日記: 11月7日 (2006年)その2

 日曜日の話。

 晴海などという場所に、数十年ぶりに行って来た。小学校のときに自衛隊の護衛艦(「ちとせ」だった気がする)に乗ったときの出港が、晴海からだったような気がするから、それ以来の晴海ということになる。じゃなかったら夢工場だ(時系列があいまい)。

 大江戸線を勝どきで降り、晴海通りを晴海方面へ進み、トリトンスクエアを目指す。

 途中、運河にかかる黎明橋には動く歩道が設置されていた。傍らの碑には「どうだ。すげー橋だろ」みたいな事が書いてあったけど、正直言って税金の無駄遣いだと思ってしまった。中央区はさすがに金持ち・・・なのかな。

 橋を渡りおえたところが、目的地のトリトンスクエアだ。

 スクエアの川沿いには、なんだろう・・・花かガラス玉か、そんなカラフルななにかで作った地上絵が、ずらーっと並んでいた。そしてその脇には「観覧車」という名の、工事現場で使用するクレーン車のようなものが停まっていて、クレーンの先端につけた箱に人を乗せ、地上絵を鳥瞰させる、というようなサービスを行っていた。近代的なスクエアと、そこで楽しむ明るい人々の中で、無骨な工事車両がにょきにょきと首を伸ばす様は、強烈な異質さを発散していた。

 その異質さを全面的には許容できない私にとって、その地上絵に、そうまでして観るほどの価値は、とても見出せなかった。だけどその「観覧車」の前には、それなりに長い行列が出来ていたから、むしろ私の感性が非一般的なのかもしれない。ふむ。

 さて、こんなところまで来た一番の目的は、とある会食だ。会食の場は、トリトンスクエア内にある、「クイーンアリス晴海」。「鉄人石鍋シェフ」プロデュースだとかいうフレンチレストランの系列店である。ここで、フレンチを頂いてきた。なかなかの人気店らしく、愚かにも予約をせずに来た客が、「満席です」と追い返されていた。

 頼んだのは、赤の女王コース。4000円也。

 割とリーズナブルだけど、これがディナーになると8000円に化ける。ランチってすばらしい。

 コースの内容は、オードブル、魚料理、肉料理、デザートを、それぞれ幾つかの中から選択するというよくあるシステム。私が選んだのはレギュラーメニューではなく、全て「本日の~」というやつで、伊達鶏のテリーヌ、カサゴのグラタン、鴨のロースト、それにデザート・・・だったかな。どれもみんないい味で、量も十分。正直、あまり期待してなかったんだけど、いい意味で期待を裏切られたよ。

 しかし、食事はともかく、やはり酒が、ワインが高くつくな、こういうところは。ワインリストに5桁が並んでいると泣きたくなる。違いのわからない私は、当然4桁の最安値に近いものを飲むわけだけど、正直なところそれでも値段分の価値を見出せないんだよね。4000円のコースには価値を見出せるんだけど、ワインで損した気分になる私なのであった。

 でも、トータル的に見て、かなり良い店だった。ちょっと給仕のおじ様が、ゲルマン傭兵みたいな怖い雰囲気でイヤだったけど、接客に問題があったわけではないし、味もよし。値段も毎日通うわけではないから、ここ一番という用途ならば全然許容範囲内だ。

 ってなわけで十二分に満足をした私は、そのまま路線バスで東京駅まで「なんちゃってはとバス観光」をして、酔いを醒ましたのであった。

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