ESO日本語版のいいところは、何度も言うようだけど、シナリオが日本語で読めるところだ。
ストーリーもわかりやすいし、登場人物たちの個性も理解できる。
英語版ではほとんどのシナリオを読み飛ばして、クエストマーカーだけを追うスピードプレイをしていたので、日本語版ではじめてちゃんと文章を読むようになった、と言っていい。だからメインクエスト以外ででてくる、サブクエストの登場人物の存在を認識したのは、はっきりいって日本語版からとなる。
そんな状況になってわかったのは、サブクエストの登場人物が、思いのほか何度も出てくるということだ。「また会ったな」という感じで、複数のマップをまたいで出てくるヤツらが結構いる。そんなことにも、英語版ではあまり気がついていなかった。
さて、そういう実は個性豊かな登場人物で彩られていたタムリエル。おのずと何度も出会うNPCには愛着も湧き、そういうクエストは面白さが増すようになる。
そんな中でも私のお気に入りのキャラクターが、写真に写っているヴァノス兄妹だ。
ダークエルフの学者(主に兄)兼探検家(主に妹)のようなコンビ。兄のレイノーは奇天烈な発明やら研究が得意で、たぶん天才の類なのだろうけど、どこか抜けている。妹は兄の研究のための資料を、古代遺跡に乗り込んでかき集めてくる係で、兄よりはリアリスト。どちらにも共通することは、かなり自分勝手で他人を利用することに疑いを持っていないことだ(ESOのNPCの大半はそういう連中だが)。
レイノーがおかしな発明をする。それを使ってキレスが遺跡に乗り込む。でもレイノーの発明はどこか抜けていて、なおかつキレスはちょっと先走りすぎる。結果、ピンチになるので主人公が助ける。というのがいつものパターンだ。
比較的暗めの話も多いESOのなかで、この2人のシナリオは、ドタバタ珍道中であることが多く、純粋に楽しい。シナリオの最後にはたいてい、兄の選択を支持するか、妹の選択を支持するかという、いわゆる「赤選択」が待っているんだけど、どちらを選んでも、選ばれなかった側がさっぱりしているのも気持ちがいい。異なる主張をしていても、お互いを尊重している関係が垣間見えて、ほっこりする。
この2人、実はサイドストーリーだけではなくて、メインシナリオにも最終的にはからんできて、しかも生存し、ロスガーのようなDLCの領域にも登場してくるという、なかなかの人気者だ。主人公とからむ時間の長さで言えば、ティタンボーンを凌ぐかもしれない。
しかし、それほど深く関るNPCなのに、今の私のように2勢力目、3勢力目のシナリオをするようになると、1勢力目での記憶がまったく失われてしまう、というのが少し寂しかった。あんなに苦楽をともにしたはずなのに、他人を見る目で「はじめまして」だ。
まぁ、設定上仕方がないんだけどさ。でも、それにしたって、ちょっと薄情じゃないかね。スタッフも2勢力目、3勢力目の場合は、「あれ・・・どこかで会ったっけ?」くらいの演出を入れて欲しかったものだよ。