります。

 パブに入ると、8席~10席くらいのハイカウンターと、4セットほどのテーブル席とがあった。細長い店内は、トラディッショナルなインテリアに、アイルランドとサッカーとを基調にしたグッズで構成されていて、まぁこの手のパブとしては標準的な内装といったところ。サッカー関係のオブジェが比較的多く、サッカーの試合を放映中のTVモニターもあったから、スポーツパブ的な役割も兼ねているのだろう。

 18時過ぎという時間が時間だけに、私の入店時にはカウンターに1組の女性2人と、1人のおじさんだけしか客はいなかった。落ち着けるという点では、良かったといったところかな。スポーツパブは時期を誤るとえらい混雑するから、よかったよかった。

 私は空いているカウンター席の1つに陣取って、キルケニーとフィッシュ&チップスを注文した。

 1人で静かに飲むのもいいけど、ちょっと電車が動くまでの時間が長かった場合には、暇をもてあます気もするな・・・。そこで私は、マスターに「電車が止まってるんですよ」などと話しかけて、少しでも暇をつぶそうとする作戦を試みた。すると、マスターも「本当ですか、何線が?」などと言いつついろいろ話に乗っかってくれた。ほっ。一見さんには無愛想なところではなくて良かった。

 さらにカウンターにいた常連らしいおじさんも話に加わって、うるさくない程度に、しかし気まずい感じもない、程よい距離感の一期一会トークが展開された。

 2代目店長らしき若いマスターと、それをいじる古株常連らしいサッカー狂のおじさんとのやり取りは、はたから見ているだけでも面白く、とてもいい酒の肴になった(というのも失礼だけども)。一見さんの私も、完全に放置されたわけでもなく、わずらわしくない程度にこちらに話を振ってくれて、電車の運転再開待ちの小一時間を、十分楽しく過ごすことができた。その後の飲み会を考えて、軽く1杯だけのつもりで入ったんだけど、居心地が良くてついつい2パイント目に突入してしまったよ。

 さすがにこれ以上の飲酒はまずいと判断した私は、電車遅延のため遅刻する旨を友人にメールで伝えつつ、話し半ばにして店を後にし、心地よく駅へと向かったのでした。

 うむ、電車が止まってくれたおかげで、望外の体験ができたぞ。災い転じて福となす、だな。うへうへ。

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