日記: 1月6日 (2007年)

 昔、実家の近くに、いたくお気に入りのラーメン屋があって、数年前までは月に1回以上の割合で通っては、塩トンコツラーメンをそこで食っていた。

 あれから数年の歳月が過ぎた去年、突然その店は閉店してしまった。もう往時ほど頻繁に、その店に食いには行けなくなっていたものの、たまーに実家に帰ったときにそのラーメン屋へ行き、塩トンコツラーメンを食うことに、小さな幸せを見出していた私にとって、その閉店はショックだった。もうあの味は二度と食うことができない。その事実は、思いのほか私を打ちのめしたといっていい。

 ところが! ふとそのラーメン屋を思い出して、ネットでなんとはなしにその店について検索してみると、同系列の、似たような味のラーメンを出す店が、ほかにもあるらしいとの情報を発見できたではないか。

 あの味に再び合えるかもしれない!

 冬晴れにめぐまれた今日、私はそんな思いを胸に、バイクにまたがって、一路噂のラーメン屋を目指したのであった。

 実家からバイクで15分くらいかな。少し混雑していた国道を、すり抜けたり抜けなかったりという気まぐれ走行で進んでいくと、迷わず件のラーメン屋にたどり着くことができた。

 店は、トラックの運ちゃん御用達、という感じの、国道沿いのラーメンショップ風たたずまい。一言で言えば野暮ったく、ダサい。いまどきの洒落たラーメン屋とは一線を画す、昭和の気配色濃い、仮設住宅のような店構えだった。

 だが、それがいい。私の通っていた、今はなきラーメン屋も、そんな時代遅れの店だったからだ。逆に安心しさえした。

 しかし、入店すると、早速残念な結果が待ち受けていた。

 私が愛してやまなかったのは、塩トンコツラーメン。しかし、その店のメニューには、塩トンコツラーメンがなかったのだ。あるのは醤油か味噌のみ。嗚呼、なんてこった!

 やむなく醤油トンコツラーメンを注文することにした。

 そして待つことしばし。やってきたラーメンの味は、確かに、間違いなく今は亡きあの店と同じ・・・とまではいかないまでも、極めて酷似した味だった。残念ながら醤油味だったわけだけど、これが塩味だったら、あの懐かしの味になるであろうことは、想像に難くない。そんな味だ。

 ただ、当然塩味と醤油味は、全くの別物なわけで、想像はできても、それ自体は全く懐かしくもなんともない味であった。「あの味」を求めてきた当初の目的からすれば、失敗、といっていい。ただし、肝心の美味いか不味いかということを言えば、十二分にうまかった。醤油味だった、ということで、それほど「懐かしの味」感はなかったんだけど、そういう点懐古趣味を度外視してみても、十分にうまいといえる味だった。

 結局「あの味」でないことに、そして「塩トンコツがメニューにない」ことに、内心で不満を漏らしつつも、それはそれとして美味かったラーメンの魅力に負け、替え玉まで頼んでしまい、満腹。体も暖まったところで、帰路についた。

 懐かしの味との遭遇は、ニアミスに留まったという不満感と、美味いラーメンに出会えたという満足感で、複雑な気分を味わいながら、ラーメンで暖まった体で帰路15分間のツーリングを楽しんだ私なのであった。

日記: 1月6日 (2007年)」への2件のフィードバック

  1. teltel

    思い出の味、ありますよねー。
    私も昔、みたらしだんご、であったのです。
    小さなプレハブのようなお店で、おじいちゃんとおばあちゃんがやってましたが、徐々に店の営業日が少なくなり、中学生くらいのときにとうとう閉店してしまったのです。

    それから十余年経った一昨年、親戚の法事でその味に出会いました!
    そのお店の娘さんがやっているお好み焼きやさんでサブメニュー的に出されていました。
    また、その方のお姉さんもだんごやを営んでおられました。
    どちらのお店も当時の味に「酷似」はしているのですが、何かが違う…それはもう調味料の加減で出せる味じゃないのでしょうね…

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  2. Nez/蝿

    あるある。
    あと私の中では、子供の頃に住んでいた町の、
    肉屋で焼いていた焼き鳥。これが最強だった。
    いまだにあの味を超える焼き鳥を食ったことがない。

    きっと思い出が美化されてるんだろうけどね~。

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