日記: 11月10日(2015年)

 ここ数年と言うもの、マクドナルドの評判が実に悪い。

 いつからだろう。

 子供のころのマクドナルドは、どちらかというとハレの存在だった。親に連れられてマクドナルドでランチを取る、というのは、普段とは違うよそゆきのイベントで、それはそれは楽しいものだった、という記憶がある。国道沿いの大きな店舗では、子供向けに誕生日パーティーの特別プランなども用意されていて、私の従兄弟の誕生日を親戚ともどもマクドナルドで祝い、食後には調理場を見学させてもらい、最後におもちゃを貰って帰ったことなどは、幼い日のいい思い出になっている。

 あの当時マクドナルドは、身近に感じられる異国文化として、はたまたちょっとしたご馳走の席として、間違いなく輝けるブランドだったはずだ。

 それがいまや見る影もない。

 確かに、値下げと値上げを繰り返すなどの商売根性が顕著に見えるようになったことや、そもそもハンバーガーチェーン店と言うジャンルそのものが「ジャンクフード」というカテゴリに組み込まれたことなど、イメージダウンのきっかけは数多くあった。顧客目線で考えたとは到底思えない、子供だましの安っぽい企画モノが増えてもいる。悪評のほとんどは、根も葉もない話ではなくて、ちゃんと事実に基づいているから、ぐうの音も出ない。

 だから別に今の悪評、特にウェブ上でのマクドナルドの叩かれっぷりに、反論するつもりも、かばうつもりも毛頭ない。

 ただ、かつての栄光を知り、かつ幼い日の暖かい思い出を惹起される身分としては、マクドナルドが今や「問答無用で叩くべき対象」として扱われている現状を目にすると、どうしても少し寂しく思えてしまうのだった。

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