日記: 11月16日(2015年)

 鍋が好きだ。

 といっても鍋料理のことではなくて、調理器具の鍋のことである。

 ホームセンターや大型スーパーの調理器具のコーナーでは、なぜか心が踊る。ついつい足を止めて、使いやすそうな鍋がないかと見回してしまう。カラフルなホーローの鍋や、渋く輝く銅のフライパンなどには視線が引き込まれる。

 見ているだけでは飽き足らず、実際にいろいろと買ってきた。ハイテク系ではテフロンだのダイヤモンドコートだの。名工(?)中華なべに、スキレットに、圧力鍋。新しい調理器具を買うと、料理自体も楽しくなり、一時的に自炊が苦でなくなるという副次効果もある。

 そんな私が愛用している、一人暮らし攻守最強鍋はズバリ・・・

 16cmのテフロン加工のミルクパンだ。

 スーパーの片隅で売られている、安っぽいやつでいい。せいぜい800円くらいのやつだ。そのくらいのもののほうが、気兼ねなく荒っぽく使える。

 これ1つで多くのシチュエーションで事足りてしまう。炒めるにも煮るにも使える。万能さでは中華なべには劣るが、手軽感では遥かに勝る。鍋底が深いぶん、炒め物をしても油はねが少ないのでレンジが汚れにくい。袋入りのインスタントラーメンを茹でることもできるサイズ。煮炊きするにも、底面積が狭いので、1人ぶんの分量でもしっかりとひたひたにできる。

 サイズが小さいので、なんとなればアウトドアにも大いに向いてしまう。下手にアルミやチタンのコッヘル一式をもっていくくらいなら、この鍋1つをもって行ったほうが便利だ。アウトドアでこそ、テフロン加工系のハイテク処理は威力を発揮する。こびりつかないので、調理後の始末が簡単。ペーパーでぬぐうだけで、かなりの汚れが取れてしまう。

 実際にはこの安物ミルクパンれだけを使っているわけではなくて、料理によっていろいろと使い分けてはいるわけだけど、こいつは多くの鍋類のなかでも、スタメンの座を数年来キープし続けている。そこそこ値が張る調理器具も多い我が家のキッチンの中で、特になんの期待もせずにスーパーで購われてきた数百円の安物ミルクパンが、しかし胸を張って第一線で活躍しているというのは、実に微笑ましい。

 何の変哲もない、どこででも手に入る安物ミルクパン。それが自慢の鍋だ。

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