日記: 3月8日(2012年)

 カプコンの新作対戦格闘ゲーム「ストリートファイター×鉄拳(以下ストクロ)」。このストクロにおける、追加予定キャラクター同梱問題が物議をかもしている。

 概略は・・・

 1)ストクロは将来Vita版が発売される
 2)Vita版では、先行して発売されるPS3版、Xbox版よりも多くのキャラが登場する
 3)PS3版、Xbox版では、これらのキャラクターはVita版発売後にダウンロードコンテンツとして別売り販売予定

 という前提があるところで、

 4)PS3版、Xbox版のDVDの中に、すでにVita追加キャラクターのデータが入っていることが解析された
 5)なおかつ、クラックすることでこれらがすでにプレイ可能なキャラクターであることが判明した
 6)お金を出して買ったものの中のデータを、購入者が使えずロックされているってどういうことやねん!

 という話のようだ。

 これ、個人的には、1)手法としてはあり、2)好きか嫌いかで言えば嫌い、3)フェアかどうかで言えばフェアじゃない、っていうような印象かなぁと思っている。

 まず、ありかなしか、っていう話からすれば、そりゃありでしょうとしかいえない。機能制限のあるフリーウェア、シェアウェアなんてものはいくらでもあって、それを追加支払いによってアンロックするというようなものは、手法としてすでに確立されている。だから、「買ったDVDの中身はすべて購入者が扱えるようにするべきだ」的な主張は少し違う話だと思う。

 この辺は、電子データの取引と言う比較的新しい商取引の形態に、まだ常識と呼べるものが定まっていないから、人によって受け止め方が代わってくる部分だとは思う。だから前例を前述したようなソフトウェア売買に求めるか、もっと物質的な旧来の売買に求めるかという部分は難しいと思うけど、現時点では前述の例が最も類推適用しやすい話のように思われる。だから、ありだ。

 でも、好きか嫌いかで言えば、もちろん嫌い。私はアイテム課金などにさほど否定的ではないけど、そのゲームのコアになる部分まで切り売りするようなゲームは好きじゃない。キャラ対が重要な攻略要素である対戦格闘ゲームで、キャラクターそのものの数に支払額による差異を設けることは、まさにその「コアの部分の切り売り」に相当する。それは「ゲームを不完全な状態で遊んでいる」という人の存在を自ら作り出す手段なわけで、よりいいもの提供したい、という一流の作り手が当然持つべき気持ちが欠落しているといわざるを得ない。ゲームクリエイターの矜持を疑う。そういう商売に偏重した作り手によるゲームを遊ぶのは不愉快だ。ま、これは私の好みの問題だ。

 最後にフェアかどうかという部分。ここはフェアじゃないよなー、と思う。最初から、「Vita版の発売後にリリースされる追加キャラを購入していただくことで完全版になります。それまでは早期リリース版です。定価は○○○円ですが、追加キャラを含めた場合の合計は○○○円になります」と前面に出していれば文句は少なかっただろう(それ自体への文句はあろうが)。でもそういう事実を隠し、見えにくくし、実態よりも良いイメージを意図的に想像させて販売するのは、詐欺とは言わないまでも、それに近い手段だ。汚い。こういうことがなければ、私個人としては「好きじゃないけどありでしょう」くらいの印象だったのに、このだまし討ちの一件でイメージは大幅にダウンだ。多分、多くの人にとってもそうだと思う。

 ってことでストクロ。買い損ねたということもあるけど、なによりも印象が悪いので当面は購入はしてやらないことに決定した。ストクロを取り巻くシーンが盛り上がるなり、PC版あたりが安くリリースされるなりするまでは静観とするよ。

 しかし本当にカプコンはゲームはいいけど、印象は最悪だな。どうも営業が業界を愛していないように思われる。

日記: 3月8日(2012年)」への2件のフィードバック

  1. アバター画像Soul

    何故、略がストクロなのか
    スト=ストリートファイター
    クロ=クロス
    だとすると鉄拳が可哀相ではないだろうか!(どうでもいい)

    返信

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