日記: 10月31日(2009年)

 この週末は、千葉房総半島一周キャンプツーリングに行ってきた。


行程図

 これから冬が近づいてくるにつれ、キャンプツーリングは気温的に厳しくなってくると思われるので、これがきっと今年最後のキャンプになる。だからこれを今年のツーリングの集大成とすべく、気合を入れて出発した。

 首都高湾岸線から東関東自動車道、京葉道路、館山自動車道と、次々に高速道路を乗り継いでいく。ETC割引制度導入以降、サンデードライバーが激増していて、散々な目にあうことが多い高速道路のツーリングだけども、この日は首都高の一部区間以外は快適そのもの。市原SAで少し休憩をしただけで、あとはほぼノンストップで現地まで移動することができた。行楽シーズンも終盤だからかな?

 さて今回の第一の目的地は、「ばんや」だ。「ばんや」は保田漁協直営の海鮮レストランで、様々なメディアでも紹介されている超有名店。ここで海の幸を食するのが、今回の目的のひとつなのである。


込み合う店内

 私が「ばんや」に到着した時刻は11:30頃。混雑することで有名なので、行列に並ぶことを覚悟していたんだけど、運よく待ち時間ほぼゼロで着席することができた。1人だったから、隙間の空席にするっと入り込めたことも、プラスに働いたのかもしれない。でもその後10分も経ったころには、店の前には順番待ちの人々が、20~30人ほどひしめき合っていたので、ここは基本的には「並ぶ店」だと思ったほうがよさそうだ。そういうのが嫌いな向きにはオススメできない。

 壁の掲示板を見ると、刺身、煮魚、焼き魚、揚げ物、と様々な海鮮系のメニューの書かれた札が掲げられていた。ここの名物は、巨大なイカのかき揚げ丼とか、新鮮な刺身などらしい。しかしこの日の私は、どうしても焼き魚が食いたい気分だったので、マコカレイの塩焼き定食をオーダーすることにした。魚種の選択は、ただ単に「食べたことがなかった」というもの珍しさによるものだ。


食いかけスマヌ

 待つこと20分弱。混雑っぷりと、焼き魚という調理法があいまってか、だいぶ長めに待たされた後で、やっとマコカレイの塩焼きが到着した。マコカレイとはなんぞや? と思っていたんだけど、見た目は単なるカレイですな。そして食ってみての味も、実にカレイっぽいというか、淡白な白身魚だった。おいしいんだけども、淡白すぎて物足りないともいえる。これは揚げたり煮たりしたほうがうまい系統の魚だな。

 ぺろりと塩焼きを食い終えた私は、順番待ちで混み合う「ばんや」を速やかにあとにした。

 この混み合いには、ETC割引とアクアラインの値下げも、大きく影響しているのかもしれない。アクセスしやすくなった内房に行ってみよう、というアクアライン特需の流れの中では、目的地と定めるに実に適当な位置にある店なのだろう。店にしてみれば願ったりかなったりな僥倖だろうけども、私のようなETCのない身分としては、余計なことをしてくれたものだと思ってしまう。うへうへ。

 今日はこの後、内房の海沿いを南下し、そのまま最南端を通って、ぐるっと外房を北上して、キャンプ場に行く予定だ。下道をそこそこの距離進まなければならないので、頑張ろう。


道の駅でソフトクリームが好き

 走っていて目に付くのは、道の駅の豊富さだ。房総半島はやたらと道の駅の多い土地のようで、石を投げれば道の駅に当たる。そのくらい道の駅がある。ってことで、いくつかの道の駅に意味もなく立ち寄ったりしつつ進んでいった。中には残念な感じの活気のない道の駅もあったり、そうかと思うとそこから10分程度の距離ににぎやかで立派な道の駅があったりする。道の駅に土地の活性化を期待した地方自治体の苦労と、その成功失敗にまつわる悲喜こもごもが偲ばれた。

 南総の道では断崖の下や防風林の隙間から、チラチラと太平洋を横目にしながら進んでいくことになる。切り立った岩山がそのまま海中に没するような、急峻な地形のありようと、そこに波がぶつかり飛沫を上げる様子が、いかにも日本的で気分が出てくる。今までの私のツーリングキャリアは、そのほとんどが山ツーリングばかりだったので、海が見えるというだけでも、相当興奮してくるのだ。


野島埼灯台

 やがて房総半島最南端にそびえる、野島埼灯台にたどり着いた。

 この灯台はお金を払って中に入り、登ることができる。せっかく来たからには、有料と言えども登らないわけには行くまい。わずか200円を払って入場し、「階段とハシゴ」という原始的な手段で灯台の展望台まで登った。

 北の房総半島と、東西南の太平洋とを一望。うむ、いい景色だ。

 しかし実は、私はこういうところで長くは景色を楽しめないたちなんだよね。この日もざっと一望しただけでもう「よし、見終わった」という気分になってしまった。これは「見ること」そのものよりも、「見たことがある」という経験をこそ欲しているからなのかもしれない。我ながら興趣がない感じがするけど、そういう性向なのだから仕方がない。

 景色をざっと網膜と脳みそとに刻み込むと、それですっかり満足した私はさっさと灯台を出て、さっさと出発した。

 よし、今日の寄り道はここまでだ。後はひたすら外房の海岸線を北上し、キャンプ場を目指すぞ。

 鴨川(・・・といえばシーワールド)やら、小湊(・・・といえば三日月)やら、勝浦(・・・といえば朝市)やら、御宿(・・・といえば月の沙漠)やらといった、有名な外房の観光地を通り過ぎ、すっかり日が落ちて暗くなりつつある17:00過ぎに、やっとキャンプ場に到着した。

 しまった! 思ったより到着が遅くなってしまったぞ! 真っ暗になってしまっては、テントの設営がしんどい、急げ!

 (つづく)

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