バイブリーの鱒養殖施設、Bibury Trout Farmに併設されているカフェで昼食をとった。
食べたものはもちろん鱒。いくつかの調理法の鱒と、あとは普通のサンドウィッチと、そんなものが売られていたので、「焼き」の鱒にした。オープンカウンターの店先では、日本の縁日のヤキソバ屋台のような鉄板で、3枚に下ろされた鱒を焼かれていた。魚を鉄板で焼く、というのは日本的でもあってその味に期待した。
・・・んだけども、普通だった。
出てきたものは、鱒のソテーと、その上に魚を覆い隠すほどに大量に乗せられた野菜、というようなプレートだった。かなりサラダ感覚の強い料理で、魚メインで楽しみたかった気持ちは、粉々に打ち砕かれた。これは「魚料理と付け合せの野菜」ではなくて、「サラダと付け合せの魚」だよ。トホホ。
とはいえ味のほうはというと、塩焼きを期待したのにドレッシング味だった、というような誤算はあったものの、決して悪くはなかった。そもそもこの旅行では、生野菜が完全に欠落していたので、生野菜を摂取できたことはむしろ好ましくさえあった。
ただ味は悪くはないんだけども、この「焼きすぎ文化」のメッカであるイギリスにおいて、しかしこの料理だけは「焼かなすぎ」だったのは残念だった。魚料理こそはちゃんと焼いて、皮目がパリパリになるまで頑張れば、もっとおいしくなるのに。皮がヌルヌルネチョネチョ感を保つ程度にしか焼かれてはおらず、香ばしさと言うものとは無縁の料理だった。うーむ、素材がもったいない。
ま、せっかくバイブリーまできたから、という記念の食事と考えれば、許せるラインかな。
余談だけど、この施設には日本語で「この先にはトイレはありません。橋を渡った先にある公衆トイレをご利用下さい」などと書いてあった。でもその下には英語で「トイレはこの先にあります」と書いてある。そして実際にそこにトイレがあって、それを私は利用した。一瞬、「日本語を間違えたのかな」と思ったけどそうではない。要するに日本語では意図的にウソを書いているのだ。
おそたく日本人のツアー観光客がトイレに押し寄せると迷惑だから(たぶん過去にそういう事例が多発したのだと思われる)、どうせ日本人には英語は読めまいとたかをくくって、誤誘導しているのだろう。
誠意のないイギリス人のやり口にも、それを誘発してしまう日本人にも、同時に憤りを感じてしまい、複雑な気分になったのだった。