事の始まりは拠点そばで穴掘り遊びに興じていた時のこと。
「そっちにイノシシがいったぞー!」
という声が聞こえてきた。
と同時に響いてくる動物の足音。ズダダッ、ズダダッ、ズダダッ。やたら足音がでかい。これは近いんじゃァないか?
そう思ってつるはしを持ち上げ、周りを見渡すと・・・おお、いる。いるぞ! イノシシが私の採掘現場のすぐそばで、こちらをじっと見つめていた。
これは・・・狩るしかねぇ!
そう決意した私は、とりあえずつるはし片手に、勇猛果敢に殴りかかってみた。どぅりゃ!
が、全然効かない。いや、効いてるのかもしれないけど、よくわからない。イノシシは涼しい顔をしているように見える。
そしてイノシシの反撃が痛い! 防御力皆無の半裸原始人としては、イノシシの攻撃は痛すぎた。イノシシの突撃数回で一気にヘルスが20%を切ってしまった。これはまずい。逃げよう。
背中を向けて、脱兎のごとく逃げる私。その瞬間、一緒に殴りに参加していた友人が、視界の隅でイノシシに殺されていたように見えたけど・・・まぁ気にしないでおこう。今は我が身大事だ。
しかしいったん逃げ回ってみると、案外動物のAIは馬鹿だということが分かった。うまく誘導すると、掘っていた穴や、盛り上げた土、建てた小屋などに引っかかって立ち往生する。かつて原始人はマンモスを崖に追い落として狩ったというが、それに近い状況がここにあった。
これは・・・勝機!
上手く地形にひっかけたところで、ごそごそと投石器の準備をした。そして遠隔攻撃だ。ブーン、ブーン、シャッ! ゴスッ! おお、当たる! 君はゴリアテ僕ダビデ。スリング祭りの開催だ。
そんな風にして何発かイノシシに石をぶつけてやると、イノシシはだいぶ弱ったらしく、地形に引っかかるのをやめて、逃げ出し始めた。
ふっふっふ。完全に立場は逆転だ。
逃げるイノシシを追いかけて、なおも投石を続ける。腕の問題なのか、スキルが足りないのか、何度か弾があさっての方向へ飛ぶこともあったものの、何発かの命中弾を与えることに成功し、ついにとどめを刺すに至った。
ゆっくりと地に倒れるイノシシ。おおお。やった。
このゲームで初めて狩猟を成功させたぞ。なるほど、こうなるのか。イノシシの死体から、肉、皮、骨を回収し、いろいろと納得しながら、拠点に戻ったのでした。
こうやって1匹狩ったくらいで一喜一憂できるいまのうちが、一番楽しいんだろうなぁ。
罠を使った猟をしてみたら兎が捕れました