立ち寄りスポット回。
というか、大涌谷回。
なにを隠そう今回の箱根ドライブの最大の目的は、8年ぶりに大涌谷の黒たまごを食べて、さらに寿命を延ばす(?)ということだった。大涌谷こそが、箱根ドライブを実施するに至った、そもそもの動機だったのだ。なので、ことさらにこの大涌谷という部分だけを取り出して、記述しておきたい。
大涌谷と言えば、真っ先に思い出されるのは、その駐車場の混雑ぶりだった。往時は休日に大涌谷に乗用車なんぞで行こうものなら、1時間待ちでは済まないレベルの駐車待ちの車列が、長く長く伸びていたものだ。
しかし数年前の立ち入り規制時期で、おそらくある程度大涌谷に赴く客が減っていたであろうところへ、さらに畳みかけるように昨今のコロナ禍。さらにはこれが一番大きい要素だろうけど、この日は平日でもあった(休日の駐車場の混雑が嫌で、平日に行ったというのが正しい)。
そんな種々の要素が絡み合い、この日は幸運にもと言おうか、狙い通りにと言おうか、1分たりとも駐車場の待ち時間はなく、すんなりと車を停めることができた。
到着した大涌谷は、この世の終わりを思わせるような荒涼とした風景があるとともに、おなじみの腐った卵のような硫黄の香りでいっぱいだった。風景だけではなく、この香りを味わうことこそが、ここに来た目的の一つといえる。奇景を眺めながら、思いっきり硫黄臭を吸い込んで、文字通り「大涌谷の空気」を大いに楽しんだ。
風景に関していうと、少し曇り空だったのが残念ではあった。遠くにかすかに富士山の頭が見えていたのが僥倖ではあったけど、全体的にはどんよりとした雰囲気。ただ、そのどんよりさは「大涌谷の地獄絵図」という情景を描き出すという観点からすれば、必ずしもマッチしないものでもなかった。大涌谷という観光地に限って言えば、曇天もそれほど悪いコンディションでもないのかもしれない。
観光客の数はというと、駐車場の車の台数が控えめだった割には、大勢いたように思う。おそらくロープウェイやバスを使ってやってきている人も多かったのだろう。ロープウェイ駅周辺の施設には、日本国外勢と思しき人々や、修学旅行中の学生というような、自家用車では来ないであろう客層が、数多く見受けられた。
そして黒たまごだ。
土産物屋で購入し、許可を得て施設内の食堂で食べてきた。
うん、普通のゆで卵の味だな。「黒たまごならではのおいしさ」というようなものは、特にない。交じりっけなしの、ただのゆで卵。それ以上でも以下でもなかった。
でも、それでいいのだ。普通のゆで卵なのだから、普通のゆで卵と同じくらいには、当然おいしい。味に関してはそれで十分。あとはこの黒い見た目と、大涌谷というロケーション、そしてそれにこじつけられた「食べると寿命が延びる」というおまじないがあれば、もうそれで満点なのだ。
ということで、黒たまごを食べる、という目的を達成した私は、すっかり満足して下山し、芦ノ湖方面へ向かったのでした。
余談ながら、昔の黒たまごのパッケージには、はっきりと「1つ食べると〇年寿命が延びる」って書いてあったはずなんだけど、今回の黒たまごのパッケージからは、そういう文言がなくなっていた。「延命祈願」とぼかした表現があるばかり。なにか表示関係の法律に抵触したり、野暮なクレームがきたりしたんだろうか。
うーん、なんだか味気ないな。