日記: 10月7日(2007年)

 3連休信州ツーリング2日目。

 昨日はビーナスラインを走ったので、今日はメルヘン街道を走ろう。

 ってなわけでビーナスラインの南方を走る国道299号線に向かった。

 R299はこの近辺では、その景観の美しさからメルヘン街道と通称されている。いい大人が口に出して発音するには微妙なネーミングだけど、確かにその名に恥じない美しさのある道だ。・・・たぶん。私は期待して向かうことにした。

 ちなみにこのR299は、メルヘン街道と呼ばれている長野県の区域を通過し、さらに延々と進んでいくと、やがて以前の秩父ツーリングで紹介した、「道の駅果樹公園あしがくぼ」のほうまで到達する。うーん、あんな遠くまでつながっている同じ道路とは、到底思えないな。人間の開発力はすごいものだ。


 ってなわけで、メルヘン街道を走り始めた私。そのほとんど開始地点にある横谷渓谷で早速停車し、横谷渓谷の代表的な名所である「乙女滝」を眺めてきた。

 この日の乙女滝の水量はかなりのもので、落水と爆音とが、目にも耳にも大迫力だった。この写真を撮った観覧スポットにも、爆音とともに舞い上げられた細かな水しぶきが、霧雨のように降り注いでいて、ライディングで火照った顔に、心地よい清涼感を与えてくれた。気持ちいー。

 しかしこの凄まじい落水と爆音は、「乙女」というには少し豪快すぎるような気がするなぁ。この豪快な落水の様子は、「乙女」などというたおやかなものではなく、どちらかといえば「スーパーでタイムセールの豚肉(100g89円)を5パックほど奪取するオバサン」滝とでも言うのがふさわしい。うむうむ。

 さて、そんな自然の迫力をまざまざと見せつけている乙女滝には、朝っぱらだというのに、数人の素人カメラマンが、高そうな三脚付きカメラをもって、滝の撮影に励んでいた。確かにこの滝をカメラに収めたいという気持ちはわからないでもないな、と、ヘボデジカメで写真を撮った私ですら思う。だけど、なんかこう、本気で写真を撮ってる人がいると、その前を通ってはいけないのではないか、とか余計な気を使ってしまったり、彼らがデンとその場に根を張って「この場所は順番で譲ったりは決してしないぞ」というようなオーラを発していたりする態度にやや腹が立ったりと、どちらかというとネガティブな印象のほうを、強くその人たちに抱いてしまった。マスコミの傲岸さにどこか通じるような、そういう自己中心的な態度の人は好かないのだ。

 ということで、必死なカメラマンと、そうでない一般観光者の空気感の差が、微妙なひずみとなっていた(ように感じられた)乙女滝を後にした私は、さらにメルヘン街道を八千穂高原方面へと進んでいった。

 続いての写真は横谷観音の展望台から、大滝を遠望したときのものだ。先ほどの横谷渓谷乙女滝から、僅か10分程度の場所なんだけど・・・うーん?

 確かにかすかに紅葉した山々は綺麗だったし、遠くに望んだ大滝も、まぁ「ああ、滝があるな」というウォーリーを探せ的な楽しみはあった。でも、このくらいの景観は、このあたりならどこででも、それこそ道路を走る車の車窓からでもいくらでも見ることができるので、あまり感動がなかったというのが正直なところだ。

 もちろん、綺麗ではなかったってわけではなくて、同じ風景が都心にあったらそれは感動するんだろうけど、なんというかもう、2日目にして早くも感覚が麻痺しつつあり、感動のハードルが高くなっていたのだ。

 そんなわけなので、チラッと風景をみて、ここは早々に立ち去ることにした。

 ・・・のだけど、この横谷観音はメルヘン街道本道から、駐車場に到るまでの(ほぼ)専用の道路が良かった。滑走路のような直線道路は、近隣のくねくねとした峠道とは正反対の、どこか人工物の匂いが濃厚にたちこめるソリッドな雰囲気を持っていて、その大自然の中にある不自然といったミスマッチに変な魅力を感じてしまったのだ。

 そんな道路の直線のラインと、左右の木々と、青い空と、白い雲が、組み合わさっている様には、自然の生み出すものとはまた違う美しさがあった。しかも、こうはっきりと言ってはなんだけど「そんなに見るべきもののない観光スポット」である横谷観音には、車の往来があまりなく、その奇観を楽しむことを阻害する車両に乏しいのもプラスに働いていた。

 ・・・となるとここは1つ、普通の道では撮れない絵を撮っておきたくなるでしょう!

 ちゅーことで、堂々と道の真ん中にバイクを置いて、ビートルズが横断歩道を渡るジャケットのような記念写真を収めてきた。うーん、美しい。展望台の眺めはそうでもなかったけど、この写真をとる試みができただけで、大いに満足だ。よーしよし。

 違った方向で満足感を得た私は、横谷観音をあとにして、さらにメルヘン街道を東進し、日本の国道第2位の標高を誇る峠、麦草峠を目指すことにした。

 さすがに高度自慢の麦草峠に至る道なだけあって、ぐんぐんと天に向かって駆け上がるかのような走行が続いた。ビーナスラインが「空を走る道」だとするならば、メルヘン街道は「空へ昇る道」というような印象の違いだ。

 途中の峠道では、突然鹿の群れが道路に現れ、私の目と鼻の先を横切っていくというような、ほんわかとしたといえば言えるし、気がつかないで突っ込んでいたら危なかったという点では、恐ろしいともいえる出来事もあったんだけど、さすがにそんな突発的なシーンはカメラには収められなかった。残念だ。

 昇り続けること数十分。麦草峠に到着した。

 到着した、といっても、そこは単なる道路でしかないわけで、麦草峠であると思わせるものは、そこにある山小屋のようなものと、道路の標識のみだ。標高の高い地点の狭い峠道、という場所が場所だけに、観光地としての展開はしたくてもしにくいらしく、「日本で2番目に標高が高い国道の地点」という集客力に富んだキャッチフレーズの割には、ろくに駐車場もない場所だった。

 とはいえ、そのキャッチフレーズの集客力は確かにあるわけで、その狭い峠に、何台もの路上駐車車両がひしめき合って、観光の記念を残したり、休憩をしたりしていた。こんな狭いところに、何台も路上駐車しやがって、邪魔だな、とは思うものの、気持ちは良くわかるだけに、なんだか非難もしにくい。場所が場所だけに、行政のせいとも言いにくいし、難しいな。

 こういうとき、バイクは本当に楽だ。ほとんど交通を阻害することもなく、罪悪感を感じることもない形で、気軽に下車して記念写真くらいは撮ることができる。とはいえ、ヘタクソなサンデードライバーにハンドルでも引っ掛けられたら目も当てられないので、速やかに下車して、写真を撮ったら、また速やかに乗車して、立ち去った。

 さらば麦草峠。復路でまた合おう。

 麦草峠を過ぎると、最高地点を過ぎたのだから当たり前だけど、道は下り坂になる。その下り坂の道を少し進むと、有名な観光名所、白駒の池だ。

 ここは、今回のツーリングで一番混雑している場所だった(もちろん、来るまでの高速のPAなどは除く)。併設された駐車場は、今回のツーリングで唯一の有料駐車場だったし、しかも当然のように満車で、その空車待ちの列が長く伸びていた。バイクの駐車スペースはがらがらで、待つことなく駐車できたし、駐車料金が100円かかるはずなんだけど、請求されもしなかったから、私個人としては混雑による被害はなかったんだけどね。でも四輪車できていた人は大変そうだった。

 白駒の池は、確かに美しい場所だった。森林の中に突如現れる池は、幻想的というに相応しい趣で、特に紅葉の時季にでもなれば、さぞかし美しかろうことが容易に想像できる。

 ・・・んだけど、やっぱ混んでるのはきついな。立ち位置一つでも気を使ってしまうし、行列のように続く人の列に従って、遊歩道を進んでいくのは自由が束縛されて、気分のよさ半減だ。

 人ごみの中にいることがすぐにイヤになってしまった私は、すぐに白駒の池を立ち去った。前述のように私はバイクで、待ち時間も駐車料金もなかったからいいんだけど、四輪車できていたらかなり憤懣やるかたない感じだっただろうなぁ。

 白駒の池をあとにした私は、メルヘン街道を進むのを中断し、Uターンしてビーナスラインまで戻ってきた。今日の昼食はビーナスラインのふもとにある、この写真のソバ屋でとることに決めていたからだ。

 昼食と言っても、のんびり走って、のんびり観光していたので、もう午後2時過ぎくらいになってしまっていた。それでもこの店には、途切れることなく客が訪れていて、大いに繁盛しているようだった。

 このソバ屋は、私が幼少の頃からあるソバ屋で、私が生まれて初めて「蕎麦湯」なるものを飲んだのも、幼いころに訪れたこの店だったような気がする(蕎麦湯が出るようなソバ屋に、東京での日常生活では行かないからね)。そんな思い出深い店に、それこそ十数年ぶりに行くのが、この旅の計画段階からの予定だったのだ。

 順番待ちの2番目に位置した私は、待つこと20分ほどでソバにありついた。そして食う。

 お、おお、美味い。

 まぁ、午後2時まで昼飯をとらず、しかも20分も待てば美味いに決まってるんだけど、でも美味かったのは美味かったで事実なのだ。

 ソバ二枚をぺろりと平らげ、満腹になった私は、さらにこの後、日本ピラタスにロープウェイで登ったりしたんだけど、残念なことにこのソバ屋の写真を最後に、カメラの電池が切れてしまった。三日くらいは持つかな、とおもってフル充電で出発したんだけど、どうやら見通しが甘かったようだ。

 この先、携帯カメラでいくつかの写真を撮り、自分の記録としては残したんだけど、サイトに乗せるのは少し気が引けるのでやめておこう。

 とりあえず、そんなこんなで2日目も幕を閉じたのでありました。

 余談ながら、日本ピラタスを「ピラタス」などという、今の時代にあってはあまり評判がよろしくはないであろう外国かぶれの名称で呼ぶようにしたことには、今は亡き私の祖父が一枚かんでいたらしい・・・という話を大昔に母に聞いたんだけど、本当なのだろうか。唐突に思い出して気になる気になる・・・。

日記: 10月7日(2007年)」への3件のフィードバック

  1. こっそりさん

    長野の蕎麦ほんと食べたい・・・・
    こっちで食べるのとは全然違いますよね。
    (前菜の野沢菜がまた美味しい~)

    思い出のお店での食事おめでとう?ございます
    本当おいしそうです もうお店の雰囲気だけで
    美味しいに違いないって確信~

    高原の道路が渋滞しているのは嫌ですよね。。
    (特にくるま)ビーナスラインは近年観光シーズンだと凄い渋滞だって聞いていやだな~って。
    (とかいいつつ自分も行くんだけど。。)

    わたしが松本に住んでた時はほんとスカスカで最高だったのに

    鹿あぶないですね~ぶつからなくて本当よかった。
    わたしもぼんぼんの時野良いのししをみかけたし。

    こちらも素敵な写真の数々ありがとうございます
    とても癒されました

    返信
  2. Nez/蝿

    そば:
    調べてみたところ、そば庄ってとこだ。
    なかなか20世紀の香りのするサイトデザイン。
    メニューが一部しかなかったりと、飲食店のサイトとしては
    利用しやすさにおいて突っ込みどころ満載。

    でもうまいさ。

    シカ:
    思ったよりでかくてあせったよ。
    UOをなぜか思い出したけど、あれにクリス一本で
    挑むのは難しいなと思った。逃げられそうだし。

    返信
  3. こっそりさん

    うん、うまいうまい~
    もう水からして違うからそれだけで美味しい

    シカはオージーの牧場でエルク?とかいう巨大なのも見たけど本当怖い。。(ダチョウも)
    超でかいし角だけで1メートル位あるし、群れてるし本当はかなり強いはずw

    そこの牧場に2匹特殊なシカが居て、1匹は子供の頃牧場主の家庭で一緒に育ったシカ、この子だけは近づくと本当嬉しそうに寄ってくる~(すごく優しい目をしてる)

    もう1匹はネットか何かにからまって角をやむなく切断されちゃったシカ(おす)で、こっちは角がないからか本当おちこぼれちゃってる・・・いつも独りぼっち
    群れに入れてなくてしょぼしょぼしてた。

    育つ環境と角があるかないかだけで、ここまで違うんだって本当いろいろ考えさせられた2匹だったのでした。

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