日記: 8月16日(2010年)

 iPhoneを購入して1ヶ月半ほど。いまだに1回もiPhoneを使ってメールや通話をしたことがなくて、完全に3Gルータ付きiPod touchと化しているんだけども、毎日のように触っているので、もうこれがない生活には戻りたくないという状況だ。

 そんな私のiPhoneライフで今最も熱いのは、電子書籍だ。

 今年のホットワードらしき電子書籍なんだけども、市場は完全に沈黙しているわ、iPadがでてもさして盛り上がっていないわで、年初の盛り上がりに肩透かし感を感じている人も多いかもしれない。だけど、私はとてもこのジャンルに期待している。今のところ、最大手プラットフォームのiBookstoreもAmazon(の電子書籍)も、ほとんど日本の書籍には対応していないので、まぁ、盛り上がっていないのは、当然と言えば当然なんだけども、例えば今すぐにiBookstoreで日本のめぼしい書籍が販売されたとしたら、少なくとも私は間違いなく買うと思う。そしてきっと紙の本はほとんど買わなくなるに違いない。もちろん、紙で欲しいものも残るだろうから、まだまだまだまだ紙は残るだろうけどね。

 そんな電子書籍に関するいろいろな論説のなかで、私の感覚で一番痛々しいと感じる意見は「紙の手触りがなくなる」とかいう類の情緒的なもの。気持ちはわかるけど、それは趣旨が違うでしょうといいたい。別に電子書籍是か非かの場で言うことではないと思うのだ。たぶん太古の昔、竹簡や木簡から紙の冊子や巻物に移行するときにも、「竹を紐でつないでいく情緒がなくなるのはけしからん」とか「紙は破れるから竹や木であるべきだ」とかいう意見は出たんだろうなぁ。

 で、私はiPhoneでマンガを読んだり、活字を読んだりという形で、今電子書籍と関わり始めているところなんだけど、それまで電子書籍というものに持っていた、どちらかと言えばネガティブな先入観は、使い始めてすぐに、全て吹き飛んでしまった。

 当初は「読みにくかろう」とか「目が疲れるだろう」とか思っていたんだけど、そんなことはほとんどなかった。もちろん、サイズの小ささと言う制限で、多少可読性が劣化してはいるけども、十分許容範囲内だ。マンガだって1ページ1画面で十分読める。老眼の人は知らないけど、普通の人にはiPhoneサイズのディスプレイでも、読書体験が大幅に損なわれることはないと感じられる。

 また、片手でページめくりができるというのも、案外操作性がよかった。訓練された通勤マン、通学マンにとっては、片手でつり革を持ち、片手で器用に本のページをめくることなど、造作もないことだとは思う。だけど、それでもそんな読書スタイルに、多少の面倒くささ、指の疲れを感じることはあるだろう。でも、iPhoneでの閲覧では、こういったストレスとは無縁だ。片手で容易に保持しながらのページめくりを行える。それどころか、読む本をかえる事だって、片手で事足りてしまう。単なる先入観で、ページめくりに対しても、きっと「電子書籍はモッサリしていて使いにくい」と思い込んでいたけど、実際には多くのシーンで紙の本を上回る操作性を示した。

 しかし何よりも革新的なのは、携帯性、運搬性の高さだ。iPhone1つに、例えばこち亀全巻を入れて、ポケットに入れて出歩くことができる。この手軽さは驚異的だ。

 例えば、マンガを携帯して移動時の暇つぶしとするとき、一番のネックは「すぐに読み終わってしまう」ということだと思う。普通1冊読むのにかかる時間は15~30分程度だから、長距離移動の暇つぶしには、マンガの1冊や2冊ではもたないのだ。でも電子書籍なら、100冊でも200冊でも持ち運ぶことができる。これは思っていたよりもはるかに大きなことだった。

 ってなわけで、電子書籍@iPhone 4。想像をはるかに超える快適な読書環境を手に入れた私は、電子書籍の可能性を体感し、早く日本にもその本格的な波がきてほしいと願うのでありました。

 あ・・・ただね。すぐに紙の本がなくなると思っているかというと、実はそんなことも全然ないんだよね。ハイブリッドに両方を用途に応じて選択するのが現時点では正しい。また例えば、2冊以上の本を並べてみるのが難しいとか、いろいろな実用上の欠点もあるにはある。

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