MWOは基本無料+アイテム課金のいわゆるF2Pゲームだ。
世間に存在するアイテム課金システムのゲームには、MWOのような基本無料のF2Pから、GW2のようなパッケージ代は支払った後に別途オプショナルにアイテム課金コンテンツも購入できるケース、TSWのようにさらに月額利用料金もかかるようなケースなど、複数のパターンがある。
これら複数のパターンは、当然ながらイニシャルがかからないものほど、課金コンテンツに対する依存度が高い。つまり「課金コンテンツにお金を支払わないと楽しめない度」が高い。だからF2Pの場合、イニシャルがゼロであるのだから、課金コンテンツに支払いをしないと楽しみが目減りするというのは、本来的には正しい。
とりあえず作って、無料で人を集めて、人が増えて、開幕直後にワーッと回収して、国の援助もあって、あとは惰性で終わり、という異常な文化圏の出身者をのぞけば、当然理解できる理屈のはずだ。
そしてMWOはまさにそんな設計になっている。
MWOの楽しみ、遊ぶモチベーションは、大きく3つだと思う。1)戦闘そのもの、2)自機のカスタマイズ、3)パイロットの成長、だ。これらが有機的に絡まるところ、つまり戦闘をすることでお金や経験値が溜まり、溜まることで自分が強化され、強化されると戦闘を思うように進めやすくなっていく、そういうローテーションが最大の楽しみになる。
しかしアイテム課金コンテンツに手を出さない場合、つまり無料プレイヤーの場合、MWOではこれらを楽しむのがとても難しい。
まず自機のカスタマイズ。これは自機を買わない限りは行えない。自機を買う方法は、無料レンタルのトライアル機でお金(C-Bill:CB)を稼ぐか、リアルマネー(MC)で買うか、という2択になる。
1番高いアトラスを買う場合3000MCほどなので、リアルマネーだと1機1500円ほどかかる。
これをゲーム内で稼いだクレジットだけで買う場合・・・いくらだったっけな。9,000,000CBくらいだっけ? 1試合あたり100,000CB稼げたとしても、90試合しないと買うことができない。90試合くらいたいしたことがない、と思うかもしれないけども、後述するように「成長しない」トライアルメックで90試合するのは、結構骨が折れる仕事だ。
次にその成長の問題がある。トライアルメックにのっている間は成長ができない。なので成長が始まるのは90試合こなしたあとになる。つまり楽しみのローテーションは、最初の90試合の間は完全におあずけにされてしまうのだ。
さらに、このゲームのシステムは「成長するためには同じ機種の別型番を3機用意すること」が必要になる。つまり、アトラス乗りとして成長していくのなら、もう180試合かけて別の型番のアトラスをさらに2機買わなければいけないのだ。しかもせっかく買ったメックをカスタマイズしたければ、その分のC-Billも当然必要になるので、実際の出費はさらに増える。迂遠なる道のりといえる。
本来そこを楽しみにするはずの「好きに改造をしながら自分を成長させる」という行為。しかし課金コンテンツに支払いをしない場合、そのスタートラインに到着するには、270試合以上をこなす必要があるのだ。
もちろん、もっと安い機種を狙えば、スタートラインはより近くなる。またこういう苦労も楽しめるタイプの人なら問題はない。時間だけは腐るほどある学生さんなんかは、それでいいかもしれない。
でも正直、多くの人にとっては、トライアルで楽しめそうだと思ったら、自分が乗る機種を定めて、その機種を3つ買うぶんのリアルマネーを投入するのが、手っ取り早い楽しみ方だと思う。たぶん運営側もそのつもりでゲーム内経済の設計をしているだろうしね。
とかくF2Pというと運営が課金をすることが守銭奴のように罵られ、支払う側もなにか悪いことに加担をしているかのような風潮がある。でも、今日日そんな考え方は時代遅れだ。本当はニーズに応じて登場した課金方式なのだから、素直に受け入れるのが吉だと思う。
MWOが日本人受けしそうもないモッサリゲームである、ということは、ひとまず置いておくとして、だ。