SWTORで知り合いになった厚木基地勤務の米兵に誘われて、厚木基地のオープンハウスに、ツーリングがてら行ってきた。
オープンハウス、いわゆる基地祭は、普段は関係者以外なかなか入れない基地内部を、一般市民に公開して楽しんでもらおうというお祭り。グッズや飲食物等の各種出店を楽しむような縁日要素と、軍用の車両や航空機の展示を楽しむミリタリーマニア要素を兼ね備えた、1粒で2度おいしいイベントのようだ。私は兵器を見るのも嫌いではないけど、あえて時間を割いてまで間近で見に行きたいというほどのマニアではないので、主な楽しみを本場のアメリカンバーベキューメニュー、要するに「肉」に照準を定めて出発した。
ちなみに米兵は来い来いと誘っておきながら、自分の連絡先を私に伝えなかったので(やや嘘。直前まで私に行く気がなかったので、聞くタイミングがなかった)、1人でただ行って、1人で帰ってきただけのイベントになった。米兵はただのきっかけというか、暇つぶしのアイデア提供者という位置づけ。ま、これはこれでいろいろと面倒がないからいいとしよう。
春の陽気は絶好のバイク日和。バイクにまたがって出発した私は、気分よくショートツーリングの旅を楽しんだ。
東京から東名で横浜町田ICまで走り、さらに下道を数キロ走った。片道大体1時間ちょっとで、「厚木市からだいぶ離れた綾瀬市にあるのに、なぜか厚木と命名されている」厚木基地近辺に到着だ。ちなみにバイクは近くの某商業施設の駐車場に置かせてもらうことにした。良い子はまねしないように。
その某商業施設からさらに徒歩数分。厚木基地門前そばに到達した私の目に飛び込んできたのは、入場待ちをする人々の、おそるべき長蛇の列だった。
推定1キロほどに伸びる人の列、列、列。入場門からでは列の最後尾は視認すらできず、そこから列に加わるために、最後尾にまで歩くだけでも一苦労だった。列はどんどん動いていたので、停滞感が少なかったのがまだしも救いだったものの、それでも結局私が入場門をくぐったのは、基地前に到着してから数十分が経過した午後1時ごろだった。正直マニアックな催しかと思っていたけど、想像以上に人気のある盛況なイベントなんだと思い知らされた。
入場門では、身分証明書を提示しての入念なセキュリティーチェックが行われていた。これが行列の主な原因だな。まぁ、仕方がないんだろうけども。
私は事前に「顔写真」と「本籍」を備えたIDカードが必要だという情報を得ていたので、それを満たす鉄板のIDカードである「パスポート」を持参して提示。なんなく審査をパスすることができた。しかし私の前のグループの人々は、その辺の事前調査がたりなかったらしい。「本籍の記載されていない新型運転免許証」を提示したものの入場を許可されず、門前払いを食らっていた。30分以上に渡って、ほぼ私と同じだけの時間並んでいた、ある種「苦楽をともにした」人たちだっただけに、哀れでならない。
そんな悲喜こもごもを尻目にしつつ、入場。
内部の開放されたエリアは、大まかに2つのエリアで構成されていた。ハンバーガー、ホットドッグ、ナチョス、ステーキ、チキン、ビール、ソフトドリンク、カキ氷、などを売るアメリカンな出店に囲まれた「芝生のエリア」と、展示用の航空機が並べられ、マニアのみなさまが群がっているであろう「滑走路のエリア」だ。
私はここまで朝からなにも飲まず食わずだったので、まずは「芝生のエリア」で腹ごしらえをすることにした。
アメリカンメニューは重い。すべてを食うことはできない。限られた食のチョイスは重要だ。
空腹も限界に近かった私は、「どこでもいいから食おうぜ」と訴えてくる本能をなんとか抑えながら、すべての出店を覗き、入念にメニューのチェックをした。そして考察だ。何を食うべきか。言うまでもない。肉だ。ニクだニク。肉を食わずしてなにがバーベキューか。そうだ、肉だ!
ってなわけで、「ショートリブステーキ」と「ローストチキン」を売る店に並び、ガッツリと肉を買い求めた。アメリカン・ミーーーーート!
買い求めた店は「ショートリブ+チキン+ライス+ドリンク」で1000円というセットメニューが基本の店だったんだけど、ライスとドリンクは今の私には必要ない。私が食いたいものは、ただ肉なのだ。そこで「ライスとドリンクはいらないからショートリブを2つにして」とブロークンイングリッシュを駆使して交渉した結果、完全な肉メニューを入手することに成功した。ニクーーー!
芝生の上にあぐらをかき、いざ食事タイムだ。
うむ・・・うまい。特にショートリブが美味い。
米兵氏もゲーム内で「金曜夜はステーキ肉の漬け込みをするのだ」と言っていたけど、その言を信じるならば、一晩中漬け込まれたであろう肉は、さすがにその手間のぶんだけ柔らかく、味もしみこんでいて、実に美味かった。決して洗練された料理ではないけど、バーベキュー肉に要求されるレベルは十分満たしていた。さすが本場だ。ハズレなし。
部位が部位だけに(ショートリブ。あばらのところ。要するにバラ肉。脂肪多し)、終盤になってくるとさすがに脂っこさが勝ってきたけど、それでもあばら骨ごとスライスされた肉は、あっという間に私の胃袋に消えていった。
芝生広場に設置されたステージでは、謎のバンドが演奏をしたりしていて、青空の下での食事は飽きることなく楽しめた。少し天気が良すぎて日差しがきつかったのが難だったけど、そばにあったトムキャットのモックを見つつ、トップガンのテーマの演奏を聴いたりするのは、素人にもわかりやすい「らしい」雰囲気が出ていたよ。
さて、と。気分良くピクニック&BBQ的なことをしたら、もうすっかり満足してしまった。もともと肉が食いたくてきたようなものなので、帰ろうかな、というような気分にすらなってしまった。
とはいえ、さすがにここまできて、飛行機を見ずして帰るわけにもいかない。
私は満腹のおなかを抱えるように立ち上がって、「芝生のエリア」から「滑走路のエリア」まで移動した。
「滑走路のエリア」はさすがに広かった。かなり遠くまで、平らなコンクリート舗装された地面が広がっていた。
そこに何機かの航空機が配置されていて、その周囲にはそれを見物する見物客が群がっている。特に主力と思しき艦上戦闘機の周りには、多くの人が群がり、写真などを撮影していた。
ミリタリーマニアではないものの、エリア88を読破し、いくつかのフライトシムもかじった私だ。他の機種はさっぱりだけど、さすがにこの主力と思しき機種はわかるぞ。細かい型番とかは知らないけど、これはF/A-18ホーネットだ。
さらによく知らないんだけども、航空隊はそれぞれにチームカラーとか、愛称があるのかな? 何種類かの異なるカラーリングと愛称とがペイントされたF/A-18が並んでいた。記憶を頼りに言うと、なんとかホーク、ロイヤルメイシズ、だんばすたー?ず、ダイヤモンドバック、とかなんとか、そんな感じのチームがあったような気がする。こういういろいろなペイントがあるというのは、見ていて楽しいね。「私はこのペイントがいいと思う」などと自分の中で批評をしながら見物できた。
それぞれのチームの機体のそばでは、そのチームのグッズを売るテントがあったりもして、マニアのみなさまが熱心に、そのチームのシャツやら帽子やらワッペンやらを買い求めていた。彼らはかなり本気で買い物をしているようで、私のような半端者ではとても近寄れない雰囲気。邪魔にならないように遠巻きにその辺を冷やかして、写真なんかもとりあえず何枚か撮影して、そっとその場を後にした。
そのまま「芝生のエリア」までもどり、ジュースを飲みながらもう少しその場の雰囲気を味わってから、入場門をくぐって、厚木基地を後にした。時刻は午後3時前。あれだけ並んで混雑していた入場門も、この頃にはさすがにほとんど行列らしきものはなかった。祭りの日は、緩やかに終わりはじめていた。