カテゴリー別アーカイブ: 蘇・英国紀行’09

蘇英09: アーガイルズ・ロッジング

 スターリング城すぐ近くにあるピンク色の建物が、アーガイルズ・ロッジングだ。日本語でいうとなんだかわからなかったので、カタカナ英語そのままの名称でご紹介。アーガイルという、昔のお偉いさんの邸宅かなんかのようだ。

 ここはスターリング城の入場券があれば無料で入れるというので、しめしめとばかりにスターリング城からの帰路に立ち寄ったんだけど、あいにく入場することはできなかった。正確に言えば、入場しようと思えばできたのだけど、時間の都合でできなかった、ということになる。

 顛末はこうだ。

 ・アーガイルズ・ロッジングに向かった
 ・入口で止められた
 ・「ガイドツアーで案内するから開始時間を待て」
 ・待つだけの時間はない
 ・帰る

 という流れである。ま、仕方がないですな。入口で写真だけとって、おさらばした。トホホのホ。

 さて、以下は余談だけども、ここで面白かったのは、入口で制止して「ガイドツアーの開始を待て」といったおじさんだった。

 このおじさん。この旅行で遭遇した現地人の中でも、群を抜いて訛りのキツイ人で、正直何を言っているのか全くわからなかった。かろうじて聞き取れた重要な単語を抽出すると、ひたすら「ワイト・フォー・ゲイト」と言っている(冠詞がついていたかもしれないが聞き取れない)ようだった。

 さて私は考えた。しかし「ワイト・フォー」の部分は、おそらく「Wait for」ではないかと推測できたんだけど、「ゲイト」が全くわからない。普通に考えると「ゲイト」は「Gate」で、「城門で待て」かとも思ったんだけど、それにしては文脈がおかしい。「Wait for gate」じゃあ「城門『を』待て」になってしまう。

 で、10回くらい聞き返した挙句、「ゲイト」は「Guide」であり「ガイドを待て」だとわかったんだけど、いやー、難解だったよ。こんなに難解だったのは、前回の訪英時の入国審査で「アイ・ダイ?」と言われたとき以来だ。ちなみに「アイ・ダイ?」は、「I die?(私は死ぬ?)」ではもちろんなく、「Eight days?(エイト・デイズ?:滞在は八日間?)」だった。

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蘇英09: ウォレス・モニュメント

 ウォレス・モニュメントは、映画「ブレイブハート」でおなじみのスコットランドの英雄、ウィリアム・ウォレスを記念して立てられているモニュメントだ。

 モニュメントは内部を登ることができる塔形状をしていて、ウォレスが使用した(とされている)剣なども飾られているらしい。

 ただその場所が、スターリング観光の目玉であるところのスターリング城からは相当離れていたので、今回の旅行では、私は訪問するに至らなかった。もちろん根性を入れるなり、タクシーやバスを使うなりすればいけたのかもしれないけど、スターリングの登山で疲弊していた私は、ウォレス・モニュメントに肉薄することを、あっさりとあきらめてしまったのだ。旅行も3日目にして、精神力が磨耗していたのかもしれない。

 ということで、スターリング城から遠望しただけで終わったウォレスモニュメントなのでした。

 写真は↓

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蘇英09: スターリング城

 円錐形のスターリングの街の頂点に立つスターリング城。岩山の頂上に建てられ、難攻不落を誇ったこの城砦は、スターリング観光の目玉にして、この街のシンボルに相違ない。

 第一印象は、正直に言ってパッとしないと思った。エジンバラ城を見学したあとだったので、若干のスケールダウンという感が否めなかったのだ。加えて天候も災いしたと言っていい。青空の中気持ちよく眺めたエジンバラ城と、薄暗い風雨の中で覗き込むように見たスターリング城では、どうしても印象に差が出てしまう。

 しかし、スターリング城は噛めば噛むほど趣の出るよい城だった。

 時代に従って増築されていったと思われる、統一性のない建築物。どこか田舎の素朴さが残る、古めかしく、安っぽくすらもあるインテリア。どこを見ても、何か足りないというか、間の抜けた印象が否めない。高度に観光地化され、洗練されていたエジンバラ城と比べると、スターリング城はどうしても素朴で無骨といった印象になってしまうのだ。

 しかしそれこそがスターリング城最大の魅力であると言っていい。素朴で無骨で、そして少々間抜けであることが、「スコットランドっぽさ」を私の深層に投影してくれたのだ。私は「スコットランドっぽさ」を語るほどに、この土地の人々の気性を知るわけではないけれども、直感的に「これぞスコットランドだ」と私には思われた。

 城からの眺めも、スコットランドらしさという点では、エジンバラ城からの景観を凌駕すること数段だ。遠くバノックバーンの古戦場を望み、ウォレスモニュメントを望み、あるいは遥かなるハイランドに思いを馳せつつ虚空を眺める。純粋に景観が美しいという場所も、もちろん好きだ。でもそれ以上に、想像力の翼を羽ばたかせるような望み方ができるという点で、スターリング城からの景観は、私にとっては魅力的だった。

 スターリング城は、深い魅力と見所と景観に富んだ、私の大のお気に入りの場所となった。

 写真は↓

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蘇英09: スターリング

 スターリング(Stirling)は、エジンバラから電車で1時間ほどの距離にある小さな街だ。

 映画「ブレイブ・ハート」の舞台となった場所でもあり、同映画の主要人物であるウィリアム・ウォレスやロバート・ザ・ブルースゆかりの地として、その街の規模の割には、日本でも知名度が比較的高い街だと思われる。このサイトをご覧の皆様の何割かにとっては、AoKのチュートリアルミッションで、ウィリアム・ウォレスはおなじみかもしれない。

 スターリングの街の構造は、ほぼ円錐を想像すればよいかと思う。スターリング城が、円錐の頂点にあり、そのスターリング城の周りには、歴史を感じさせる旧市街が取り巻いている。さらに底面に向かって下っていくと、近代的な街区が広がっていて、ほぼ平野のレベルにスターリングの駅がある、という配置だ。

 そういう配置なので、電車でスターリングに行くと、そこから観光の目玉であるスターリング城までは、ただひたすら登り坂を行くことになる。小雨が降ったりやんだりするあいにくのお天気のなか、スターリング城まで10~20分の行程は、想像していた以上の肉体的試練となってしまった。

 なので、スターリングの第一印象は「登山たいへん」だった。今にして思えば、こじんまりとした中に、中世スコットランドの風情と、やや鄙びた現代スコットランドの田舎町の風情を併せ持っていて、味わい深い街だったようにも思うんだけどね。

 でも、疲労はそういった思考をすべて吹き飛ばしてしまうのだった。

 写真は↓

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蘇英09: スコッチ・ウイスキー・エクスペリエンス

 スコットランドと言えばウイスキー。そんなスコットランド名物スコッチ・ウイスキーのことを学び、体験できるのがここ、スコッチ・ウイスキー・エクスペリエンスだ。

 ガイドツアー形式の見学と、付随したショップやレストランからなる施設。今回はこのガイドツアーに参加してきた。

 ガイドツアーは大きく分けて、1)概要説明のゴンドラ、2)掲示物の閲覧、3)試飲、4)希少ボトルの紹介、となっている。

 「1)概要説明のゴンドラ」は、ディズニーランドのホーンデッド・マンションだと思ってもらえばわかりやすい。レールに沿って移動する酒樽型のゴンドラに乗り込み、壁面に映るウイスキー製造工程の解説を見ていくという、なかなかチビっ子が喜びそうなアトラクションだ。正直、なんの前情報もなくいったから、いきなりゴンドラに乗りこまらせられて、驚くやら胸が高鳴るやらだった。

 乗車時に使用言語を聞かれるので、そこで「Japanese」と言えば、ゴンドラから流れる紹介音声は全て日本語のものとなる。ここでは大雑把にウイスキーの製造工程全般を学ぶことができた。

 「2)掲示物の閲覧」は、1)の補足的な内容が壁のパネルに書かれているのを読むという、まぁそれだけのエリアだ。このエリアに侵入するときに、今度は音声ガイド機器を渡されるので、英語が読めない向きにも安心だ。この先あらゆる解説・ガイドは、全てこの機器によって多国語対応していたので、言葉の壁で困ることはなかった。高度にグローバル化されていることに感心したよ。

 ただ、このエリアの掲載内容はややマニアックで、あまり面白いものではなかった。

 「3)試飲」は、そのままの通りの試飲だ。試飲の会場に付くと、スコッチの四大産地、すなわちローランド、ハイランド、スペイサイド、アイラの説明がなされる。同時に各自の前に置かれた、各産地の代表的な香りが充填されたビンを開封して、それぞれの特徴ある風味を確認していく。最後に、確認したなかで自分が最も気に入った産地のウイスキーを、中央に置かれたテイスティンググラスで実際に飲ませてくれるのだ。

 4つの産地全てを飲み比べさせてくれないのは残念だけど、4つの産地のおおまかな違いは、解説と香りとで十分にわかりやすく理解できた。私はここでアイラウイスキーを選択。日本の安居酒屋で供されるような、均一化されたウイスキーとは一線を画す、燻製のような強いクセのある香りが良かった。

 ちなみに、ここで使用するテイスティンググラスは、記念品としてもらうことができる。

 最後は「4)希少ボトルの紹介」だ。形が珍しかったり、年代ものだったりするボトルが、ショーケースの中に入っているのを、いろいろと見せてもらえた。私はそこまでお酒マニアでもないし、希少品をありがたがる性向も少ないので、あまり楽しくはなかったけどね。

 ってことで、一通りガイドは終了。トータル1時間ほどかな? 全体的に飽きさせることが少ない構成になっていて、エンターテインメント性の高い、良い名所だったように思う。蒸留所を訪問するようなマニアを除く、普通の観光客には、必要にして十分なオススメスポットだ。

 なおショップのウイスキーの品揃えも圧巻だったけど、価格的には免税店のほうがやや安かったようだ。お土産購入を考えた場合、銘柄にこだわりがなければ、免税店で買うほうが荷物も最後まで増えなくて良いかもしれない。

 写真は↓

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