そういえばマインクラフトの映画を観てきた。先月だけど。
総評としては、とても面白かった。
だけど、私の映画評は基本的に甘いというか浅いというか薄っぺらいので、真の映画好きの評価はよくわからない。「途中で観るのをやめたくなるようなことがなかったら面白かったとする」というくらいの尺度の上で「とても面白かった」というような感じだ。
ただ面白かったという前提の上で、あえてネガったことを言えば、ここ1、2年で観た同じゲーム原作の2つの映画、マリオとD&Dに比べてしまうと、私の好みの上では少し劣っていた。
この2作とマイクラとが大きく違う部分は、ゲームの世界観だけで映画が成立していない、ということなんじゃないかと思う。
ゲームの特性上しょうがないんだろうけど、マインクラフトの映画は「現実世界からマイクラの世界に迷い込んだ」というような筋立てになっている。一方でマリオやD&Dは、それぞれの世界が完全なものとして独立して存在している。
この違いは思いのほか大きかった。マリオやD&Dの世界の荒唐無稽さ(魔法やその他のスーパーパワー)は、その世界のリアルとして納得できる。そういう世界なんだろうと。だけど現実世界の延長として描かれているマイクラの世界の荒唐無稽さは、そのリアリティのなさに許容ができず、本当に荒唐無稽に見えてしまった。その部分に「ご都合主義」や「子供だまし感」を強く覚えて、どこか引っかかってしまった。
またシナリオの方向性が、マリオやD&Dに比べるとマイクラが圧倒的に子供向けだったり(それ自体は悪いことではない)、突然歌いだすようなミュージカル仕立てだったり(これはマリオも若干あったっけ)というような部分も、悪い印象を私に与えていたように思う。
とはいえ、これだけネガっておいてなんだけど、そういった点は些末な点でもあった。
シナリオ性の全くないマイクラのようなゲームを、映画化=シナリオ化するということ自体が、題材としてかなり難しかったであろうことは想像に難くない。それなのに、ちゃんとそれをうまくまとめている点は、素直に評価したい。
またマイクラのボクセル的な世界を、リアリティを損なわないギリギリのラインで再現しているアイデアや技術も称賛ものだ。「あの世界を実写ってどうするんだ?」となるような部分を、ちゃんと仕上げている。見た時の「なるほどね」という納得感を、正しく与えてくれているのがすごい。
そんなわけで全体的には十分面白い映画だった。
なんとなく日本ではウケなそうにも思えたけど、世界では結構ウケてるようだし(ソースなし)、まずます良いんじゃないでしょうか。