作成者別アーカイブ: Nez/蝿

英国’14: 26.Horse and Groom

 今回の旅行で唯一、店員の態度という点で悪印象だった店。

 ここはウィンザー城の正面にあるバプだ。内装はボロく、店員の雰囲気も怪しげだったんだけども、都会の観光地の店なんてそんなものかと、多少の居心地の悪さは覚悟の上で利用した。客の入りはそこそこよかったから、「そうハズレの店でもなかろう」という判断があったことも否めない。今にして思えば、その判断は大間違いだったわけだけども、そんなことはこの時点では知るよしもなかった。

 一応、料理自体は悪くなかった。別によくもなかったけど、標準的なパブフードだった。

 しかしこの店の問題は接客態度だった。

 なにかを頼むと非常にめんどくさそうに対応する。それだけならまだしも、しばしば意図的に気がつかない振りをして、無視しさえする。もちろん、こちらにも英語をろくに話せないという弱みはあるけども、だからといって無礼が許されるはずもない。

 さらに驚いたのは、別のグループの中国人(たぶん)の家族も、同じようにぞんざいに扱われ、しばしばバーテンに無視されて、憤慨していたということだ。なぜ驚いたかというと、そのグループの代表と思しき男は、私とは違って、実に流暢な英語を話していたからだ。香港かどこかの、英語ネイティブな地域の人なのかもしれない。しかし、それであっても、やはり低く扱われていた。そして、欧米人がなにかをいうと、すぐににこやかに最上級の対応をする。明らかに人種ごとにとる態度が違っていたのだ。

 食事を終え、支払いをしようとその意思を伝えても、一向に来ない。そして、別の欧米人グループが同じように席を立つと、すぐさまやってきて手続きを行う。もう、こっそりという感じではなく、こちらがそれと気が付くように、人種差別的な行動をとっていた。最低だ。

 観光も最終日だというのに、この一件のせいで、この国全体の印象が悪くなってしまった。がっかりだ。

おなじみギネス

フィッシュ&チップス

英国’14: 25.Prego

 イギリスで食ってはいけないもの。それはイタリアンだ。

 ・・・ってことはわかっていたんだけども、ずーっとイギリス料理を食べ続けていて、変化球が欲しかったので、一縷の望みをかけて入店したのが、このブロードウェイのイタリアンレストラン、Pregoだった。

 が、その結果は「やっぱり食ってはいけなかった」。率直に言って不味かった。

 一応店の名誉のために言っておくと、選んだメニューがよくなかったかもしれない。ちょっと胃も疲れていたので、ベジタリアン向けのリゾットなどという、肉好きの私にしてはガラにもないものを選んだら、当たり前ながら、面白くもなんともない味のシロモノだったのだ。自爆といっても、まぁ差し支えはない。

 でも、それを鑑みても、あまりにも味気ない料理だった。それに他にピザとパスタも食べたけど、それらもやっぱり美味しくはなかった。例えば日本のサイゼリアにすら、大きく劣る出来栄え。うーん、なんだろうな、どれも味がないんだよな。基本的に味がなくて、うまみもなくて、風味もない。ピザは香ばしさがないし、パスタは茹ですぎ。お約束どおりのイングリッシュイタリアンだった。まるで病院食。

 しかし、不思議なことにこの店、海外旅行サイトにおける評価は悪くないんだよね。確かに接客は非常にフレンドリーだったし、コッツウォルズにしては今風でお洒落な部類の店だった。でも、食えば一気にその印象は覆ってしかるべきだと思うんだけど・・・現地の人々とは味覚が違うとしか考えられないな。

ペローニ

ベジタリアンリゾット

店舗外観

英国’14: 24.Bibury Trout Farmのカフェ

 バイブリーの鱒養殖施設、Bibury Trout Farmに併設されているカフェで昼食をとった。

 食べたものはもちろん鱒。いくつかの調理法の鱒と、あとは普通のサンドウィッチと、そんなものが売られていたので、「焼き」の鱒にした。オープンカウンターの店先では、日本の縁日のヤキソバ屋台のような鉄板で、3枚に下ろされた鱒を焼かれていた。魚を鉄板で焼く、というのは日本的でもあってその味に期待した。

 ・・・んだけども、普通だった。

 出てきたものは、鱒のソテーと、その上に魚を覆い隠すほどに大量に乗せられた野菜、というようなプレートだった。かなりサラダ感覚の強い料理で、魚メインで楽しみたかった気持ちは、粉々に打ち砕かれた。これは「魚料理と付け合せの野菜」ではなくて、「サラダと付け合せの魚」だよ。トホホ。

 とはいえ味のほうはというと、塩焼きを期待したのにドレッシング味だった、というような誤算はあったものの、決して悪くはなかった。そもそもこの旅行では、生野菜が完全に欠落していたので、生野菜を摂取できたことはむしろ好ましくさえあった。

 ただ味は悪くはないんだけども、この「焼きすぎ文化」のメッカであるイギリスにおいて、しかしこの料理だけは「焼かなすぎ」だったのは残念だった。魚料理こそはちゃんと焼いて、皮目がパリパリになるまで頑張れば、もっとおいしくなるのに。皮がヌルヌルネチョネチョ感を保つ程度にしか焼かれてはおらず、香ばしさと言うものとは無縁の料理だった。うーむ、素材がもったいない。

 ま、せっかくバイブリーまできたから、という記念の食事と考えれば、許せるラインかな。

 余談だけど、この施設には日本語で「この先にはトイレはありません。橋を渡った先にある公衆トイレをご利用下さい」などと書いてあった。でもその下には英語で「トイレはこの先にあります」と書いてある。そして実際にそこにトイレがあって、それを私は利用した。一瞬、「日本語を間違えたのかな」と思ったけどそうではない。要するに日本語では意図的にウソを書いているのだ。

 おそたく日本人のツアー観光客がトイレに押し寄せると迷惑だから(たぶん過去にそういう事例が多発したのだと思われる)、どうせ日本人には英語は読めまいとたかをくくって、誤誘導しているのだろう。

 誠意のないイギリス人のやり口にも、それを誘発してしまう日本人にも、同時に憤りを感じてしまい、複雑な気分になったのだった。

トラウトのグリル

トラウトファーム外観

英国’14: 23.The Swan

 毎晩The Bellで夕飯というのも面白くないので、という感じでB&Bのオーナー夫妻に夕食にオススメの店を聞いたところ、候補に挙げられた店のひとつがここ、The Swanだった。

 The Swanはブロードウェイの街にあるホテルで、その1階部分はオープンに開かれたレストランになっていた。そこで食べてきたわけだ。ブロードウェイまではB&Bから車で10分程度。位置関係としては、B&BからThe Bellのあるウィラージー(Willersey)の村までが車で3分、ブロードウェイまでがさらにその向こうに7分、というような感じだった。

 ホテルの脇の、道路沿いの駐車場に車を停めた。店の駐車場なのか、公共の駐車場だったのかがそのときは分からなかったんだけど、その後のドライブの経験から思い返すと、あれはきっと短時間駐車用の公共の駐車場スペースだったようだ。

 余談なんだけども、その駐車スペースに書いてある標識が簡単な英語なのに意味が分からなくて興味深かった。曰く「2 hours(改行)No Return(改行)within 2 hours」。2時間、2時間以内に帰るな? なんのこっちゃ? ・・・で、あとで調べたところ、「2時間駐車してよし、駐車後は2時間たたないと同じところに停めなおしちゃダメ」という意味だそうだ。そういわれれば確かにわかるけど、その場ではぜんぜんわからなかった。まさか再駐車というズルを指摘する文章だったとは・・・。

 話を戻そう。The Swanだ。さすがにブロードウェイはウィラージーに比べると人が多い。ホテルの入口のテラス席では、我々が到着した時点ですでに大勢の客が食事を楽しんでいた。でも幸いなことに、屋内の席には空きがあったので、そこに席を確保し、食事をすることができた。

 ここではエールパイを注文した。ステーキ・アンド・エールパイが正確かな。肉をエールで煮込んだもの、ビーフシチュー的なものを耐熱容器に入れて、それをパイ生地で蓋をしてオーブンで焼いた、というような料理だ。以前、スコットランドのスターリングでも同じ料理を食べて美味しかったので、間違いはなかろうと思ったのだ。

 案の定、間違いのない味だった。パイとビーフシチューだから、不味いわけはないんだよな。店の雰囲気も落ち着いた感じで悪くなく、いいディナーを楽しめた。ただ、やっぱり宿から少し遠いというのはネックではあったかな。

エールパイ

英国’14: 22.Hathaway Tea Rooms

 シェイクスピアの街、ストラトフォード・アポン・エイボンでのランチは、Hathaway Tea Roomsでとった。

 Hathaway(ハサウェイ)というのは、ガンダム好き的にはブライト艦長の息子の名前としておなじみなわけなんだけども、もちろんそうじゃない。これはおそらくは、シェイクスピアの嫁さん、アン・ハサウェイから採られた名称だろう(同姓同名の現代の女優もいるがそれも違う)。

 道路側から一見すると狭い間口の狭い店にしか見えず、せいぜい3、4組しか入れない規模の店かと思われるんだけども、実際の店のつくりは中に入るにつれて広くなっていて、さら奥にいくと中庭にテラス席まである、というような余裕のあるつくりの店だった。

 「ちゃんとしたティールームで、ちゃんとしたクリームティーを味わう」というのも今回の旅の目的だったので、前日のソールズベリー大聖堂と同じメニューにはなるものの、The Hathawey Traditional Cream Teaなるクリームティーをオーダーした。クリームティーというのは、スコーンにジャムにクロテッドクリームに紅茶、というセットメニューのことだ。

 スコーンの種類をプレーンかレーズンかで選べたので、2つ出てくるということだったので両方を1つづつオーダーした。紅茶の種類もいろいろありそうだったんだけど、こちらは問われなかった。まぁ、問われても困ったけど。

 しばらく待って出てきたのは、これがまた実に巨大なスコーンだった。マックのクォーターパウンダーくらいの大きさのスコーン。それが2つ。しかも、かなりヘビーな食感のずっしりスコーンで、食べきるのに相当難儀してしまった。味のほうは、好みという観点からするともう少し軽いほうが好きかな。

 周囲の席では、地元のおばさまと思しき人が、ティースタンドで供されるサンドウィッチやケーキ、そしてスコーンを食べながら、アフタヌーンティーに興じていた。「ティースタンドを使う本格的なアフタヌーンティー」などという仰々しい催しは、なんだか現実離れしたものかと思っていたんだけども、しかし普通にそれが行われている様を見せつけられ、「あぁ、異国にいるんだなぁ」ということ再確認させたられたのだった。

ポット・オブ・ティー

スコーン