何度も行ったことがある名栗湖を起点に、その近くにある未訪だった鳥居観音を訪れ、天目指峠を経て、飯能のモツ料理屋を目指す、という道程だ。
【名栗湖】
何度も行ったことがある割に、いつもダム部分で記念写真だけを撮って帰ってしまうため、ぐるりと一周したことがなかった。そこで今回は、名栗湖をぐるり一周してきた。
北側の道は、紅葉が綺麗に色づいた陽の当たる明るい道で、ちゃんとした2車線の舗装路でもあり、走りやすかった。一方で南側の道は、日陰でじめじめしており、道幅も狭く、走るには向かなかったものの、対岸の山肌に陽が当たる関係で遠景は美しい、というような道だった。
ともあれ、やっぱりここは、ダムの上が一番いいかな。
【鳥居観音】
鳥居観音は、地元の政財界の大物が自費+募金で勝手に立てた単立寺院。山全体に仏教建築が点在していて、仏教のテーマパークといった様相だ。
これだけの規模のものを個人が?と思うとすさまじい。
そんな大規模な施設なため、ふもとの本堂から頂上の大観音まで徒歩で向かおうとすると、45分もかかるという、そこそこヘビーな山登りを強いられる。でも、バイクでいくなら、わずか5分で着く。
ということで、バイクでの山登りを期したんだけども・・・。
これが怖かった。
行程通してずっとドギツイ急斜面。道幅は狭く、舗装もでこぼこ、かつ、かまぼこ状なため、まっすぐ登るだけでも神経を使う。そのうえ、数か所のヘアピンカーブでは、十分な旋回半径が与えられておらず、私の愛車のようなクルーザータイプには相当厳しいコースになっていた。今回は幸い対向車がこなかったけど、来てたら終わってたな、というシーンが随所にあった。
それでもなんとか8合目とでも言うべき「玄奘三蔵塔」前の平坦な駐車場にたどり着いて一安心。そこからさらに10合目の「大観音」前までもバイクでいけたんだけども、そこから先は徒歩で向かうことにした。もう、この道をバイクで走るのは嫌なのだ。
鳥居観音の8合目~10合目は、こそかしこに真っ赤に色づいた紅葉が茂っていて、青空の青や、そそり立つ仏塔や大観音の白とともに、鮮やかなコントラストを描いていた。
過酷なライディングで疲弊した私の心も、その景色で癒された。かな。
【天目指峠】
あまめざすとうげ、と読む。
今回私は、特にこの峠越えを目指したわけではなくて、鳥居観音で後述のモツ料理屋への道をナビに入れたら、この峠を通る道を示されたので、否応もなく通ってきた次第。
これまたくねくねの面倒くさい山道だった。別に山道が嫌なわけではないんだけど、この時はもう山登りは鳥居観音でおなかいっぱいだったので、ちょっと食傷気味だったかな。バイクというより、自転車乗りに人気の道らしく、自転車乗りをちょこちょこ見かけた。バイク乗りからすると、斜面やカーブはともかく、道に堆積した木くずや葉くずがストレスだった。
今にして思えば、芦ヶ久保まで行って、R299を下ったほうが楽で楽しかったかな。
【プチバカンスもつの華】
Googleで発見した高評価のモツ料理屋。いや、もう、店名一点買いでしょこれ。「プチバカンス」で「もつ」の「華」。行ってみたくなる店名過ぎる。
ってことで行ってみた「もつの華」。
到着してみると、しかし早速困った。店の形式がよくわからない。
斜面に建物やテントが点在していて、ふもと部分にキッチンがあることだけはわかったが、勝手にテントの席についていいのか、注文はどうするのか、なにもわからない。おろおろしていても、店員さんが出てきたりもしない。
そうしていると、他のお客さんがやってきて、キッチン内のおかあさんに何やら話しかけていた。そこで、その人に「どうしたらいいんでしょうか」と聞いてみたところ、親切にいろいろと教えてもらえた。
曰く、「いつもはキッチンのおかあさんの他にホール担当のおとうさんがいる」「おとうさんが今配達中で不在」「なので注文も案内もなかったようだ」「ここで注文しちゃうといい」。
なるほど。事態は把握できたので、キッチン前で直接おかあさんに注文することにした。メニューはよくわからなかったので、教えてくれたお客さんのおすすめの「トリプル」にし、上のテントで待機することにした。
やがておとうさんも帰ってきて、テントまでトリプルとやらを運んできてくれた。
トリプルとは、このモツ料理屋のメニューにある「もつ焼き(こってり)」「もつ焼き(あっさり)」「もつ煮」の3つすべてが、おかずとしてついてくる定食だった。どのモツ料理も大変うまかった。が、量が多かった。3つのおかずどれもが、それ単体でごはん1杯いける分量だったのだからそりゃそうだろう。
ごはんのお替りもできたけど、この美味しいモツ料理を、満腹状態で食べるのももったいなかったので、汁っぽいもつ煮だけを食べきって、もつ焼き2種は持ち帰り用のパックをもらって持って帰ることにした。持ち帰ったもつ焼きは、その日の夕飯に美味しくいただいた。
ちなみにこの時、親切に教えてくれたお客さんと相席になって、1時間半近くずっとテントで会話に花を咲かせることにもなった。私はバイカーで、彼はチャリダーだったんだけど、年齢が近かったこともあって、お互いの乗り物の話から、職場での苦労話まで、妙に馬が合った感じで会話ができて、大変楽しかった。
おそらく彼と二度と会うことはないとは思うんだけど、こういう一期一会も旅の醍醐味だなぁ(なんつって、こんなことはめったにないんだけども)。
【国道】
帰り道は国道299号やら16号やらを経由した。いやー、やっぱりまっすぐ緩やかな舗装路はいいな。走りやすくて気楽で。ただ、帰り道は午前中までの晴天から一変して、曇天気味だったのが残念だった。