日記: 9月4日(2009年)

 暑い夏も終わりが近づき、ちびっ子たちの夏休みも終わった。やっと平穏な週末ツーリングを楽しめるシーズンだ。


行程図

 ってなわけで金曜日に休みを取って、金、土と2日間のキャンプツーリングに行ってきたよ。

 今回の目的地は山梨県。史跡として武田神社、景勝地として昇仙峡、そしてメインの観光スポットとして、サントリー白州蒸留所の見学に行くというプランだ。観光ののち、蒸留所で手に入れたウイスキーでもちびりちびりやりながら、炭火で酒の肴を焼きつつ夜を過ごせればこれ幸い、という想いを胸に出発した。


初狩PAにて

 出発地点の写真は、中央道の初狩PA。都内での出発前撮影を忘れたので、こんなところが旅の記録のスタートだ。

 この日の天気は曇り。現地の天気予報は、出発段階で降水確率40-50%だったので、多分に運頼みの要素を秘めた旅立ちとなった。雨が降らなければいいけど・・・空気がもう今にも雨が降りそうな湿り気&気圧だよ。とほほ。

 ところで今回の積載の様子は、前回の積載よりもだいぶスタイリッシュになっている・・・と思いませんか? 今回は新兵器として、防水ザック、小型テーブル、インフレータブルマットを導入したのだ。よくわからんかもしれないけども、要するに大きなバッグを手に入れて、積載物のサイズを小さくして、全部を1つのバッグにいれた、ということだと思ってください。

 積載がある程度スタイリッシュで、色合いが落ち着いているというのは、私のこだわりポイントの1つなので、その点が向上したと個人的には満足している。衣装ケースをくくりつけるようなのは、私的にはちょっとないのだ。

 初狩PAでは、軽く朝飯がわりに「鶏串」とかなんとかいうものを食べた。唐揚げほどもある大きさの、鶏のモモ肉とおぼしきものが、串に刺さって焼かれているというもの。焼き鳥の親分だと思ってもらえればいい。味のほうは、取り立ててうまくもなかったものの、量が結構あって満腹してしまった。

 そのまま平日午前の中央道を西進する。さすがに平日午前だけあって、道はガラガラ。ストレスなしで甲府昭和ICにまで到着し、下道に降りた。


武田神社

 甲府昭和IC出口から甲府駅前を迂回して、いかにも参道といった雰囲気の武田通りにでると、すぐに武田神社に到着した。2007年の大河ドラマで頻繁に登場したことでもおなじみの、武田信玄の本拠地である躑躅ヶ崎館の跡地に立っている神社だ。

 想像していたよりは、割と小さくまとまった感じの神社だな、というのが第一印象だ。比較的歴史が浅いことと、綺麗に整備され過ぎていることがあいまって、決して悪い雰囲気ではないんだけども、特筆に価するような感動もないというのが率直な感想だ。

 ここは神社そのものよりも、参道を含めた躑躅ヶ崎館周辺の配置とか、「ここに武田信玄がいたのだ」という想像とかに興趣を見出すのがよいのかもしれない。そういう点では、名高い武田信玄ゆかりの地としての「格」は抜群に高いので、歴史マニアならば喜べるに違いない。

 よし、ひとしきり武田神社の観光は終えたので、次の目的地である昇仙峡に向かおう。

 そう思って出発したら・・・ああああああ。ついに雨が降り出してきた。昇仙峡にいたる山道を登っていくにつれ、雨の勢いは増していく。これはまずいなぁ。

 なんとか昇仙峡の白眉たる仙娥滝エリアを越え、ロープウェイ駅そばまでついたところでギブアップ。駐車エリアの木陰で、雨がしのげる場所を探して一旦雨やどりをすることにした。

 待つこと15分ほど。しかし空は分厚い雨雲に覆われていて、一向にやみそうもない。まだまだ先の行程もあることだし、あんまり時間を浪費したくもないな。雨がやむまで待つことをあきらめた私は、駐車場でおもむろにレインスーツに着替え、昇仙峡観光はせずに、このまま雨の中を突き進むことに決定した。

 ほうとうを食うプランもあったけど、鶏串で腹も膨れているし、そんなに好きな系統の食い物でもないし、パスだ、パス!


昇仙峡への道

 途中、なんとか昇仙峡の見晴らしの良い場所で記念の写真だけを撮り、駆け抜けるように通過した昇仙峡を背に、山道を下山した。

 しかしふもとまで降りてみると、あっさりと雨がやんでいるではないか。どうやら今のところは山間部のみの降雨らしい。ぬーん、こんなことならレインスーツに着替えなくても良かったか。と後悔しつつ進む。

 なぜ後悔するかと言えば、多少の雨降り程度なら、服が一時的に濡れても、そのあとに雨がやみさえすれば走行風で濡れた服も乾くんだよね。だからすぐにやむ程度の雨なら、そのまま走っていたほうが結果的にドライな服装を維持しやすくて、逆に中途半端に濡れてから着替えてしまうと、下手に濡れた服をしまいこむことになって、乾かす機会を逸してしまいがちなのだ。まぁ仕方がないな。

 道はやがて甲州街道(R20)にぶつかった。「おぉ、あの都心でもおなじみのR20がこんなところまで」というような感激の仕方をしつつ、そのままR20を長野方面に進んでいく。

 R20の両サイドには、金色に輝く稲穂が敷き詰められた水田が広がっている。ツーリングのたびに思うことだけど、日本は本当に水田が豊かだな。なんとなく気分が良くなり、「その者、青きバイクにまたがりて、金色の野に降り立つべし」とかバカなことをフルフェイスの中でつぶやいて、「ランランララランランラーン」などと口ずさみながら、ハイテンションで進んでいく。

 道の駅「はくしゅう」で休憩をして、レインスーツから普段着に着替えなおしてから、また発進。やがて、すぐ近くにあるサントリー白州蒸留所に到着した。

 サントリー白州蒸留所は、サントリーのウイスキー蒸留所としては、あの有名な山崎蒸留所の次に建設された、第二の蒸留所ということになる。同地で取水している「南アルプス天然水」と同じ、綺麗な水源の水を使用しているということが大きな特徴で、ここではウイスキーの蒸留所見学ツアーと、天然水の工場見学ツアーを、無料で体験することができる。

 今月、別のウイスキーのメッカにも行く予定があるので、その予習として、まず白州にいってみておこうと考えた。これが今回のツーリングのメインイベントなのである。


ポット・スチル

 蒸留所見学ツアーは1時間に1回のペースで行っているらしく、私がついた時点で30分後に、次の蒸留所見学ツアーがスタートするとのことだった。自然豊かな蒸留所内をうろつき、みやげ物売り場などを冷やかして、帰りに買って帰るものの当たりをつけたところで、ちょうど時間になったので蒸留所見学ツアーのスタートだ。

 蒸留所見学ツアーは大きく分けて、1)映像による座学、2)発酵、3)蒸留、4)リチャー、5)熟成、6)試飲、の6パート編成だった。

 全体に広く浅くという感じではあるけど、ウイスキーのできるまでがわかりやすく説明されていたと思う。無料とは思えないクオリティで万民にオススメのスポットだ。

 写真は3)蒸留につかう単式蒸留機(ポット・スチル)。ウイスキー蒸留所と言えばこれだよな、という象徴的なやつだ。ある意味、これを見に来たといっても過言ではない。ガラス越しにしか見ることができず、あまり肉薄できなかったのが残念だ。

 面白かったのは、4)リチャー。一度使用した樽を再利用する際に、樽の熟成力を回復させるために、樽の中を焼き焦がすという作業だ。実際は機械化されているこの作業なんだけど、ここでは昔ながらの、人の手による燃焼行程をデモンストレーションしてくれて、なかなか面白い。着火から消化までの随所に職人の技があったりもして、見ごたえがあった。

 6)試飲は、悲しいかなライダーの私は飲めなかったし、お土産の実演販売的な要素が濃厚だったので、面白くもなんともなかった。見学者の中には、無料で試飲するために来たようなオッサンも多くいたようだけどね。

 そんなこんなで見学を終えた私は、お土産に手ごろな「シングルモルトウイスキー白州10年(300ml)」を買って、蒸留所を後にした。

 あとはキャンプ場に転がり込むだけだ。まずは道の駅「はくしゅう」に再び立ち寄って、併設されたスーパーマーケットで食料品を買い込んだ。この道の駅は、なかなか広いし、スーパーマーケットがあるし、キャンプツーリング視点では利用度の高い、良い道の駅だね。

 そこから山間部へ向かう道を進み、自動車で到達できる限界付近までいくと、登山道の入口のような険しい場所にあるのが、今回滞在予定のキャンプ場、白州観光キャンプ場尾白だ。本当はもう少しふもとにある、尾白の森キャンプ場のほうが、値段も、交通の便も、衛生面でも、ヘナチョコな私にはよさそうだったんだけど、平日はお休みだそうで断念した。

 さて、平日の、天候不安定の、しかもこんな山奥のキャンプ場である。当然他の客などなく、私1人での滞在となった。気楽と言おうか、孤独と言おうか。あえて人がいない時期、場所を狙っているとはいえ、1人となるとそれはそれで寂しいものだな。仕方がないけども。

 到着して、選び放題のサイトのどこにテントを設営しようかと思案していると、突然雨が降り出し、雷鳴が轟き始めた。これはまずい。

 あわててテントを設営する。前回の経験があるので、比較的サクサクとテントの設営はできたものの、設営が終わる頃には、全身の50%ほどが濡れてしまった。

 まぁ、それでもこれが2回目でよかったかな。ここで設営に手間取っていたら、全身ずぶ濡れで、なおかつテント内にまで雨水が浸入するような、それこそ安眠できたかも疑わしいテントしか設営できなかったかもしれない。それに我がテント、ムーンライトは設営が簡単で、設営手順的に設営中に雨水が浸入しにくいというのも幸いした。・・・まぁ雨が降ってくること自体がすでに幸いではないんだけどもね・・・。

 さて、なんとかテント内部の安全は確保でき、安住の地を構築できた。テントの中で着替え、体をざっと拭いて、とりあえず一段落する。しかし平和なテント内から布一枚隔てた外側では、さらに雨脚が強くなっていて、「土砂降り」という域にまで達している。幸いなことにつながった携帯電話で天気予報を見てみれば、この地方は「0時までゲリラ豪雨」だそうだ。

 これはもう1歩も外に出られない情勢だな。不幸中の幸いなことに、明日の天気は晴れだそうだから、今夜さえしのげば何とかなりそうだ。がんばれ私。


ミニキッチンで焼肉ごはん

 残念なのは、前回達成できず(前回はいい方向に断念したけど)、今回こそは、と予定していた「屋外での1人炭火焼肉」のプランは、やはり今度も断念せざるを得ない、ということだ。満天の星空の下で、肉を食いまくる夜はいつ過ごせるのやら。

 さりとて、せっかく買ってきた肉を無駄にするのも忍びない。なんとか狭い前室に調理空間を構築し、今回持参した秘密兵器の「不思議なめし袋」で飯を炊き、炭火ならぬコッヘルで肉を炒めて、無理やりにでも焼肉を食うことにした。

 いざ食ってみると、炭火じゃなくたって肉は肉であって、なかなか美味い。吹き込む雨を気にしながらだから、あせって食ってしまったし、調理空間としてはかなり狭かったし、焦げ付くフライパンを使った無理やりな調理だったけど、こういうアクロバティックなディナーも、まぁそれなりに楽しいじゃないか。うむうむ、これもいい経験だと前向きにとらえよう。

 とにかく、そんな風にテント内での調理&食事を終えて、テキトーに時間を潰してから、明日の好天を祈って就寝したのでした。

 ああ、そういえば登山道の入口に「熊注意」とか書いてあったなぁ。1人で雨で熊。三重苦。四面楚歌。woohoo…。

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