日記: 8月17日(2009年)

 まとめ買いした文庫本の3つ目を、やっとこさ読破した。

 星を継ぐもの(ジェイムズ・P・ホーガン)

 こんな濃い、本気のSFを読むのは久しぶりで、多分数年前の「宇宙のランデヴー(アーサー・C・クラーク)」以来になる。だから最初は、昔の訳書特有の読みにくさというか、背景説明の冗長さについていけなくて、最初の10ページほど読んだところで中断したままになっていた。

 それをこの間の佐久キャンプツーリングに持っていって、やることのない雨中のテントの中で読書を再開したんだけども・・・こいつはおもしれえ。

 ストーリーは、「月で発見されたどうみても人間にしか見えない5万年前の死体」の正体を巡るもの。ほとんど全ての場面は、限られた室内での研究、討論、議論だけで繰り広げられるんだけども、その場面の狭さを感じさせない、英知の広がりがある。練りに練られた巧妙な論理展開と、綿密に準備されたダイナミックな真相を前に、一種のサスペンスのような知的トリックの妙が楽しめたよ。

 SFはとっつきにくいイメージがどうしてもあるけど、本作はこれといった素養もなくすんなりと吸収できる良書。最初の導入部分だけは、やっぱり冗長な気がしなくはないけども、少なくとも宇宙にロマンを感じることさえできれば、万民にオススメできるエンターテインメント作品だ。

 なお、続編があるそうだけど、徐々にファンタジーになるらしいから読まないほうがいいとも思っている。ま、機会があれば、かな。

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