日記: 8月13日(2010年)

 去年旅行をしたスコットランドで食べた郷土料理で、最も印象深かったものといえば、やはりハギスだ。

 ハギスとは、「羊の内臓を羊の胃袋に詰めて茹でたスコットランドの伝統料理(Wikipediaより)」のことで、世間的にはゲテモノ料理の部類とされている。スコットランドへ行ってこれを食うのは、中国へ行ってヘビを食う、マカオタワーへ行ってバンジージャンプをする、といったことと同列の「怖いもの見たさの奇行」扱いされることが多い。

 しかし、これ、美味いんだよね。臓物テンコ盛りではあるものの、ホルモン好きの人なら何の抵抗もない食材でしかない。味のほうも「スパイスの効いたレバー入り肉そぼろ」といった感じの素直なもので、酒のつまみにはもってこいな美味なのだ。もちろん、供する店にもよるんだろうけど、私が食べた現地のものは大変美味かった。

 で、まぁ日本に戻ってきてしまうと、当然これを食べる機会はなかなかない。池袋のパブで1回と、お土産で買ってきたハギス缶を食べたのが1回で、帰国後口にしたのはこのわずか2回だけに留まっていた。

 さて、ここまで前振りが長かったわけだけども、そんなハギスを先週久々に食えて、幸せでした、というお話なのだ。

 久々のハギスに遭遇した場所は、新宿。歌舞伎町をふらふらしていたところ、懐かしきスコットランドの国旗が翻る(翻ってはいなかったけど)パブを発見した。まだ夕方18時過ぎという早い時間だったけども、これは今夜の夕餉はここしかないと直行した。

 入った店は、スコティッシュパブという珍しいジャンルのパブ。アイリッシュパブってのはよくあるけど、スコティッシュとはまた奇特な・・・。しかし、壁にはスコットランド的な飾りつけ、流れるバグパイプのBGMは心地よく、メニューにはかのハギスもあり、スコッチやドラフトエールも豊富という、文句のない空間がそこにはあった。

 ってことで、エール、ハギス、ギネス、と2杯と1品ほど平らげて退出。若いバーテンとの会話も新鮮で小気味よく、心も舌もスコットランド風味になって気分よく帰路に付くことができた。

 コストパフォーマンスが非常に悪いし、飲酒をそこまで愛好しているわけでもないので、そうそうこういう飲み方はしないけど、たまにやるといいもんだなぁ。うむうむ。

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