日記: 5月14日(2012年)

 MMORPGらしい、ってなんだろう。
 MMORPGである意味、ってなんだろう。

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 MMORPGと一口に言っても、今やかなり多様になってきている(というか、昔から多様だったが)。

 EQタイプのものだけでも、EQのようなグループ狩りレベリング/レイドコンテンツ主体タイプ、DAoCのようなグループ狩りレベリング/PvP主体タイプ、EQ2のようなソロレベリング/レイドコンテンツ主体タイプ・・・と、多くの「違う楽しみ」を持ったゲームに分類することができる。これにUOタイプ、DDOタイプ、量産型クリックゲータイプ、なども組み合わせれば、MMORPGの種類は本当に膨大で、これらを「MMORPG」と一括りにしていいものか悩むくらいだ。

 で、あるにもかかわらず、掲示板などでは「MMORPGらしくない」「MMORPGである意味がない」というような言説が頻出している。

 しかし多くの場合、そう言われているゲームのどこが「MMORPGらしくない」のかという説明がまったくないか、その説明が「MMORPGらしくない」理由になっていないかのどちらかばかりで、結局意図がよく伝わってこない。

 たとえばSWTORなどは、かなり「MMORPGである意味がない」と言われたゲームだ。でも、私にはまったくそうは思えなかった。「ソロレベリング重視」だとMMORPGらしくない? いやそんなことはないだろう。どちらかといえば、最も最近のMMORPGらしい特徴だと思う。他人との接触がない? それを補助する機能はないけど、でも接触する相手になる他人はうじゃうじゃいるゲームだった。

 強いて言えば、過去にあったある種のMMORPGとは違うゲーム、ということはあるかもしれない。でもこれが即「MMORPGらしくない」と言えるかというと、言えない。

 結局これは、価値観の問題なのだろう。「MMORPGは上記のように多様である」という価値観を持ち得るかどうかの問題だ。

 MMORPGの種類が少なかった頃は、MMORPGの多様性を許容しなくてもよかったかもしれない。まともなMMORPGがUOとEQしかない頃なら、これらに類似していなければ、MMORPGではないと言っても、まぁ了見は狭いけど暴論ではないだろう。

 でも、もう時代は変わっているのだ。

 UOやEQや、WoWでさえも、もうそれはMMORPGの唯一の型ではなくて、多くの型の1つでしかない。

 MMORPGの類型が増えると同時に、それがもたらす楽しみの類型も増えている。過程の類型も、結果の類型も増えている。グループレベリングもソロレベリングもMMORPGの類型の1つでしかなくて、レイドによるエンドコンテンツもPvPによるエンドコンテンツもMMORPGの類型の1つでしかないだ。

 もちろん個人の好みはあっていい。「グループレベリング/PvPエンドコンテンツの組み合わせが好きで、それ以外は好きじゃない」と言うのは結構だ。人気の有無や、出来の良し悪しももちろんあるだろう。でも、自分の好みに合っていないことや、人気がないことをもって、「MMORPGじゃない」「MMORPGの意味がない」なんていう発言は、見識不足といわざるを得ない。

 逆説的にいえば、ある「MMORPGというジャンル」を好きな人が、ある「MMORPGのタイトル」を好きじゃない、という現象が多発していることこそ、まさにMMORPGらしいと言える。そしてその事実こそが、そのMMORPGをMMORPGであると証明している、ということすらあるに違いない。

 私の好きな「MMORPGらしさ」は、そのくらい広い懐を持っている概念になりつつあると思っている。

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