カテゴリー別アーカイブ: リアル生産スキル向上計画

リアル生産スキル: 第5回

 この日は天候不順の休日。格好の作業日和だ。もりもりと作業は進行する。


物置に鎮座するボール盤様

 まずはボール盤。通販で買ったものが届いていたので、組み立てる。こんな機械を入手するのはもちろん初めてなんだけど、サビ防止のためか、機械全体が油コーティングされていて、ぬめぬめキモイ。まぁ、しかたがないな。

 今回ボール盤はなにに使うかというと、ボール盤で鋼材に連続した穴をあけて、その穴をノコギリで切りつないでいくことで、鋼材を効率よく切断する・・・というために使うのだ。おっさんの皆様方におかれましては、ミニ四駆の軽量化でおなじみの方法である。

 ってことで、ボール盤の準備はできた。次は鋼材に更なる準備を施す。

 前回、とりあえず鋼材に型紙の輪郭をけがいたんだけども、ボール盤のドリルでその輪郭に沿うように、正確に穴を開けていくに当たっては、その輪郭よりもさらに外側に、穴あけのための目印となるラインを引かなければならないのだ。穴あけに使用するドリルは直径4mmなので、輪郭の最低でも2mmは外側に・・・まぁ今回は2.5mmほど外側に、穴あけのためのラインを、ディバイダをつかって、できるだけ正確に引く。さらにそのライン上に、またしても2.5mm間隔で交点をマークをすれば、そこがドリルを当てるポイントになるわけだ。0.5mmも余裕を持たせているのは、腕前的にも、ボール盤の品質的にも、0.1mm単位の作業をするには精度に不安があったからである。

 でそのポイントめがけて穴を開ける。

 はじめてのボール盤ということで、ドキドキしつつ作業。ゴリュゴリュゴリュ・・・。うむうむ、案外あっさりとズボズボ穴が開いていくな。恐るべし、電動工具。

 型紙サイズぎりぎりの鋼材だったので、ドリルで穴を開けるべき箇所は少ない。10箇所程度あけただけで、ボール盤の出番は終了だ。こいつにはまた今度、ファスナーボルトの穴や、軽量化の穴をあけるのに活躍してもらおう。


外形削りだしの途中

 続いて、ノコギリの出番。ボール盤であけた穴を、ゴリュゴリュとつないでいく。これまた思ったよりもよく切れる。ステンレスってもっと硬いものかと思っていたけど、熱処理前だと案外もろいものだなー。ふむふむ。

 ボール盤であけた穴をつないだだけの状態の鋼材は、見るも無残なギザギザな輪郭を持った姿になった。ここから、ひたすら輪郭をヤスリで削って、まずは型紙どおりの輪郭にしていくのが、これからの目標だ。

 とりあえずこの日は、ボール盤であけたラインをそれなりに整えて終了としよう。

 ヤスリ地獄soon・・・。

リアル生産スキル: 第4回

 いよいよ実作業開始。

 ・・・の前に、私のスペックを紹介。

 ・年齢: 14
 ・製図経験: 中学の授業以来
 ・金属加工経験: なし
 ・ボール盤使用経験: なし
 ・ヤスリ使用経験: ミニ四駆以来

 ど素人、オッケイ。このウルトラ初心者がどこまでやれるかというのが、この企画のキモだな。乞うご期待。


見るからにしょぼいレポート用紙型紙

 ってことで、作業開始。今回は、型紙を作成し、鋼材に写すところまでだ。

 型紙はナイフ・メイキング読本のものをパクるので簡単。方眼紙なんてものは持っていないので、単なるB5レポート用紙に、ふふふん、とサンプルデザインをトレースしてやり、カッターで切り抜く。うーん、小学生の工作レベルの、すばらしい型紙が切り取れたぞ。

 今度はそれをもとに、この型紙の輪郭を、鋼材にけがいてやる。けがく際には、青ニスなどと呼ばれるものを塗っておくと、けがいた線が見やすくなるらしい。んが、青ニスなんてものはないので、赤いマジックで代用だ! 塗って、けがく。・・・だめだこりゃ。赤マジックにけがいても、けがいた線がろくに見えないわ。

 そこで今度は青マジックでトライしてみたところ、なんとかいけそうな雰囲気。ま、これでいいか。

 ってことで、今日はここまで。

リアル生産スキル: 第3回


ニコルソンヤスリ(左)、ドリルとか(中央)
安物組ヤスリ、金切鋸(右)

 さて、いろいろと金を使う回だ。もう買ってしまった後ではあるので、ひたすらそれを列記する。

【資料】
 ・ナイフ・メイキング読本 1,800円

【道具】
 ・ボール盤 7,900円
 ・ボール盤用ドリル2.5mm 680円
 ・ボール盤用ドリル4mm 890円
 ・ボール盤用二段ドリル6&4.5mm 2,625円
 ・金属用鋸 500円
 ・安全ゴーグル 150円
 ・バイス 1980円
 ・耐水ペーパー各種 1000円
 ・ケガキ 200円
 ・ディバイダ 1000円
 ・ヤスリ(ニコルソン)平 荒目 1,218円
 ・ヤスリ(ニコルソン)平 中目 1,267円
 ・ヤスリ(ニコルソン)丸 中目 1,092円
 ・作業台 2980円
 ・青マジック 100円
 ・ハンドル用瞬間接着剤 1,300円
 ・ヒルト用エポキシ接着剤 1,050

【材料】
 ・鋼材ATS-34 3×25×250mm 1,800円
 ・加工済みヒルト 1,050円
 ・かしめピン 250円
 ・シュナイダーボルト 525円
 ・ハンドル材ウッドマイカルタ 1,260円

【合計】
 資料費: 1,800円
 道具費: 2,5032円
 材料費: 4,885円

 とまぁ、こんなところだ。やっぱり道具代がとてつもなく高いな。これは回数をこなせば、1本あたり単価は下がっていくわけだけど、きっと私は1、2本作って満足してしまいそうだな。終わったらいらない道具は実家に売ろう・・・無理だなぁ。

 資料はとりあえずこの一冊とWebの情報で足りそうだ。読本の解説は少し大雑把過ぎるので、Webで補完するのは必須っぽいけど、流れはわかりやすい。サンプルの型紙もついているので、これをパクればデザイン工程はスルーできそうだ。マニアの人々的には、きっとデザインするのが楽しいんだろうけどね。

 道具は、ヤスリだけはニコルソンという有名メーカー品にした。ヤスリがけが人力で一番負担の大きな工程だと思うので、ここだけは効率よくやりたい。一方で、ボール盤は穴を開けるだけだし、3mm厚程度の鋼材にあける穴に、精密な垂直が必要とも思えなかったので、安物で妥協した。あとは、2段ドリルというレアな物体や、接着剤など、汎用性の低いものが、比較的高くついた感じだ。ちなみに汎用的な道具は、ナイフメイキングショップで買うよりも、普通の工具店や、ジュエルメイキングショップで買うほうが安い。ナイフメイキング業界の価格設定は、小さな業界だから仕方がないとはいえ相当高めで、どうも印象がよろしくない。

 鋼材はATS-34という、ナイフの世界では最もスタンダードらしいものにした。しかし、今回の目的は「作ってみたい」であって、使用するシチュエーションにこだわりがあったり、切れ味が欲しいわけでもなかったから、加工性のよさ重視で選べばよかったかもなぁ。

 次があったら、鋼材は加工性の高いクロモセブンあたりにしよう。

リアル生産スキル: 第2回

 まずは勉強。

 刃物の製作というと、赤熱した鋼を、トンカチでぶっ叩くというイメージだったんだけど、近代ナイフの製作は、ストック&リムーバル法という手法が主流らしい。ストック(原型)&リムーバル(削り出す)という名前のとおり、鉄板を型紙どおりに切り出して、削るという方法だ。切る道具と、削る道具さえあれば、誰にでも可能らしい。

 この動画では、電動工具を駆使しているけど、根性さえあれば、手動のヤスリでもなんとかなるそうだ。さすがに穴あけだけは手動では難しく、ボール盤がほぼ必須のようだけど、それ以外の部分は筋力と精神力でカバーができるようだ。

 ということで、私もこのストック&リムーバル法によるナイフ製作を試みることにした。

 想定している工程は、以下のとおりだ。

 ・道具、材料の購入
 ・デザイン(パクる)
 ・型紙作成
 ・鋼材に型をけがく
 ・けがき線に沿って穴を空けまくる
 ・穴を繋ぐようにして外形を切り出す
 ・外形を削り、整える
 ・ブレードを削りだす
 ・ブレード面を磨きまくる
 ・ヒルトの位置を決め、かしめピンの穴を開ける
 ・本体は焼入れ業者に出す
 ・ヒルトを削り、成形する
 ・焼入れから戻った本体を再度磨きまくる
 ・本体とヒルトを接合する
 ・本体とハンドル材を結合する
 ・ハンドル材を削り、成し、磨く
 ・刃をつける
 ・ナイフ完成
 ・牛革でシースをつくる

 うーん、メタルワーキング、ウッドワーキング、レザークラフティング、全てのスキルが必要とは、奥が深い。EQ2なら3キャラでやるところだよ!

リアル生産スキル: 第1回

 MMORPGにおける私を知っている人にとって、私のキャラクターのスキルやクラスには2つの特徴があることをご存知だと思う。

 すなわち、

  1)癒さない
  2)生産しない

 だ。でもそんな僕ちゃんも、齢14にして、ついに思い直しました。

 「そうだ、生産しよう」

 と。

 とはいっても、ゲームではなく、リアルにだ。ゲームのアイテムをリアルに持ち込むって発想は、ちょっとコスプレの衣装を作る人と同じ発想っぽくって、抵抗がなくはないんだけど、その抵抗を振り切って、「リアルにクラフトマンをするぜ!」ってな思いつきなのだ。

 突然そう考えたのは、ニコニコ動画で一時有名になった、この動画をみたから・・・ではなくて、それに似た動画であるところのこの動画を見たからだ。おぉ、しっかりモノができているではないか(あまり似てはいないけど)。正直、見てくれだけのガンランスよりも、実用可能物を製作したこっちに、私は感銘を受けてしまったのだ(いや、ガンランスもかなりすごいけど)。比較的安価なコストで、こんなことも出来るんだなぁ、と。

 そして勘違いスタート。・・・なんか、このくらいのものなら、素人の私でも作れそうじゃない?

 別に刃物マニアでもコスプレマニアでもなんでもないんだけど、ナイフなんて「作れるもの」だという発想もなかっただけに、作れるという事実に興味深々になってしまったのだ。興味を持ったら、動き出すのが結構早い私(そして飽きるのも早い)。速やかに情報を集め、とりあえず小さなナイフ1本を目標に、レッツ、メイキン!

 ってなわけで、突然始まった新企画。蝿公国的リアルMMORPG風生産スキル向上計画スタートだ。

 ゲーム以外の記事は需要がないというのに懲りない私。危ない道に入らないようにしつつ、ゆっくりとやっていくよ。