日記: 9月30日(2025年)

 久々のツーリング記録。

 富士山5合目までツーリングで行ってきた。

 そして6合目まで歩いてきた。

 そういう話をしたい。

 今シーズンは、9月10日をもって富士山は閉山となった。もう歩いて山頂を目指すことはできない。

 でも、富士宮口の5合目から6合目までのルートに限っては11月中ごろまで、宝永火口周辺へのハイキングコースとして、まだ通行可能になっている。

 そして車道についていうと、富士山のシーズンオフと同時に、逆に富士宮口5合目までのマイカー規制は解除されている。

 つまり、マイカーやマイバイクで富士宮口5合目まで自走し、そこから6合目まで徒歩で登る、という体験ができるのは、今の時期の「閉山後1カ月ほど(9月中旬~11月初旬)」か、あるいは初夏の「開山前1カ月ほど(6月中旬~7月中旬)」しかないのだ。

 ってことで、そんな今しかない体験をするために、富士山まで行ってきたんだけども・・・。

 この日、下界はよく晴れた日だったのだけど、富士山スカイラインの入り口から仰ぎ見た富士山は、頭にすっぽりと分厚い雲をかぶっていて、上ったところでなにも見えなさそうな雰囲気を、これでもかと醸し出していた。文字通り暗雲が立ち込めていた。

 とはいえ、せっかく来たのだし、雲の中に突っ込んで走ってみるのも、それはそれでテンションは上がるかもしれない。ということで、そのまま富士山スカイラインに突入し、雲中走行を敢行してきた。

 途中、一昨年の富士山一周ツーリングでも立ち寄った水ケ塚公園でいったん停車し、持ってきたフリースを、ジャケットの下にしっかりと着こんでおいた。

 この日の東京の最高気温は30度に達していたので、服装はメッシュジャケットに半袖シャツの、完全なる夏装備だった。

 しかしこれから挑む場所は、標高2400メートルの富士山5合目だ。標高が100メートル上がると、気温が0.6度下がる、という小学生時代の知識を動員すれば、2000メートル以上も標高が上がると、気温は12度以上下がるということになる。5合目の気温は15℃程度であることを想定しなければならないのだ。

 そんなわけで気温対策を万全にしてから、5合目への走行を再開した。

 水ケ塚公園は、およそ2合目ほどに相当する。そこから、今は使われていない富士山スカイラインの料金所跡を抜け、ぐんぐんと上っていくと、蛇行する山道に時折「ここは3合目」「ここは4合目」といった表示が現れた。上っている実感が得られて楽しい。

 そして、そこはもう完全に霧の世界だった。

 もくもくもやもやとした霧が、なんだか幻想的で美しい。高原の朝、というような道だ。下界の30度の残暑の世界が嘘のよう。

 道路としては、ところどころ急坂のヘアピンがあるものの、しっかりとした舗装がされ、十分な道幅もあったので、難易度はそんなに高くないコースだった。さすが日本一の富士山への道だけあって、ちゃんとしている。

 5合目に到着してもその傾向は同じだった。駐車場もしっかりと舗装されていたし、概ね平坦な部類だったので、駐車で精神をすり減らすようなこともなかった。えらいぞ富士山。

 そしてそれと同時に、到着したこの日の5合目は、やっぱり雲のなかでもあった。どこを見下ろしても、何一ついい景色ではない。残念だった。

 とはいえ、ここまで来たのだから、6合目までは登ってみて、「富士山を6合目までは登ったことがある」という実績を解除しておきたい。早速山道を登り始めることにした。

 5合目から6合目までの道のりは、まぁ、高尾山くらいだったかな。ちゃんとした登山装備でなくても、特に問題なく登れるような、ハイキングコースに毛が生えた程度の道ではあった。

 ただ火山ゆえなのか、森林限界を超えていて樹木の保水力がないせいなのかは知らないけど、土壌がザラザラとした砂や小石状だったのが厄介だった。足のグリップが悪く、特にスパイクのないバイクシューズでは、ずりずりと滑るのが少々怖かった。

 でも、樹木がほぼなく、草もちょぼちょぼとしか生えていないという光景は、同時に私の目には新鮮な世界でもあった。

 雲のせいで眼下に見下ろす世界を楽しめなかった私にとって、数少ない目を喜ばせるものはそれだったかもしれない。

 そんな風に足元に閉口し、景色に感嘆しながら、ものの20分ほどの登山で、6合目に到着した。

 表示によれば、上がった標高はわずか90mだ。

 6合目には2つの山荘があるのだけど、この日は営業していなかった。平日だからなのか、シーズンオフだからなのかはわからない。

 ここでしばし休憩し、そしてもうそこでやることはなくなってしまったので、そそくさと5合目まで戻って帰路についた。

 6合目からは、その先に宝永火口方面へのハイキングコースもあったのだけど、あまり天候が良くなかったし、まだ足底腱膜炎をひきずってもいて足がつらくもあったので、早々に切り上げることにした。

 帰路は再び水ケ塚公園に立ち寄り、フリースを脱ぎ、併設されている森の駅で富士山ラーメンを食した。ラーメンは立地が立地だけに、かなり割高なものではあったけど、こういう施設は存続してほしいのでお金を落としてきた。

 あとは帰宅するのみだ。

 当初の予定では、道志みちを通って、道の駅にでも立ち寄りながら帰るつもりだったのだけど、なんだか疲れてしまっていたので、高速道路をひたすら走ってまっすぐ帰ってしまった。

 うーん、体力というか、バイク筋がないな。ケツも肩も痛いんじゃ。

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