先日入手した揚げ物界のアーティファクト、こと、ディープフライヤーでいろいろ実験を繰り返している。
が、まず実験そのものよりも、使ってみてのレビューを先にしておきたい。
いいところは、やっぱり「周囲が汚れない」ということだ。ほぼ密封状態での調理になるので、揚げ物どころか、炒め物よりもキッチンは汚れない。下手をすると、煮物より汚れない。そこに惚れ込んで買ったようなものなので、その面では期待通りだ。
逆に、使ってみないとわからないネガティブな要素もいくつかあった。その最たるものは、揚げ網の最高位置がちょっとだけ低い、ということだ。外蓋を閉じた状態で、揚げ網を昇降できるというのが特徴のディープフライヤーなんだけども、揚げ油を最大量入れていると、その揚げ網を上げた状態にしたときに、揚げ網がギリギリ油に触れてしまう。上掲の写真の状態でも、実は肉の底面が油に触れていたりする。なぜあと1センチ、いや5ミリ上に設計しなかったのか。惜しまれる。
ともあれ、やっぱり新しい道具は面白く、いろいろとやりたい気持ちになる。というか、やりたい放題やっている。
そこで、そのいくつかを紹介したい。なお、以下の実験はすべて「1度も油を交換せずに1日1件を連続で」行っている。「どこまでノーメンテで油を使いまわせるか」の実験も兼ねているのだ。
【ケース1:冷凍ポテト】
1番期待されるのはたぶんこれだろう。期待通りに、ファーストフード店のような要領で揚げることができた。油もあまり汚れない食材なので、反復性も高い。100点。
唯一の問題は、一般的な冷凍小売サイズ(300g?)を丸ごと揚げるには容量的にギリギリで、油が「ひたひた」くらいになってしまうところだ。その状態で手を加えなくても揚がるは揚がるものの、途中で一度ふたを開き、中身を均一にしてやるなどの手間をかけたほうがベター。
【ケース2:牛モモブロック素揚げ】
写真のブツ。普段なら食えたもんじゃない、豪州産のグラム100円台の牛モモを買ってきて、サイコロ状に切って揚げてみた。発想としては、「焼くより油跳ねもないし、ひっくり返したりもしなくていいから楽だろう」という安易なもの。
できたものは、ほとんど焼いた場合と変わらない、牛サイコロステーキのようなものになった。ただし、元々が元々なので、肉自体がまずかった。あとやっぱり素揚げなので、旨みが逃げてしまった、ということもあったかもしれない。50点。
また、肉汁流出事件の悪影響は、味が落ちるということに留まらず、油が汚れる、という大きな欠点もあった。一気に油が濁ってしまったよ。
【ケース3:豚バラブロック素揚げ】
発想は牛と同じ。
でも結果はずいぶんと違っていて、こちらは美味しかった。単純に「安い牛」より「安い豚」のほうが美味いだけ、という気もするけど。75点。
当然、油の汚れ度も高かったと思うけど、ケース2の時点で十分に汚れてしまったので、もはやなにがなんだかわからない。
【ケース4:牛モモブロック唐揚げ】
ケース2とまったく同じ肉を、1)前日から塩と香辛料で下味をつけておく、2)揚げる直前に片栗粉をまぶす、として調理。
一手間かけてだいぶ美味しいものになった。十分に食える。下味が素材の悪さをごかまし、かつ、衣がうまみの流出を妨げてくれたのだろう。なぜ、人は肉を素揚げにせずに唐揚げにするのかがわかる。
また、から揚げとはいえほぼ赤味肉なので、罪悪感が少ないのも悪くない(すいません、本当はそんなもの微塵も感じません)。70点。
【ケース5:豚バラブロック素揚げ】
同上。ケース3とまったく同じ肉を、1)前日から塩と香辛料で下味をつけておく、2)揚げる直前に片栗粉をまぶす、として調理。
結果も同上。これはほとんど文句のないレベルにまで昇華した。90点。
【ケース6:冷凍から揚げ】
もっと簡単に! ってことで、スーパーで売っている「レンジでチン」的な冷凍食品のから揚げを、テキトーに揚げてみた。
簡単がとりえ、って感じ。味は所詮冷凍食品。ポテトに比べて唐揚げだのハンバーグだのの冷凍は、どうしても非冷凍ものと比べたときの劣化が大きいな。これなら鶏肉を買ってきて素揚げなり唐揚げなりにしたほうが良さそうだ。55点。
【今後の展望】
と、こういったものをこれまで試した。
油チェンジ、油こし、油の継ぎ足し、といったことをせずに、使用後はそのまま放置で、翌日にまた使用、という雑な油管理でも、1週間ほど連続で使えている。劣化した油を使っても、長期的にどうなるかはともかく、今のところ油による健康上の被害もない。ひとつの目安で覚えておこう。
今後は、もっと変なものを試したいかな。脳裏に浮かんでいるのは、食パン、とか、ホルモン、とか。
定番過ぎるということで避けてしまった鶏肉もそろそろやらないとな。唐揚げでは普通過ぎるから、懲りずにまずは素揚げしてみたい、素揚げ。皮パリパリイメージ。
あとは、海鮮ものね。定番なら海老とかシシャモとか。変化球としては「これからの季節は秋刀魚揚げですなー」とか、聞いたことのないセリフを吐いてみたい。水分の多いものは油跳ねがひどいから、そういうものでこそ、蓋つきのディープフライヤーが活躍できるだろう。ただ、生臭い海鮮ものを揚げると、さすがに油が死ぬだろうから、ご利用は計画的に。