行程図
久しぶりのキャンプツーリングに行ってきた。
今回の目的地は、ビーナスラインを走破しての蓼科高原周辺だ。幼少の頃、我が家の夏のリゾートといえば、毎年蓼科高原というのがお定まりになっていたので、私にとっては親しみ深い土地。もうバイクに乗るようになってからも、その前の車の免許しかない時からも、何度も行っているところだけど、何度行ってもいいところだ。
でもそんな蓼科高原も、キャンプ道具を担いでいくのは初めて。実に楽しみにして出発した。
【シーン1: 出発】
愛車の旅装2010
トップケースを導入して以来、初めてのキャンプツーリングのパッキングは、こんな感じになった。
衣食住のうちの、「住」の部分、すなわち、テント、チェア、テーブル、マット、シュラフ、といったものが防水ザックの中に入っていて、それ以外の「衣:着替え」「食:ストーブ、コッヘル等」はすべてトップケースというような住み分けになっている。
サイドケースよりもパッキングしやすい上に大容量。それもいいんだけど、何より安心なのは防水性能だ。過去のキャンプツーリングで、わりと雨に祟られてきた私にとって、この構成の防水性が実に心強かった(今回は雨に降られなかったけど)。
また、キャンプ場での「簡易金庫」になるのも少し安心感があった。今までは「鍵のかかる空間」が全くなかったから、トイレ一つ行くにも少し安心度が増した。いいこと尽くめだ。
【シーン2: 朝食カフェ「キャボット・コーヴ」】
キャボット・コーヴ
以前偶然目にしたドライブ記事で紹介されていた、「軽井沢の朝食専門カフェ」なるものが気になっていた。
とはいっても、もちろんこんなオサレな店そのものには、そんなに興味はない。ただ、供されるメニューの中に、エッグベネディクトがあるってのに強く惹かれた。
おなじみ「エッグマックマフィン」の原型であるところのエッグベネディクトは、ユアン・マクレガーの世界一周ツーリングの終盤で、ついに北米大陸に入った彼が朝食として頼んだ食事として、強く記憶に残っている。それまでの過酷な状況を乗り越え、馴染み深い欧米文化に触れたことの象徴のようなメニューだった。それ以来エッグベネディクトは、「ツーリングの朝に食うのはイカス」というメニューだと思うようになってしまったのだ。
ってことで、そんなエッグ・ベネディクトを食って始まるツーリングは良かろう、と思ってここに早朝から向かったんだけども・・・。まぁ、カッコツケだけのためにいくには、少々過酷だったかな。
まず朝8時につくために、東京発が6時前だったこと。そして8時前についたのに、すでに10人以上並んでいたこと。最後に、シャレオツな店なので、カッポーが多く、ソロツーでいくにはちょっと悲しかったこと。そんな点を思うと、まぁ、私には朝マックが分相応だったかもしれないな。トホホ。
でも、店自体の雰囲気や、エッグ・ベネディクトの出来は良かったよ。ティーもポットできてがぶがぶ飲めたし。家族や恋人と来るなら、そしてその中に「待つ」ことができない人がいないなら、お勧めできると思う。
【シーン3: ビーナスライン】
この先が行き止まりだったとは…
信州ツーリングのハイライトといえば、いうまでもなくビーナスライン縦走だ。
東京からのビーナスラインツーリングといえば、中央道でアプローチし、小淵沢や諏訪南で降り、ビーナスラインを北上し、霧が峰→美ヶ原→霧が峰、と往復するように走るのが常。でも、正直私の走り好き度や体力からすると、往復するのはちと厳しいんだよね。なので今回は、行程図にもあるような周遊コースとして、同じ道を往復しないようにした。
朝カフェの軽井沢から、上田へむかい、そこから美ヶ原高原まで一気に駆け上る。そこからがビーナスラインだ。
ここでちょっと道を間違えて、行き止まりに行き当たったりもしてしまったんだけど(行き止まりの茶屋のおばちゃん「ちがうよ、うん、1時間くらい戻りな」)、そんなトラブルを楽しみつつ、ビーナスラインを南下。和田峠、八島湿原、車山、白樺湖を経て、これまたツーリングの定番道路、メルヘン街道に行き当たるまで、途中何度かの休憩を挟みながらも走りぬいた。
少し曇り空だったのが残念だったけど、天空を走っているかのような道は、さすがにビーナスラインだった。午前中にビーナスラインを南下する人は少ないのか、対向車線よりも交通量も少なく、実に快適に走ることが出来た。
【シーン4: 巨大かき揚げの店「利休庵」】
かき揚げ天ざるそば
巨大なかき揚げ丼を出す店として有名な和食屋「利休庵」で」昼食をとった。
私が頼んだのは、有名なかき揚げ丼ではなく、かき揚げ天ざるそば。かき揚げ丼ほどのインパクトはないものの、それでもざるそばについてきたかき揚げは巨大で、なかなかの壮観だった。
食べてみると、見た目の割りに大味ではなく、中までしっかりサクサクの良質なかき揚げだった。惜しむらくは、1本だけ乗っかっている小ぶりな海老を除けば、それ以外の具材はすべて野菜ということで、その辺が少し物足りなくもあった。でも、それを差し引いても、揚げたてでサクサクとした野菜天は、ボリューム十分でおいしかったよ。
そばのほうは10割そばだったのかな? かき揚げに気をとられてあんまし気にしてなかったけど、10割だけにぼそぼそと短いそばだったけど、これはこれでおいしかった。ボリュームが少し少なかったけどね。
話題性を抜きにすれば、そばを割り増しにして、かき揚げを割り減らすのが、バランスはよさそうだけど、まぁ、この店でそれを言うのは野暮ですな。
【シーン5: 松原湖高原オートキャンプ場】
本日のホテル
ビーナスラインを抜け、さらにメルヘン街道で麦草峠を越えて、今回の野営地である松原湖高原オートキャンプ場に到着した。
サイトは大きく4つのサイトに区切られている広いキャンプ場。全サイトが林間サイトで、夏場のキャンプをするには、日差しが少なくて助かる。
値段はバイクなら840円と安く、バイク乗り入れ可、直火可、ゴミ袋支給あり、トイレそこそこ綺麗、そんなに混んでない、至近に温泉施設あり、と申し分のないシチュエーションだった。プロキャンパー的には、そろいすぎていてダメだダメだ!ってことになるのかもしれないけど、そうではない大多数のヌルキャンパーにとっては、絶好のキャンプ場のように思えた。
ってことで、サイトを見回って、よさげな場所にテントを設営。本陣とした。
テント張りや、その時の注意点なんかもわかってきて、落ち着いて場所を選ぶことができたよ。以前はなぜかあせって場所を決めてしまって、ちょっと失敗感があったこともあったからね。いいぞいいぞ。
【シーン6: 八峰の湯】
ヤッホーの湯
キャンプ場とおそらく同じ経営母体(小海市?)が運営している温泉施設、八峰の湯。
源泉かけ流しの湯船をはじめ、露天風呂、岩盤浴、土産物屋に食事処などがそろっている施設。ここで今回はツーリングでかいた汗を流してきた。
露天風呂からは八ヶ岳の峰峰が一望できて、なかなかよい気分。湯船に入ったり、ほてった体を夕暮れ時の風で冷ましたりといったことを繰り返して、ゆっくりと温泉浴を楽しんだ。
この温泉の存在は、キャンプ場の価値を高めるね。私は普段、こういう共同浴場がおちつかなくて、あんまり好きじゃないんだけど、ツーリングの時だけは楽しめるんだよなぁ。きっと普段嫌っている原因にある潔癖観念が、ツーリングをしているとなくなるからだな。我ながらめんどくさい精神構造だけども。
【シーン7: 一人BBQ】
火は飽きない
いつもどおりの焼肉ディナー。
・・・はあっさりと終わった。
送風機がなぜか壊れていて、火熾しのときに少し苦戦をしたものの、まぁ普通に炭火焼肉を楽しむことができた。でも、もはや新鮮味もないので、今回は詳細は述べない。しかし炭火があると、1本30円のスーパーの安い焼き鳥すらも美味になるなぁ。うまし!
また、前回のツーリングで飲みすぎたためにひどい目にあったことを教訓にして、お酒は控えめにしておいた。ウィスキーをシングル程度だけ舐め、それだけ。あとはミネラルウォーターで済ませた。ま、のんべえではないし、特に不満もないな。
で、その後やることもないので飽きるまで火遊び。林間サイトなだけあって、燃料となる木の枝はいくらでもある。その辺に落ちている枝を拾ってはくべ、拾ってはくべているうちに、夜もふけてきたので、眠りについた。
【シーン8: さらば信州】
八ヶ岳連峰を背に
翌朝。
今回はついに雨にたたられることもなく、頭痛に襲われることもなく、至極快調に次の日を迎えられた。
飯を炊き、レトルトカレーで腹を満たし、さっさとテントをたたんで、さぁ帰ろう。
いつも私は、夜が明けて翌朝になると、妙に満足してしまって、てきぱきと帰り支度になってしまうんだよね。「帰る」という残りの仕事を片付けることに、一心不乱になってしまう。
そんなわけで朝5時におきた私は、7時過ぎにはキャンプ場をあとにして、一路帰路に着いたのだった。
写真は帰り道にみえた山々。朝の澄んだ空気の中で、あまりにも綺麗だったもんでついついバイクを止めて撮影してしまったんだけど、この先数十キロにわたって、このクラスの景色が続こうとは、この時はまだ気がついていなかったのであった。
※行程図の「らくやきおじさんの店」については、後日述べたい。