私のTwo Worlds 2に関する好印象な記事に騙されて、まんまとTW2を購入するに至ったZ氏と、TW2のマルチプレイをやってみた。
TW2のマルチプレイは、全7ステージ構成の面クリア型コンテンツである「アドベンチャー」をはじめ、他に村育成モード「ヴィレッジ」、対戦モードである「水晶ハント」「デュエル」などがあるようだ。そのなかで今回は、基本とも言うべきアドベンチャーを試してみた。
感想としては、なかなか楽しく、しかしながら、ボリュームが少ない、というものになった。
最大8人まで参加できるアドベンチャーに、わずか2人で挑むプレイは、難易度的になかなか過酷だったものの、大いに楽しめた。ぎゃーぎゃーと悲鳴を上げながら、おっかなびっくり進んでいくプレイは、Dungeons&Dragons Onlineの初回プレイを髣髴とさせる、興奮に満ちたものだった。
またDiabloの序盤と同じで、初期装備がへなちょこなだけに、敵が落とすアイテムのことごとくが輝いて見えるのもうれしい。敵の落とした剣を拾っては使いたくなり、盾を拾っては使いたくなる。戦利品1つ1つに一喜一憂できる感覚は、いつになってもワクワクするものだ。
スキルやステータスも同様で、レベルアップのたびのポイント配分が楽しい。次のレベル、次の次のレベル、と未来のポイント配分のことを考えては、早くそこに至りたくなる。自分の分身のできることを増やす過程にのめりこめる。
要するに、キャラクターに魅力があり、感情移入しやすいのだ。見た目のデザインが最悪なゲームなのにそう思えるのは、キャラクター周りのシステムがいいということだろう。そういう自分の自慢のキャラクターを操って、仲間と共闘するプレイが楽しくないわけがない。
しかし大きな欠点もあった。上述したように「ボリュームが少ない」のだ。このことはマルチに関しては大きな痛手だった。
一口に「ボリューム」といっても、それは複数の意味を含んでいて、1つには7ステージというのが少なく、1つには1つのステージ自体が小さく、1つにはできることの幅が少ない、という意味になる。
1つのステージをクリアするのにかかる時間は、初見の2人だけで時間をかけて挑んでも、せいぜい1時間ほどだった。これが全部で7ステージしかないということは、7時間分前後のコンテンツしかないということになる。このボリュームでは、ガツガツやったら1週間もあれば消費しつくしてしまう。
ハクスラ系はもともと、比較的速やかにコンテンツを消費してしまいがちなジャンルではあるけど、だったらせめてDiabloのように、難易度で複数周回させるとか、そういう延命処置をしてくれてもよかったではないか、と思わずにはいられない。7周×3難易度で、しかも途中からは同じステージを何周かしないと次に挑むのにレベルが足りない、というくらいの作りなら、まだしもキャラクター育成を長く楽しめたように思う。
また、ステージのマップそのものにあまりにも工夫がなく、一本道なのも寂しい。マップをシングルほどに広大にしろとは言わないものの、もう少し幅のあるマップ構成、寄り道のできるマップ構成であってもよかったように思う。フィールドマップならもっと道ではない部分にバラエティを持たせてもいいと思うし、洞窟マップならもっと道に迷うような箇所が多いつくりでいい。また、床スイッチとか、レバーとか、物理演算とか、馬術とか、帆船操作とか、せっかくいろいろな工夫の余地があるんだから、もっとそれらも使いまくってほしいところだ。
(たぶん「複数のマップ」にプレイヤーキャラクターを分散して並行処理することができないシステムなのだと思う。1つのゲーム中に「建物に入る」とか「洞窟に入る」とかがないので。だからいろいろと幅が狭いのは致し方なくもあるが・・・うーむ)
そんなわけでマルチプレイに関しては、全体的に見て「惜しい」「もったいない」というのが強い印象になってしまった。基礎システムも雰囲気も挙動もいいんだけど、「もっとマルチプレイ部分にも本気を出してくれれば、もっともっとよくなったのに」と思えてしまうために、本来の評点よりも辛めになってしまう。
ただ、面白かったかつまらなかったか、と問われれば、面白かった。文句ばっかり言ってるけど、かなり面白かったのだ。このゲームのマルチプレイには、時間を気にせず延々とキャラを育成したくなってしまうような中毒性がある。いったんプレイをし始めると、「早く次の装備にしたい」「早くあのスキルブックを買いたい」「早く村育成モードをしたい」というような意欲が次々と湧いてくる。これは下手をするとシングルがどうでもよくなりそうで危ないぞ、という気分すら芽生えてくる。
なので、このマルチプレイの至らない部分で、TW2の全体評価が下がるってことはない。というか、むしろより評点が上がりはしている。だけど、でも、やっぱり、そう、うーん、惜しいなぁ。