The Crew 2の総プレイ時間が3、4時間という時点でのインプレッションを述べておきたい。
【1とは別のゲーム】
The Crew 2はThe Crewとはだいぶゲームの方程式が変わっている。というのが第一印象だ。
オープンワールドのレース主体のゲーム、ということは同じだけど、世界の見せ方やシナリオの進め方がだいぶ変わっている。その辺をいくつか指摘していきたい。
【マップ開拓要素がない】
まず違和感を感じたのは、最初から遠くのミッションにもファストトラベルできる、ということだ。
The Crewは、ニューヨークからゲームがスタートして、徐々に西海岸に向けて進んでいくという、プレイエリアがある程度制限されているタイプのオープンワールドゲームだった。用意されているミッション(レース)は西に行くほど難しかったし、未到達地点には1度は自走して到達しないと、ファストトラベルもできなかった。
一方でThe Crew 2の場合、初期のうちから全米のあちこちに低レベルなミッションが点在していて、そのミッションまでは、1度もいったことがない場所であっても、ファストトラベルで一瞬でたどり着けるようになっている。例えばストリートレースから始めた場合、ゲームは西海岸のロサンゼルスにあるHQから始まるんだけど、すぐさま東海岸のニューヨークのレースに挑戦できたりする。
The Crew 2のほうがオープンワールドの自由度という点では上だけど、乗り物にフューチャーしたゲームだけに、The Crewの「自分で到達してマップを開いていく」というマップ開拓作業も達成感があってよかったんだよなぁ。強制的に全米の広大な大地を疾走させられるのは、悪くないアイデアだと思っていた。
どちらが上ということもないけど、The Crew 2のプレイ感は、The Crewでマップをすべて踏破したあとの、いわば「The Crewのエンドゲーム」に近い感覚だ。だから個人的には、楽しみを1つ奪われたような気がして、手放しでは褒められないな、と感じてしまった。
おかげで今のところThe Crew 2の世界では、普通のドライブがあまりできていない。ファストトラベルとレースばかりの日々だ。なんか、もったいない。
【自動車の着せ替えがない】
The Crewでは、ストリートやダートというような、異なる自動車競技を、1台のマシンでこなすことができた。「スペック」というものを切り替えることで、ワンタッチで同じ車がオンロードカーになったり、オフロードカーになったりしたのだ。
この魔法的仕様が、The Crew 2ではなくなっている。
当たり前といえば当たり前なんだけど、それぞれの競技には、それぞれ異なるマシンを用意して、挑まなければいけない。
この仕様は、「競技の数だけ愛機を持てる」という点で、数多くのマシンが登場し、それを愛でることがウリになるこのゲームには向いていると感じた。
思い返せばThe Crewでは、なまじ1つの機体を便利に使いまわせてしまうせいで、結局最後まで370Zの1台だけにしか乗らずに、シナリオを終えてしまったなぁ。370Zは気に入った車両だったとはいえ、豊富な車種を要するゲームを、1種類だけで終えてしまうというのは、さすがにちょっと味気なかったので、強制的に複数の愛機を持つことになるThe Crew 2の仕様はいいんじゃないかな。
【車両が安い】
上記の、「着せ替えがない仕様」に合わせた仕様だと思うんだけど、車両価格が安くなり、複数の車両を所有することが格段に楽になった。
The Crewではリアル通貨を投入しない限り、シナリオをコンプリートするまでに購入できる車両が、せいぜい1つや2つだったのに、The Crew 2ではほんの3、4時間のプレイでも、安い車両なら1、2台買えてしまう。
登場機種の多いゲームの特性にマッチした、いい変更だと思う。
【シナリオドリブンじゃない】
上述したように、The Crewはシナリオに沿って全米を走破していくゲームだった。シナリオを進めるためにレースをし、レースで勝つためにレベルを上げる。そういうゲームだった。レースは手段であり、シナリオが目的だった。
一方でThe Crew 2は、あまりそういうシナリオによる筋道がない。レースを進めるとストーリーは進むものの、ストーリーにはほとんど意味がなく、印象も薄い。レースをこなし、車両を強化し、それでさらに上のレースをこなす。レースのためにレースをする。つまりレースは手段であり目的でもある。そんな感じだ。
The Crew 2は、レースを繰り返してマシンを強化しながら、全米に点在するレースをすべて網羅する、という、RPGでいえば「サブクエスト消化プレイ」が主体のゲームのようだ。
シナリオの内容はThe Crewのほうがシリアスだったけど、ゲームプレイはThe Crew 2のほうがある意味ストイック。
【ファミリーとカテゴリー】
The Crew 2の競技カテゴリーは、4つのファミリーと、それに付随するいくつかのカテゴリーで分かれている。
ファミリーごとにはざっくりとしたシナリオがあって、名声を上げていくことで、ファミリー内のカテゴリーをアンロックしたり、シナリオを進めていったりすることができる。
例えばストリートファミリーの場合、ストリートレースを合法化する取り組みを手助けする、というシナリオになる。最初はストリートレースカテゴリーしかないものの、名声を上げていけば、ドリフトやドラッグレースといったカテゴリーもアンロックされていく。
とはいえ、あまりシナリオは重要じゃない感じ。とってつけたような印象がある。ないよりはいいけど、もう少しこう、モチベーションにつながるなにかが欲しかったな。こういうナンパな要素こそが、ガチレースゲームとThe Crewシリーズとの差異なわけだからして。
【キャラメイク】
The Crewではシナリオの都合で用意された、さえない髭男がプレイヤーキャラクター(ドライバー)だった。正直、運転席を見たくなかった。
The Crew 2ではマイキャラをいくつかのアバターから選択して、プレイヤー=キャラクターとして遊べる。そして服の着せ替え要素なんかもある。ファミリーのHQや、マイハウスの中では、人間としてのキャラクターを操作できたりもする。
プレイヤー=キャラクターなゲームが好きな自分としては、RPG要素が強化されて気分がいい。
【海と空】
ああ、言い忘れてたけど、船や飛行機の追加ももちろん変更点としてはある。でも、このゲームは陸のゲームだと思うよ。海や空はあくまでもオマケ。
【総じて】
The Crewよりも、シナリオがけん引してくれない、マップ開拓しなくていい、という部分ではモチベーションを維持しにくくなった。
しかしその一方で、マイマシンを育てる、という部分では複数のマシンを愛機にできて、モチベーションも数倍されている。マイキャラをいじれるし、マイハウスもあるしで、生活感が増している。
総合すると、・・・うーん、トントンくらいかなぁ。エンドゲームまではThe Crewのほうが好きだけど、ゲーム寿命が長いのは、最初からエンドゲーム以降のライフスタイルを意識しているThe Crew 2かもしれない。