日記: 11月18日(2010年)

 FF14にカテゴライズして話そうとも思ったけど、もう少し一般的な話として話したいので、日記にした。

 本日のお題は何かっていうと、「謝らせるな」ってことだ。

 最近、特にFF14の出来に関するツィートやブログをみていて印象的なんだけど、人や企業に謝罪を求める風潮が強すぎる。私の感覚だと、異常だ。モンスターペアレントや、隣国の人々のように、謝罪を求める発言を繰り返す場面を頻繁に目にして、心が沈む。

 FF14の件でいえば、「反省してくれよ」っていうのはありだと思う。それはスクエニに良いものを作って欲しいという、ファン精神の表れだろうから。期待の裏返しだろうから。また逆のベクトルだけど、「クソゲーだな」「無能だな」あたりも別にいい。感想は自由だし、多少攻撃的な内容であっても、そういうものに晒されるのは今日のクリエイターの宿命だと思う。

 でも、「謝れよ」ってのは少し温度が違う。「責任を取れ」というのに等しい。言葉の重みがわかっているのだろうか。多くの場合、なに言ってんだよ、と思ってしまう。私の美的感覚からすれば、醜い、に相当する。

 自分の期待に反する商品を購入した場合に、売主に対して怒りがこみ上げるのは自然な感情だ。でも、そこで「誤れ」と要求すること、すなわち、一方的に売買契約の相手方の責任だと断定して責任問題に発展させるということは、かなり重大な行為になるのだとわかっているのだろうか。

 例えばFF14の不出来を謝らせる、ということは、「FF14が不出来であることで発生した損害を賠償せよ」というに等しい。法の専門家ではないので、私の個人的なリーガルマインドでもって申し上げるしかないのでございますけれども、相手方に賠償をさせるということは、FF14の売買契約の中に何らかの虚偽の記載、錯誤を生む要件があり、その虚偽や錯誤を発生させた原因はスクエニにあり、また同時にその虚偽や錯誤について購入者は善意無過失であり、つまり錯誤の内容は通常売買契約を結ぶ場合に求められる注意力を持ってしては知りうるべくもなかった・・・というようなことが求められると考えるのが普通だと思うんだけど、ちがうのかね。

 そうだとすると・・・これはなかなか成立しないだろ、と思ってしまう。

 当然コンテンツの主観的な評価、つまり、面白い、つまらない、といったことの保証は売主がする必要はない。そうでなければコンテンツ産業は成り立たないからだ。なので、もしこの錯誤が「面白いと思ったらつまらなかった」ということであれば、当然謝罪の要求はできない。

 あとはよく言われるのが、不良品である、ってことだけど、このレベルのものを不良品って呼ぶ世の中になったんだろうか。私の基準では、FF14が不良品だと考えざるを得ない要件は以下のようなものの場合だ。DVDが読めない、インストールできない、要求スペックを満たしたマシンで起動しない、ウイルスが混入している、システムに重大な損傷を与える可能性がある、オペレーションが致命的に不整合である・・・etc。そしてFF14は少なくともこういったものでない以上、「出来の悪いソフトウェア」ではあっても「不良品」というわけではないというのが、感情を差っ引いた冷静な判断だと思う。

 なので、スクエニが無罪か有罪かでいえば、間違いなく無罪だと私は思っている。有能か無能かでいえば無能だとも思うけど、無能だから謝れってのは酷な話だ。

 FFは人気のあるシリーズ物だから、ファン層が発売前後にある程度感情的になってしまうのは仕方のないことだ。でも、その負の感情が発売2ヶ月以上たとうとしている今なお続いているとしたら、心を病んでいるとすら思えてしまう。期待していたのに裏切られた、って何ヶ月も言い続けているのは、愛していたのに捨てられた、って言ってストーカーになるのに近しい。

 少なくとも私は、遊んでみてつまらなかったMMORPGに対して、その開発に謝罪を要求したことは(たぶん)ないし、そんな気にもならない。遊ばない選択をしてから1ヶ月以上、そのゲームに触れて何かを述べる(もちろんこの場合批判的な意見になると思うが)こともない。ただ遊ばないという選択をして、ひょっとしたらその時点で何らかの評価を述べて、そして去るだけだ。

 不味いという評判の飯屋、試食して不味かった総菜屋について、何ヶ月もその商店街で「あそこは不味い。店主は謝れ」「あそこは不味い。店主は謝れ」って喧伝し続けている人を想像すればいい。完全に気持ち悪い人だ。FF14のようなコンテンツに関してだって同じことだ。本人は正義のつもりで言っていても、周囲から見たら相当気味が悪いものだ。

 企業と個人の関係や、情報の伝達が変化していって、個人の発言力が強くなっているのはとてもいいことだと思う。でも、隣国あたりの「誤ったら負け。謝らせたら勝ち」「他人に謝らせることで精神的幸福を得る」というような生き様をみて、「ああはなりたくないな」と思えるのは、日本人の美点だと思うし、その美点は末永く続いて欲しい。

 ここに書いたからどうなるもんでもないけど、まずは身近な人たちに、そんなメッセージが伝えられたら最高だ。

日記: 11月18日(2010年)」への4件のフィードバック

  1. Chico

    FF14やるためにPC購入したりした人は
    そういう気持ちになるのかな?
    社長がFF14失敗を認めちゃったのもアレだ!(株主に対してだけど)

    返信
  2. 通りすがりのクマ

    記事拝見しましたが、まったくもって同意見です。
    仮にFFのためにPCをアップグレードしたり、ISPを変更してもスクエアエニックスには、
    それを補償する責任はありませんし、ユーザーの判断で行ったことに、ゲーム会社が賠償をするのはありえません。

    それを強要するのが道理だ!というのであれば、その方は”やくざ”と同じだと思います。

    ゲームを批評するのは個人の勝手だと思いますが、気に入らなければプレイしなければいいだけの事。

    私はこう思います。

    通りすがりとはいえ、勝手な意見を申し上げて失礼いたしました。

    返信
  3. Nez/蝿

    hさん:

    だが断る!

    Chicoさん:

    FF14に先行投資して失敗したとしてもまぁ自己責任ですな。
    株主は利害関係があるのでまた別だけども。

    クマさん:

    うむうむ。
    感情的になるのは理解できるんだけど、
    ある程度でブレーキがかからなくなると893ですよね。
    と、これは自戒も込めて。

    返信

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