・・・さて、そんなわけでボーダーランズ。実にいいゲームだ。楽しい。
Diabloを楽しんだ層ならば、必ずや楽しめると思う。できればVCで会話することのできる友人とセットで挑むと良いと思うけど、そうでなくて野良プレイでも十分楽しめるはずだ。珍しく絶賛しているけど、Xbox360をゴールドメンバー付きで持っていて、かつ、オンラインゲームが好きならば、強く購入をオススメしたい。旬のうちに遊んでおくべきだ。
ただし、基本的にはコンテンツ消費型のゲームで、しかもレベルキャップまでの道のりも険しくはないので、ゲーム寿命という点ではさほど長くない。「楽しい1ヶ月」を買うつもりで、是非。
と、勧誘をしつつ、レビュー的なことを少々。
このゲームの発想自体は、「FPS+H&S型RPG」という実に安直なものだ。面白そうなゲームを発想するときに、既存のジャンルを複数融合させるというのは、言ってみれば誰にでも思いつくアイデアで、思いつくだけならまったく評価に値しない。小学生にだって思いつく。
であるにもかかわらず、この手の融合作品には、実際の成功例というものが少ない。複数のジャンルの要素を、1つのタイトルとしてバランスよくまとめあげ、面白いゲームとして完成させるには、それなりの技術が必要なのだろう。思いつきでやって、簡単にできることではないのだ。だからこそ、それを成功させているというただ1点をもってしても、ボーダーランズは傑作の名を受ける資格がある。
細かいところを見れば、もちろん至らない点は多々ある。オンライン重視型の割には、コミュニケーション面が弱いことや、アイテムの売買、操作(装備や移動など)のような、通常のRPGであればすっかりこなれているような部分が、微妙に扱いにくいなど、メスを入れたくなる箇所も多い。でも、それらを補って余りある「発想の具現力」があって、それによって発展を期待できる新ジャンルを確立したことは、見事の一言だ。
きっとこのゲームをプレイした後には、このゲームの次回作や、同ジャンルの別作品など、この作品に続くものに期待してしまうだろう。そう期待させるだけの力が、このゲームにはあるのだ。
唯一、残念なのは、(少なくとも日本では)万人受けしないキャラクターや世界観だ。
パッケージからして、頭のネジが5,6本抜けているとおぼしい変態の絵。正直、数を売ろうという気がまるで感じられない。どう考えてもこれは売れない。
そしていざゲームを始めても、プレイヤー・キャラクターのラインナップは、辛うじて美女(?)が1名いるものの、あとは甲乙つけがたいブサメン揃い。イケメン揃いの日本のRPGだったら、いずれも主人公を張る資格のない面々ばかりという有様だ。不自然なほどイケメン優男だらけにする必要はないけど、もう少し好感の持てるメンツを入れても、バチは当たらなかったと思う。いや、私は嫌いじゃないけどもね。
見た目から入るとっつきにくさが災いして・・・という要素が強いと思うんだけども、私の周囲では、そのゲームの出来とは裏腹に知名度が実に低い。よしんば知っている人がいても、「面白いらしいけどプレイ予定はない」という位置に甘んじている。とてももったいないことだ。
正直、私としてはテンプレートキャラクター自体が必要なくて、「10種類の見た目と、4種類のスキルツリーの中から組み合わせを選ぶ」というような方式でよかったとさえ思う。キャラクターメイキングというRPGの楽しみを考えれば、むしろこの方が良いくらいだ。まぁ、この辺は個々の嗜好にもよるんだろうけどね。
とはいうものの、これは小さな欠点(?)に過ぎない。全体では、ボーダーランズはFPS+H&S型RPGというジャンルを確立したエポックメイキングな傑作として、私のオンラインゲームキャリアに刻まれている。
ボーダーランズは2010年3月現在、2010年蝿公国的オンラインゲーム大賞の最有力候補だ。
さぁ君も、パンドラで僕と握手!