暑い季節が近づき、ビールがうまい・・・という話を聞くことも多くなってくるわけだけど、私はあまりビールが好きではない。だけど、そんな私の唯一好きなビールが、GUINNESSだ。
初めて飲んだのは、訪英したときのパブ。特に何の期待もせずに、のどが渇いたけど普通のビールは嫌だ、というだけの理由で飲んでみたら、そのビールとは全く異なる穏やかな味、そして何よりクリーミーな泡の味わいに、深く驚かされたのが懐かしく思い出される。
すっかりGUINNESSが気に入ってしまった私は、訪英中にのどが渇くたびにパブでGUINNESSを求めた。そして帰国後も、あの感動をご家庭でもう一度、とばかりに近所のスーパーで売っていた、瓶入りのGUINNESSを飲んでみたんだけど・・・なんと、これが全然おいしくない。そのときの経験から、どうやらGUINNESSは、ちゃんとサーバーで注がねば、あのクリーミーな泡ができず、おいしさを大幅に損なうのだと知ったのだった。
それ以来、家でうまいGUINNESSを飲むのは無理なのだと思っていた。ところが先日、スーパーで売られていた缶入りのGUINNESSを、気まぐれで買って飲んでみたら、またその考えを改めてしまった。「瓶入り」のそれとは違い、「缶入り」のGUINNESSは、かなりうまいのだ。
缶入りGUINNESSには、フローティング・ウィジェットという特許技術が用いられている。この技術は、缶の中に、プラスチック製の球体が浮かんでいて、缶の開栓による気圧変化を利用して、その球体から大量のきめ細かい気泡を噴出させるというもの。これによって、サーバーで注ぐのと同じような、クリーミーな泡を、缶入りGUINNESSでも味わうことができるのだ。
そういう仕掛けがあることを全然意識してなくて、どうせクリーミーさはないんだよな、と期待もせずに買ってきただけに、予想以上の「本物らしさ」を提供してくれた缶入りGUINNESSには、すっかりやられてしまった。
うまいGUINNESSを飲みながら、近所のハム・ソーセージ専門店で買ってきたヴァイスブルストをかじる。うーん、幸せだ。