私の「ゲームを買う」体験の変遷。
そんなタイトルの話。
【1980年代半ば】
私の最も古い「ゲームを買った」記憶は、この時代のものだ。購入対象は、ファミコンのカセット。
この時代のファミコンのカセットは「デパートや大型スーパーのおもちゃ売り場」または「町のおもちゃ屋さん」で主に売られていた。ファミコンのカセットの陳列場所は、だいたいどの店でも、レジのそばのカギのかかるガラスケースの中だった。いかにも厳重な売り方だったけど、玩具界においては、手のひらサイズで数千円というのは、金塊に等しい重量価格比の貴重品なのだ。
ガラスケースの前で張り付くようにしゃがみ込み、陳列されたカセットのパッケージをガラス越しに凝視し、その絵柄だけで面白そうかどうかを判断し、購入していた(財力の問題で「買う」よりも「眺める」ことが大半だったが)。
あのガラスケースが、妙に懐かしい。
【1980年代後半~1990年代半ば】
この時代になると「ファミコンショップ」的な専門店が登場する。品ぞろえの薄いデパートや大型スーパーでは、ゲーマー少年の要求にはもう応じきれなくなっていたため、購入の主戦場はこういった専門店に変わっていった。
中古品の売買、というサイクルが展開されはじめたことが、この手の店の最大の特徴だろうか。またファミコンショップ、という名前であっても、スーファミやゲームボーイ、次世代機のソフトも、時代の変遷につれて売られていた。
こういった店では、カセットの空箱が展示されていたり、カセットがガラスケースの中に入っていても、専門店の気安さもあり、それを手に取らせてもらえたりした。情報誌の発達も相まって、ゲームを吟味して選びやすくなった時代だ。
この手の店は今でもあるだろうけど、私が利用していたのはだいたい上記のような年代になる。機種で言うとサターンまで。
私の、店舗に赴いてゲームを買う、という体験はここで尽きた。
【1990年代後半~2000年代】
通販全盛期。と同時に私の買うゲームがPCになった時代でもある。
この時期になると、ゲームはほとんど通販で購入するようになり、自分の足で店舗に赴くことはなくなった。最後に店頭で購入したPCゲームは、ウルティマオンラインかもしれない。インターネットの発展によって、通販が飛躍的に便利になったことに加え、そもそも通販でしか買えない海外のゲームをプレイするようになったことも大きい。
これがパッケージを購入した最後の時代だ。この時代に購入したPCゲームの、特に海外から届いたゲームのパッケージは、異国の香りがして開封するのが好きだった。
【2010年代~】
ダウンロード販売時代到来。
遊びたいゲームの99%がダウンロード販売に対応した結果、そもそもパッケージを買うことすらなくなった。PCの前で、ブラウザでオンラインショップを開き、ダウンロードしたいコンテンツを選択し、クレジットカード入金で購入する。
今現在の姿だ。
もう店舗に買いに行くことはおろか、邪魔になるパッケージを郵送してもらうことすら考えられない。ダウンロード販売していないようでは、そもそも購入の選択肢に入らないことも多い。昔は当然のようにしていたことを、今ではもうしたくなくなっている。
時代は変わったものだ。
でも、こうやって不便だった過去を思い返すと、なぜかほんわかした気持ちになったりもする。
そんな昔ばなしでしたとさ。