【はじめに】
オンラインゲームのオープンβテスト(OBT)について、誰とは言わないがteltelさんが私の認識とは相当違う定義をしていた。そこで、私の思うところを述べたい。ただし以下は、ただウザいだけの反論になりそうなので、誰とは言わないがteltelさんのmixiにレスをするのは避けた。
【定義】
さて、運営にとってのOBTとはずばり・・・そりゃぁ「テスト」でしょう。
はい、そのまんまですね。製品(この場合オンラインゲーム)の出来をテストし、その評価をリターンしてもらって、製品の質向上に役立てる。そしてそれをオープンに行うということは、数あるテスト項目の中でも特に、「オープンにする必要のあるテスト内容」をテストするということになる。言い換えれば、「クローズドではできないテスト」。それを行うことが大目的になる。
一方プレイヤーは「善意の協力者」という位置づけになる。
善意の裏には、「純粋に遊びたい」「製品購入の判断基準にしたい」「(ワイプがないゲームなら)いち早く育てたい」などの下心もあるだろうけど、名目上は善意の協力者でしかなく、なんらかのリターンを期待できる立場にはない。制作フロー上のプレイヤーの立場は、「製品の質向上のための評価を得るための手段」という「駒のひとつ」だ。テスターと並列にあるものは、データや記録や解析結果であって、運営と対等な立場なんかではもちろんない(テスターは未来の顧客なので、そういう意味では実は対等以上なのだけど、それは権力の濫用であって、テスト中に客の顔をするテスターを私は唾棄する)。
以上があたりまえの建前で、そんなことは確認の必要もなかろうと思っていたんだけども、どうもそれすらも怪しいので、私はこう思っているぞという定義をまず述べておいた。これがキレイゴトのラインで、でも不可侵なライン。
【OBTの意義】
さて、それを踏まえて、今回のFF14のβテストについて考えてみよう。・・・と言いたいところなんだけども、その前にまず、上記に加えて、OBTを行うことそのものの効用について整理しておきたい。
最大のメリットはいうまでもなく、上記目的を達成できるということだ。つまり「オープンにする必要のあるテスト内容」をテストできる。また、副次的なメリットとしては、「ゲームの紹介ができる」「客寄せができる」等がある。
逆にデメリットは何か。これはもう、「商品価値が下がる」につきる。
そういったことを踏まえて、いよいよ今回のFF14のOBTについて考えてみよう。
【テスト期間について】
まず、当初設定された9月1日~20日付近というテスト期間について。
これはどう考えても長すぎると私は思う。「オープンにする必要のあるテスト内容」というものがなんなのかは、私にはわからないけど、今までのMMORPGの経験からすれば、「そんなものはほとんどない」というのが私の結論だ。せいぜいストレステストを2,3日やれば十分だろう。
一応副次的な目的のために、サービスやキャンペーンとして、純粋な「無料体験期間」を設けるにしても、まぁ1週間もあれば十分だと思う。それ以上は商品価値が下がるというデメリットだけが増大し、メリットを生みそうにない。もっと言ってしまえば、FF14に関してはすでに話題性、認知度ともに十分すぎるほど足りているので、この副次的な目的は無視してもいいくらいのものだとさえ思う。
よって、この期間に関しては、副次的な目的に時間を割きすぎている、というスケジュールミスだと感じている。
【OBT開始時期の延期について】
続いて、OBT開始時期の延期について。
これはなんの問題も感じない。テスト運営者がテスターに担保すべき内容は、「テストをさせてやる」であって、テスターが個々に抱いている、善意の裏の思惑までは斟酌すべきではないと思うからだ。
この場合あえて強い表現にしたけど、斟酌しなくていい、ではなく、斟酌すべきではない、と思っている。ここでテスターにおもねるようなテストをすると、本来のテストの意味を見失ってしまいかねないからだ。「オープンにする必要のあるテスト内容」をテストする目的以外のものを目的にすべきではない。これは上述したように不可侵のラインだ。
よって、「オープンにする必要のあるテスト内容」をテストするために延期をすることは、正しい行動で共感が持てる。
【結論】
ということで、当初のテスト期間は長いと思っていたし、延期は別に腹が立たないし、長すぎるテスト期間が短縮化されてよかったねとすら思う、というのが私のスタンスだ。
うん、誰とは言わ(中略)elさんとは、相当違うなぁ。
ついでにいえば、発売時期も延ばせよ、とか、CBT期間が足りないだろ、とかも思っているけど、それはまた別の話だ。
【おまけ】
さて、こういうことを言うと、「テスト期間が短いと、改善が十分にされないかもよ?」とか、ただ長く遊びたいだけのくせして、賢しらなことを述べ給うお子様が湧いたりするんだけども、だがね、キミ、いいかね、それはOBTの仕事じゃぁそもそもないのだよ。
ゲームそのものの内容を磨く作業は、社内テストやCBTにおいて、社員やテスターとの密なコミュニケーションのもとで行われるべきものだ。OBTをやっても、ゲームの質はたいして上がらない。少なくともCBTよりも効率がいいと言うことは絶対にない。
だからそういう主張をする人は、「CBTに戻すべきだ」という主張をするのが正しいのだけど、それは内心の下心に反するので、結局そういう主張は出てこない。やれやれだ。
【おまけ2】
OBT期間が短くなって、「買うかどうか判断できる期間が減る!」と思うことを否定しているわけではない。というか、それは私も思う。
ただ、そうなったときに「判断できる時間が減るからもっとOBTさせろ!」ってのは筋違いだと思う。判断できる期間を設けてもらえたことこそが幸運なのだ。そんな話。
【おまけ3】
じゃあ、面白いかどうかもわからないものに投資しろと言うのか、というのもまた別の話で、テスト期間の長短を述べるのと同列にすべきではないと思う。価格設定や、体験コースの有無について別個論じるべきであって、テストのありようとは無関係。
【おまけ4】
つーかね、フリーミアムは難しいよ。テストにかこつけた適当なプランはよしたほうがいい。実はこれが言いたい。