ヘルニア闘病記: 08.入院6日目/手術1日後

 昨日は昼過ぎに病室に戻ったらしい。断片的には覚えているが、あまり覚えていない。

 母が言うには、「真っ青な顔をして帰ってきた」とのことで、やはり手術というのは患者の体力を相当に損耗させるもののようだ。

 しばらく「痛い痛い」と言っていたらしいが、全然記憶にない。痛かった記憶さえないのだから都合がいい脳みそだ。そのまま座薬の鎮痛剤を挿入されて、半ば寝たような、半ば起きたような意識のまま、気がつけば完全に寝入って翌朝を迎えた。

 しかしこの話を聞いて内心舌打ちをした。母に泣き言は聞かせないと誓ったのに、知らない間にあっさりと誓いが破られてしまった。だからこの日以降は、努めて「全然余裕」と振舞った。

 実際この段階で、もう手術部位の痛みはあまりなかった。ただやはり肌が突っ張っているような違和感があった。

 さらに見回すと、局部がおかしい。私のホースの先端から、ゴムのホースが伸びている。こ、これが噂の尿道カテーテルか。知らない間に局部をいじられていたと思うと、少し恥ずかしい気分にもなったが、この頃にはもう「どうにでもしてくれ」と腹をくくっていたので、すぐに気にならなくなった。

 カテーテルの先はベッドの下に消えていっているので、体を起こすことも出来ない自分では、その先がどうなっているのかは確認できなかった。後ほど看護婦(この頃はまだ看護師とかいう言い方はなかった気がする)に聞いたところ、単純に尿を溜める袋があるだけとのことだった。ふむ。

 こうして寝たまま微動だにできず、そのまま飯を食い、テレビを見たり本を読んだりして、ひたすら時が過ぎて回復するのを待つ生活が始まった。

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