カテゴリー別アーカイブ: バイクとツーリング

日記: 7月16日 (2006年)

 前日、例の頭痛に襲われ、21時に就寝したせいで、今朝は午前5時30分には目が覚めてしまった。

 寝ぼけた頭で、「よっしゃ! せっかくの早起きを活かして、突発ツーリングへ行くぞ!」とか威勢のいいことを考えつつも、そこからうだうだと覚醒までの時間を、十数分ほどボーっと過ごす。低血圧は寝起きが悪いのだ。

 やっと頭の中の霧が晴れてきたので、もぞもぞとベッドから這い出し、居間のTVをつけ、実家が加入しているケーブルテレビの、天気予報専門チャンネルを観る。
 
 東京、曇り。
 山梨、曇りのち雨。

 ふむ。西のほうから雨雲が、徐々に接近してきているのがわかる。うーん、今日はかなり雨の危険がありそうだけど、明日はもっと降水確率が高いだろうな、コレは。よし、やっぱ今日行くしかないか!

 意識がはっきりしてきたところで、出発の準備を整える。Tシャツにジーンズというシンプルな服装の上から、メッシュジャケットを羽織る。タンクバッグに、マップやらタオルやらカメラやらを放り込み、傍らにあったレインスーツを見て、ふと数秒悩む。もって行くべきか、置いて行くべきか・・・いいや、置いて行こう。持って行って、かつ雨が降ったとしても、結局着替えが面倒くさくて着ない気がする。着ると暑いし、びしょぬれ上等だ。

 そして出発。今日の予定は「甲州街道で甲州に行くツー」にすることにした。甲州街道は、私が最もよく使う2桁国道なんだけど、相模湖以西には行ったことがないんだよね。相模湖以西になると、中央自動車道の範疇になってしまって、下道で進んだことがなかったのだ。

 ってなわけで、今回はひたすら甲州街道を西へ西へと進むという、おおざっぱなプランだ。突発ツーリングだったので、細かい予定はなしなのだ。走りながら考えよう。

 順調にまったりペースで相模湖を越え、未知の領域へと足を・・・もといタイヤを踏み入れる。

 上野原あたりで、遥か遠くの後方から、爆音が聞こえてきたかと思うと、ミサイルのような勢いで2台のバイクが、私を追い抜き、前方に消えていった。くたびれたツナギを着込み、ナンバープレートをひん曲げた、走り屋二人組。イエローカットをし放題にして、対向車を驚かせつつ走り去っていった。うーん、バッドライダーめ・・・。

 相模湖から上野原を経由して大月までは、時間が時間だけあって、スムーズに進んでいく。道の蛇行っぷりもたいしたことがなく、よく言えば楽チン、悪く言えば退屈な道のりだ。私は楽チン方向に物事を高く評価するダメ人間なので、非常に良い区間だった。

 大月駅に到着したところで、とりあえずランドマークとして大月駅とバイクの写真なんぞを記念に撮っておいた。駅前で撮るのは恥ずかしかったので、ちょっと外れたところでパシャリ。うーん、いい構図ではないなあ。

 大月駅近辺では、早朝だというのに謎の花火(?)が上がり、爆音を奏でていた。運動会の朝にあげるような、対空砲火みたいなあの花火だ。ボン、ボン、と威勢のいい音が轟いている。なんなのやら。

 しかし、この辺でさすがに腹が減ってきた。朝起きてから、何も食わずに出発しちゃったからなぁ。そろそろファミレスでも探しながら走らねば。

 ってなわけで、目を血走らせ食事処を探しながら、大月からさらに甲州街道を西へ西へと進む。すると、中央自動車道大月ICのすぐそばにデニーズを発見! 飯じゃ、飯じゃ! 速やかに飛び込み、念願の朝食にありつくことができた。デニーズブレックファスト、750円也。た、高いな。でもウマイ。

 デニーズに入る頃になると、ぽつぽつと小雨が降り出してきた。飯を食らいつつ、窓の外の雨風景を見て「もう降り出したか~」、と内心泣く。午前中は雨は大丈夫だろう、とか勝手な根拠なき憶測を立てていたのに、朝食の時点ですでに降り出すとは・・・。

 とはいえ、まだほんの小雨程度だ。朝食を終えた私は、小雨なんて降っていないかのように、再び西進する。

 んが、しかし。西へ行けば行くほど雨は加速度的に強くなり、笹子を通過した頃にはすっかり本降りになってしまっていた。笹子トンネルに入る直前、路肩に停車して、タンクバッグに防水カバーをかける。服はもうどうでもいいけど、携帯やカメラが濡れるとまずいからね。

 笹子トンネルに突入。私はトンネルが大嫌いで、通過するたびに「崩落しねーだろーな?」とか、チキンにもほどがある不安感を抱く人なんだけど、今日ばかりは、雨の降らないトンネルに感謝しつつの通過となった。

 トンネルを通過して、再び雨の中に放り出されたところで、道の駅「甲斐大和」に到着。雨はいよいよ強くなっていて、もうすっかり旅は苦行と化してしまっていた。しばらく甲斐大和で休憩をするも、雨がやむ気配は一向にない。とほほー。

 さてどうしよう。もうとっとと帰りたい気持ちで一杯だけど、帰るにしても、進むにしても、雨中行軍なのは一緒か。なら、もう少し進むしかないな。もう少し行って、中央自動車道と交わったところで、高速に乗って帰るのがよさそうだ。

 ってなわけで、道の駅「甲斐大和」を出発し、さらに西進する。勝沼大橋を越え、勝沼ICの標識が目に入った。しかし、この頃にはもう、雨のつらさが完全に突き抜けて、逆にヘルメットの中で「ワハハハハ」とか笑っちゃってるようなテンションになっていたので、なんだかここで帰る気がせず、勝沼ICをスルーしてしまった。

 さらに西進。気分的にはもう、雨のままどこまででもいける気分。・・・だったんだけど、ここで急速に尿意が襲い掛かってきた。やばい、やばい。コンビニにいくか、ファミレスに入るか。でもこのびしょ濡れっぷりで、店に入るのもなんかイヤだなぁ。

 尿意に負け、どんどん心が折れていく私。最終的に「高速にのればSAでトイレに行けるぞ」っていう、すさまじい結論に達した私は、立ち寄りたかった一宮浅間神社をもスルーし、甲州街道からR137に少し入って、一宮御坂ICから中央自動車道を、一目散に東京方面に走り出したのだった。

 中央自動車道を走り出して、30秒。「こ、これはやばいぞ」ということに気がついた。何も見えないのだ。

 ヘルメット用撥水スプレー、などという便利なものを用意していなかった私。横殴りの雨が、ショットガンのようにヘルメットのシールドに襲い掛かり、視界を阻害する。加えて、先行車の巻き上げる雨水が、霧吹きのように前方に拡散していて、さらに視界を奪っていく。怖い、怖すぎる。

 全身から集中力を搾り出して目を凝らし、どうにかこうにか最初のSAである釈迦堂SAについた私は、光の速さで排尿し、それからそこで雨量が衰えるまで、のんびり休憩することに決定した。なにしろまだ、朝の10時前だ。一日は長い。

 釈迦堂は小さいSAで、しかも、雨の、休日の、早朝の、上り側。需要のない2輪駐車スペースには、私のバイクがただ一台停まってるのみだった。寂しいような、気が楽なような。とりあえず広いスペースを占有できたので、悠々とヘルメットの水滴をぬぐい、グローブをミラーのステーに干し、ベンチに座ってボーっと外を眺めた。

 山野に囲まれたSAからは、雨のフィルター越しに、夏を目前にして緑の深い山々と、そこを覆うように立ち込める雨雲が見える。いかにも日本の梅雨という感じで、これはこれで見ていて悪くないな、なんて思う。が、コンマ1秒ほどで現実に立ち返り、「雨降るなよ!」と心の中で三村風になじりだす。

 空を見渡すと、甲府方面の空が、若干ここよりも明るく見えるから、少し待てば雨の弱い雲が流れてくるはずだ。経験からして30分も待てば、状況は改善するだろう。

 前向きな見通しが立ったので、ベンチから腰を上げ、お土産に信玄餅を購入する。私は食うつもりはないんだけど、うちの姉の好物だったはずだ。来週会う予定だから、そのときに食わせてやろう。

 やがて目論見どおり、雨量が少なくなってきた。チャンス! とばかりに再び走り始める。

 うんうん、先行車の跳ね上げも少ないし、ヘルメットにつく水滴もそれほどではなくなってるな。これならいける。

 気持ちよく高速を行く私。すると後方から、揃いの赤いスタジアムジャンパーを着た、三人組のライダーが私を追い抜いていった。三人とも、推定400ccのチョッパー風やらカフェレーサー風やらに乗っている。速さより、スタイル重視のスタイルだ。なので、速すぎず遅すぎないちょうどいいスピードで巡航している。

 これはいいペースメーカーになりそうだ。

 あんまり近づくとバトルを吹っかけていると思われかねないので、少し距離を置いて追跡をする。追跡しつつ、ヘルメットの中で「来たな赤い三連星!」とか、アホな独り言をつぶやく私。そして私は、青い矮星。

 赤い三連星を追い、軽を抜き、ベンツに抜かれるうちに、談合坂PAに到着。ストーキングをした赤い三連星もPAに入っていったので、連中とは距離を置いて駐車する。赤い三連星も、私がずっと着いてきてるのはわかっていただろうし、やや気まずかったのだ。

 私が駐車を終え、バイクから降りると、駐車した私の周囲に、続々とハーレー軍団が襲来、駐車してきた。どれもこれも、オリジナルペイントやら、ごつい風防やら、オーディオセットやら、サイドカーやらでデコレーションされた、推定価格300万クラスの連中だ。

 突然私を取り囲んだブルジョワ軍団。なんだなんだ、と思って見ていると、降り立ったライダーは皆、定年後数年が経過したと思われる爺さんたちだった。とりあえず怖くはなさそうで安心していると、爺さんたちの一人が、いきなり話しかけてきた。こ、これは噂の、「ライダー同士の交流」ってやつですか? なんか、こそばゆいな。

 「どこまで行ってきたの?」

 ―甲州街道を西に向かったんですけど、雨がひどくてUターンしちゃいました

 「こっちもそれだよ。そのバイクは・・・1300?」

 ―(ありえん)えええ!? 250ですよ。

 「250かー。でかいねえ。CBなんとかってやつかい?」

 ―(HONDA中型=CBの構図確認)いや、ゼルビスっていうんですが・・・知らないですよね

 「ほー。6、70万はするんだろ?」

 ―(尺度が違う・・・)中古で20万でしたよ

 「そんなんで買えるのか。250は維持費もないしいいね」

 ―ええ、いいですよー。

 というような会話を、しばし楽しんだ。

 私に話しかけてきた爺さんは、うっかり八兵衛みたいな、優しい顔つきの人で、失礼ながらあんまりバイクっぽくない人だったけど、いい人だった。会話の最後に、連絡先を教えてくれたら、今度走りに行くとき誘うよ、と言われたけど、さすがに毛色が違いすぎたので、これは丁重にお断りしておいたよ。

 休憩するほど疲れてもいなかったので、トイレを済ませ、会話も途切れたところで、早々に出発した。談合坂のあたりになると、一宮~釈迦堂の時のような、絶望的な降雨ではなく、せいぜい小雨程度になっていて、ここから自宅までは、あまり雨のことを意識しないで、安全快適に帰ってくることが出来た。

 自宅到着が正午前。結局今回も、日帰りどころか、四半日ツーリングになってしまったなぁ。私らしいといえば私らしいか。

 甲州街道を行って、高速で戻ってきただけの、なんの見所もなく終わってしまったこのツーリング。でもまぁ、初めての道も通れたし、雨中走行に慣れることも出来たし、爺さんとのコミュニケーションもあったし、それなりに内容の濃いツーリングにはなったかな。走行距離170km前後でしたとさ。

 次のツーリングはもう、諏訪湖行きになりそうだ。うなぎは時間が合わなくて食えないかも、と想像中。

日記: 7月14日 (2006年)

 夏ツーの目処が立った。予定は8月5、6、7日の2泊3日で、宿泊地は諏訪湖&山中湖だ。

 両方、日帰りできない距離では全然ないんだけど、信州の高原でのんびりしたいから、泊まることにした。200km/日の体力リミッターを標準装備の私だしね。

 元々は諏訪湖1泊の予定だったんだけど、両親が6日に山中湖に泊まるというので、便乗しようかと悪巧み。便乗するかどうかに関わらず、休みはとりあえず入れた。

 細かいコースはまだ(というか、おそらく前日まで)全然決めてないけど、諏訪湖でうなぎを食うことだけは、決意している。諏訪湖は、実はうなぎの名産地らしく、諏訪湖畔の岡谷市などは、「うなぎのまち岡谷」を掲げて、町おこしを狙っているようだ。私の根性的には、浜名湖はちょっと遠すぎるから、ツーリングにちょうどいい距離の、諏訪湖が頑張ってくれると、うなぎ好きの私としては、大変嬉しい。この辺がアクセスも評判もよさそう。食事時には並ばされる気配アリなのがネックだけど。

 あとはバイク復帰時に目標としたビーナスラインを走れれば、諏訪湖作戦は成功かな。

 一方、山中湖は・・・完全にノープランだ。日帰り圏だから、逆に宿泊ツーでどうにかしようという気がわかない。ま、行動圏内だから、テキトーに焼きそばでも食って帰ろうかなぁ。

 たぶんゼルビス最後の泊まりツーになりそうだから、頑張ろう。あー楽しみ楽しみ。

 唯一の心配事は天気だな・・・。今年の空気の読めない雨野郎を思うと、ドライブツーに化けそうで怖い。ま、それもいいか。

日記: 7月5日 (2006年)

 先週末、おもちゃを買ってきた。デジカメ吸盤君という、デジカメ等を吸盤で平面に固定できる三脚(脚はないけど)だ。

 バイクにカメラをくっつけて、峠を攻めるシーン(あぶないなぁ)やら、変態走行(すごいウィリーとか)を撮影している人が、世の中には大勢いる。そういう車載撮影をオンボード撮影とかなんとか言うらしい(自動車のダッシュボードの上だから?)。私は、人を感心させたり驚嘆させたりするような運転はしない、というかできないんだけど、単純に自分のバイクにカメラをつけ、その映像を見ることに、ちょっと興味を覚えた。

 ってなわけで、このチープな三脚をもって、お手軽にオンボード撮影もどきができるかどうか、土曜日の一瞬の晴れ間を突いて、近所の国道で実験してきた。さぁ、私の完璧な法規走行を見よ!

 続きはムービーが入るので、見たい人はクリック。

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日記: 7月2日 (2006年)

 ネタがないときのためのバイク調査報告書。その4。

 ・F650GS
  http://www.bmw-motorrad.jp/product/enduros/F650GS/index.html

 次期主力戦闘機選考の第三候補。まぁ、前述した2種にかなり心は傾いていて、ほとんど選考外ではあるんだけど、妙に気になるマシン。

 BMWのバイクはどうも、F始まりが単気筒、Rが2気筒、Kが4気筒になるようで、F650GSは650cc単気筒ということになる。高価なイメージのBMWのなかでは、最も安価な部類のバイクで、気軽に(?)買えなくもないモデルだ。

 このバイクはいわゆる「デュアルパーパス」というジャンルのバイクで、オンロードもオフロードもそこそこにこなせるように作られている。欧米では「アルプスローダー」ともいうんだったかな。現行の同排気量・同ジャンルのものには、SUZUKIのV-Stromや、HONDAのTransalpなんかがあって、F650GSも含め、どれも楽そうなポジションと、高い燃費、それに独特なスタイルを持った、魅力的なモデルだ。でも、オフロード要素があるぶん、F650GS以外はどれもシート高が高く、私のトライアルからは脱落させざるを得なかった。

 そんなF650GSの気に入った点は、特異な風貌と、非常に評判の高いポジション、そしてABSやグリップヒーターなどの豊富な装備だ。

 風貌の特異さは見てのとおり。オフ車に近いと言えば近いけど、どこか異様なデザインが目にまぶしい。サイドカバーからフロントフェンダーにかけてのラインや、埋め込まれたフロントウィンカー、人間の頭のような異様なヘッドライト&メーター&スクリーンなど、所有欲を満たすに十分すぎるスタイルをしている。

 ポジションについても、Webで調べれば調べるほど絶賛されている。特に評判がいいのがシートで、いくら走ってもケツが痛くならないとかなんとか。我がゼルビスもシートはかなり居住性がよくて、それになれてしまっているだけに、居住性の悪いシートに対しては未知の恐怖がある。だから、シートがいいっていうのは惹かれるなぁ。

 装備の充実も見逃せない。特にABSの装備は、かなり心揺れ動く項目だ。最近ではツアラーやスクーターを中心に、ABS装備車が増えてはいるけど、ミドルクラスではまだまだ少ない。私としては以前の事故の件で、急制動の重要性を知ってしまっただけに、特にABSが欲しくなってしまう。

 んが、そんなF650GSも、1)外車のクオリティに信用がおけないこと、2)乗車姿勢が「ママチャリ」で少し格好悪いこと、3)ダートを走る予定がほとんどないこと、などから私の選考からは遠のいてしまったのだった。1)は偏見かなぁ?

 あー、あと同じBMWのRocksterはメチャクチャかっこいいな。