3日目の夕食は、Rock a Hulaというショーの一環で頂いた。
Rock a Hulaはロイヤルハワイアンセンターの4Fで開催されている、たぶん有名なショー。フラダンスやファイヤーダンスといったローカルなショーと、ハリウッド風のアメリカンエンターテインメントとを組み合わせた、ハイブリッドなエンターテインメントショーだ。
ショーのプランには、劇場内でコース料理をいただける最上級のプランから、食事はなしでただ観劇するだけのリーズナブルなプランまで、いくつかのプランが設定されている。その中で今回は、「ルアウビュッフェ」のついてくるプランにした。
ロイヤルハワイアンセンターの踊り場というかテラスというか、そういうような露天の開放的な雰囲気のなかでビュッフェ形式の食事をとり、その後劇場内に移動して、2階席の最前列で観劇する、という上から2番手のプランだ。
最上級のプランにするか、このビュッフェプランにするかについては、1)コース料理は当たりはずれがあるし量を調節もできないのでビュッフェのほうが好きなものを好きなだけ食べられてよさそう、2)観劇時は1階フロア席よりも2階席最前列のほうが全体を見やすそう、3)1階フロア席は2階席の客から見下ろされる位置取りで落ち着かなそう、といった判断でビュッフェプランに決定した。
それになによりせっかくのハワイなのだから、劇場内での食事はもったいないな、露天で食事をしたほうが気分がいいんじゃないかな、というのも決め手になった。ハワイの風を感じていたい。
だがしかし。残念ながらこの日の夕方は雨だった。
なのでせっかくの露天の食事も、開放的どころかデメリットにしかならず、テントを張った薄暗く湿っぽい中での、ちょっとわびしい夕食になってしまった。
失敗したかなぁ、とちょっと後悔しかけた。
が、そんな気落ちした雰囲気も、すぐに吹き飛んだ。
いざ食事がスタートすると、後のショーでも登場するパフォーマーたちが、明るく朗らかに、歌や踊りで食事の場を盛り上げ続けてくれたのだ。おかげでまったくわびしさも退屈も感じずに、1時間弱の食事時間を、非常に楽しく過ごすことができた。
さて、メシの話をしよう。
ビュッフェで選んで盛ったものは、私のことなので、やっぱり肉類が中心になった。ビジュアル的には下の写真のような感じだ。写真の内容を文字で起こせば、サラダ、白身魚、ロミロミサーモン、フリフリチキン、ローストビーフ、ローストポーク、といったところかな。体積の大半は動物性たんぱく質だ。
この中で特においしかったのは、ローストポークだった。豚の丸焼き。ビュッフェ会場には丸焼きにされた豚が横たわっていて、その体内にサイコロ状のローストポークが詰められている形で用意されていた。このサイコロ豚が、ジューシーで柔らかくて、ローストというよりも塩煮豚に近い味わいで美味しかった。トロトロでうまい。
で、まぁ、そこでね。豚の丸焼きの前でね。みんな豚肉をばらばらと皿に盛ってもらって去っていくわけなんだけどね。やっぱりね。私としてはね。皮。皮なんですよね、皮。皮が旨そうじゃないですか、これは。だから周囲を気にせず言ったよね。
「ポークスキン、プリーズ?」
そうしたらもう、取り分けてくれたおじさん、満面の笑み。「おぬし、わかってるのう」みたいな顔で、豚からせんべいみたいになったパリパリの皮をはがして、たくさん盛ってくれた。変人を見る目で私を見る後続者を一顧だにせず(被害妄想)、ほくほく顔で席に戻る私。宝物を手に入れたぞ。
で、食べた皮だけど、予想通りにうまかった。肉もうまいけど、皮もうまい。パリパリというよりは、パリグニャといった歯ごたえで、それもまたいい。野趣あふれる味がする。
私以外に皮を盛ってもらっている人を見かけなかったから、皮は言わないともらえないのかもしれない。主要客である日本人の場合、豚の皮なんぞは嫌がる人のほうが多いだろうから、デフォルトでは盛らないんだろうな。だけど、これを逃す手はないよ。
あとは鶏肉もうまかった。「フリフリチキン」というもの。テリヤキっぽい和風の味だったから、普通過ぎて感動はなかったけど、やわらかくて無難に美味しかった。
一方で期待外れだったのはローストビーフかな。まずくはないけどうまくもないレベル。肉自体が割と筋っぽい安モノだった。前日にクオリティの高いプライムリブをChuck’s Cellarで食べてしまったこともあって、より一層いまいちに思えてしまった。これは食べないほうがよかったかな。大きく盛られてしまったローストビーフの分の容量を、もっとローストポークに割くべきだった。
ともあれ、全体的には満足のいく食事だった。皮で+10点、踊ってたおにーさんのテクで+10点だ。
その後、観劇したRock a Hulaショー本編も、こういったショー全般に免疫がない私としては、大いに感銘を受けるものだった。アメリカはやっぱりエンターテインメントの本場だな、全員が全力で本気ですごいな、と感心してしまったよ。大変面白かった。
ぶたさんがリンゴを食べている
見た目も楽しめてすばらしい
皮くれ、っていって取ってもらっていたら、横に立っていたかわいらしいフラダンサーの娘さんが「それならここが1番美味しいわよ」っていって豚の耳を指さしたところに、肉食文化の奥深さを思い知った。
でも私はミミガーとかそんなに好きじゃないので、遠慮してしまった。