カテゴリー別アーカイブ: 英国紀行’14

英国’14: 5.グロスター大聖堂

 グロスター大聖堂を観るために、グロスターに向かった。

 ここでも例によって、街で駐車場を探す、というミッションが必要になったんだけども、ここの駐車場に関しては事前に情報を得ていたので、調べてあったとおりの場所に、問題なく駐車することができた。こうもスムーズに駐車できたのは、今回の旅行では初めてかもしれない。

 グロスター大聖堂はウィキペディアによれば「ロマネスク様式、初期イングランド・ゴシック様式の混合である。建物の最長約130m、幅44m、美しい15世紀の中央塔は高さ69mある。塔の頂上には4つの優雅な小尖塔があり、ランドマークとなっている」というような建築物らしい。

 でも実は大聖堂そのものにはあんまり興味はなかった。では、なぜ訪れたのか、っていうと、回廊に興味があったからだ。映画「ハリー・ポッター」でも撮影に使用されたらしいグロスター大聖堂の回廊は、写真や映像で見る限りでは、今までに観た事がないような生物的でおどろおどろしい装飾に見えて、是非実際にその中に入ってみたかった。

 ってことで実際にその中に立ってみたんだけども、うーん、いまいち?

 いや、決して悪くはなかったよ。独特の雰囲気があって、実に興味深くはあった。でも、ちょっと想像を過剰に膨らませすぎていたせいか、「思っていたより普通だな」というような印象になってしまった。

 装飾過多で閉鎖的な回廊になっているせいか、全体に圧迫感があり、装飾がうるさくて、薄暗くて、息苦しい。本来ならそこに神秘性を感じるべきなんだろうけど、自分の好みに合わない。同じ回廊なら、明るく開放的だったソールズベリー大聖堂のほうが好きだ。

 ま、でも、そういった小さな不満点を含めても、大聖堂としての格調は高かった。立派な建築物だったし、内部のステンドグラスや礼拝堂など、設備がいちいち重厚だった。ただ、惜しむらくは、本当に好みの問題で引っかかってしまった。

 ちなみにこの大聖堂は、入場は無料。ただし写真を撮るなら3ポンド。というような料金体系だった。払わなくてもこっそり撮れそうだったけど、正直者日本人として、しっかり3ポンド貢いでおいたよ。

駐車場から大聖堂を望む

グロスター大聖堂

大聖堂内のなんだろう

回廊

中庭から仰ぎ見た鐘楼

英国’14: 4.ウォリック城

 ストラトフォード・アポン・エイボンをあとにして向かった先は、ウォリックという小さな街だ。Warwickと書いて、ウォリックと読むらしい。LoLの狼男と同じスペルで、どうみてもワーウィックとしか読めないんだけど、ウォリック。

 ここはウォリック城という城で有名なところらしく、私もその城を観ることで「少年の冒険心」のようなものを満たそうともくろみ、やってきた。

 果たしてそこは、男の子の心を大いに沸かせてくれる場所だった。

 ・・・というか、かなり子供向けの場所だった。ドラクエに夢中な小学生を連れてきたら、狂喜乱舞しそうな世界。みやげ物屋では、子供向けの甲冑コスプレセットやら、木製の剣やら(これは日本の木製の刀のお土産に比べると細工レベルが低い)、アーチェリーセットやら、いろいろな「RPG冒険者グッズ」が売られている。城内にはその冒険者グッズを装備した子供たちが闊歩していた。ああ、私も小学生の頃にここにきて、買い物をしまくりたかったよ。

 また城内では、毎日さまざまなイベントも催されているようだった。「鷹狩り」「遠投投石器試射」「馬上槍トーナメント」などなど。私が訪れた時間には「甲冑戦士の演舞劇」のようなものをやっていた。まぁ、子供だましの殺陣ではあったけど、ユーモアを交えた演劇で、英語がわかればなごむものなのかもしれない。個人的には、遠投投石器を観てみたかったんだけど、残念ながら時間が合わなかった。

 また、こういったソフトウェア的なものだけではなくて、城のハードウェア、つまり建物や文物そのものの見物も、大いに楽しめた。

 軍事用の建築物としての全容だけでも、「ああこれがゲームでよくみる城砦の本物か」って思えて興味深かったし、城内に飾られた無数の武器防具にも心が躍った。

 観光の白眉は、ガイズタワーという城内最高峰のタワーへの登頂だ。頂上までは、長い螺旋階段を上ることになって大変だったけど、そこからの眺めは苦労に見合う、すばらしいものだった。日本の天守閣からの眺めとは違って、街並みが数百年単位で大して変わらない国だけに、当時の見張り兵の見ていた景色と同じなのかもしれない、と思える部分が多いことも、より気分を盛り上がらせてくれた。

 いやー、やっぱりさ、ゲーム好き、RPG好きとしては、こういう場所はどうしても盛り上がるんだよね。特にストラトフォードの直後だっただけに、「興味」ってのは観光において大事な要素だな、と感じたよ。うむうむ。

ガイズタワー外観

場内展示の武具

通用門

中庭

ガイズタワーからの眺め

城内案内図

英国’14: 3.ストラトフォード・アポン・エイボン

 ストラトフォード・アポン・エイボンといえば、英国の産んだ希代の劇作家ウィリアム・シェイクスピアの故郷として広く知られる街だ。地理的には、今回4日間滞在したコッツウォルズ地方の、最北端に当たる位置にある。

 そんな街なので、観光の目玉も当然シェイクスピア関連のものが主となる。シェイクスピアの生家を含む「シェイクスピアセンター」、シェイクスピアの孫娘夫婦の家「ナッシュの家」、シェイクスピアの嫁の実家「アンの家」などなど、これでもかのシェイクスピアづくし。孫娘夫婦の家とか、嫁の実家とか、いくらなんでも便乗しすぎだろ、と思わないでもないけど、そこはガーデニングの国イギリス。家そのものだけではなく、その庭園を見事に整備することで、観光地としての体裁を維持しているらしい。

 とはいえワタクシ、恥ずかしながらシェイクスピアの作品なんて、本で読んだことも、演劇をみたこともない。ロミオとジュリエットのバルコニーのシーンをなんとなく知っているくらいで、オセロもリア王もあらすじすら知らない。そんなわけで、「一応有名なところだから近くに来た以上は行ってみたけどさほど興味はない」という立場で、軽めに観光をしてきた。

 B&Bで朝食を採った後、30分ほどのドライブでストラトフォードに到着。3、4層くらいの屋内駐車場に車を停め、観光を開始した。

 ちなみに英国では駐車料金は前払い、というのが多かった。駐車場に車を停めたら、発券機で停めたい時間分のチケットを買い、それをダッシュボードに外から見えるように置いておく。定期的にチェックしに来る(らしい)係員が、チケットがなかったり時間切れだったりする車を見つけると、その所有者にいくばくかの罰金請求が届く。というようなスタイル。

 今回、そんなに興味のなかった場所だから、短く見積もってランチ時間込みで3時間のチケットを購入したんだけども、この見積もりが甘くて失敗した。理由は後述しよう。

 まず観光したのは、王道のシェイクスピアセンターだ。センターの展示と、整理された庭園と、シェイクスピアの生家とが合体したような、複合観光施設だった。ストラトフォードに来た以上、当然観なければならない場所ではあるんだけども、当初の予想通り、シェイクスピアに興味薄な私としては、別段面白いところではなかった。

 特に辟易したのが、有名な観光地かつ夏休みなだけに、中国系の観光ツアー軍団が大挙して押し寄せていたことだ。人が見ているもののまえに強引に割り込んでくるわ、ぎゃーぎゃーうるさいわ、と迷惑極まりない。このおかげで落ち着いて見物することができなかったということも、この場所の印象をマイナスなものにしてしまった。

 続いてシェイクスピアの孫娘婿の家であるところの「ナッシュの家」なるところにもいったんだけども、印象は同じ。こちらはややマイナーなせいか中国系観光ツアー客はいなかったけども、シェイクスピア本人の生家にすら興味を抱かない私が行っても、本人の生家以上に面白く感じるわけもなかった。

 純粋に街として見ても、ストラトフォードのメインストリートはちょっと観光地化されすぎな感じで、私の興味の外にある場所だな、と感じた。

 低調な盛り上がりしか感じないままに、ティールームでランチを取りながら次の作戦を練ることにした。なんとかもう1つ、この街でいい印象を残して帰りたい。

 ええと、結局シェイクスピア関連を観ても、そんなに気持ちは上がらないんだよな。よし、それならばエイボン川のほとりまで行って、ナローボートなんぞを眺めるってのはどうだ。また違った印象が抱けるに違いないぞ。ナローボートの行きかう風景は、いかにも古き良きイギリスといった趣のものだし、きっといい思い出になるに違いない。

 ・・・となかなかいい計画を思い立ったんだけども、そこには致命的な欠陥があった。

 気が付けば駐車場の時間切れまで、あと20分程度となってしまっていたのだ。20分ではランチを取ったティールームから、エイボン川の河畔までいって、駐車場に戻る時間はない。かといって今から駐車場までいって、1時間ぶん発券しなおすのも時間的、体力的に厳しい。うーん、今回はここまでであきらめざるを得ないか。

 ってなわけで、なんだか消化不良の状態のまま、すごすごとストラトフォードをあとにしたのでした。

 教訓:1度きりの旅行なんだから前払い駐車場はケチケチしないで長めに買っておこう

シェイクスピアの生家

シェイクスピアセンター内の庭園

センター前の街並み

英国’14: 2.ソールズベリー

 ストーンヘンジ観光を終えたあと、昼食とちょっとした観光を兼ねて、最寄りの都市ソールズベリーにまで足を伸ばした。ストーンヘンジからは車で15分程度だったかと思う。

 都市内の公共駐車場を探し、停める、ということは英国内では初めてだったので、果たしてどうなることかと不安だった。結果としては、何度か迷走しながらも、ナビと標識とを頼りに何とか駐車できたので、ほっとひと安心だ。

 ソールズベリー観光の目的は、ソールズベリー大聖堂見学だ。ソールズベリー大聖堂の特徴は、英国随一の高さを誇るらしい尖塔と、現存する4つの写本のうち最良の状態のものといわれる、かの「マグナカルタ」の写本が保管されている、ということにあるらしい。

 駐車場から大聖堂まで、地図でみた限りでは、徒歩7、8分といった距離か。標識に沿って、ソールズベリーの街を歩いて進んでいった。

 その日は日曜で時間は正午すぎ。途中の街並みは期待していた古風なヨーロッパの街並みと言うよりは、そこそこ近代的なそれで、日曜のショッピングやランチを楽しむ若者や家族連れでにぎわっていた。本当になんの変哲もない日常といった普通の風景に見えた。でもそれが期待はずれだったかと言うとそんなこともなく、いかにも地方都市の日常、というもの体感するのもまた興味深かった。

 そんな日常の風景も、歴史のありそうな古い城門のようなところを抜けると一変した。街並みが一気に古式ゆかしい雰囲気に変わったのだ。そこからすぐに、芝生の広がるエリアが現れたかと思うと、その中心にソールズベリー大聖堂が鎮座していた。

 緑の芝生の中、青空に屹立する尖塔は、たしかに高くそびえ立っていて美しかった。この美しさは、尖塔自体の高さによるものもあるだろうけども、周囲に映りこむものがない独立した立地であることが、より一層その大きさ、高さを強調して、美しさを演出できているように思われた。

 大聖堂の周りの芝生エリアでは、多くの地元住民と思しき人たちが、おもいおもいの場所にシートを敷いて、日光浴やランチに興じていた。またこの日は大聖堂でなにやら軍楽隊の演奏イベントがあったらしく、その演奏の周囲にも人が集まっていた。どうもこのエリアは、地元民の憩いの場としての機能を持っているようだ。ここでも日常を垣間見る事ができて、これが旅の醍醐味だよな、と実感した。

 大聖堂の内部で印象的だったのは、聖堂そのものや、マグナカルタもよかったんだけども、なによりも回廊の雰囲気だった。聖堂そのものは、まぁなんというか、いろいろなところで似たようなものは見ている。マグナカルタは「教科書のあれや!」というような感動こそあれ、紙一枚だし、写本だし、ってことで経験値は溜まるものの、それ自体のもつ力はさほどでもない。

 でも、回廊の雰囲気は、それ自体が美しく、好みに合った空間だった。回廊と中庭とを隔てる構造物の少ない開放的な回廊では、夏の日差しをさけつつも、夏の明るい日差しが織り成す、中庭の風景を鮮やかに目で楽しめ、しかも吹き抜ける風は冷たく心地よかった。回廊の設計と、季節と、天気と、時間とが、見事にマッチした結果の、この光景だったのだろう。

 この回廊をすっかり気に入ってしまった私は、その回廊この一角が、併設された売店で売られている飲食物を飲むためのカフェスペースになっていたので、街中のレストランにいく計画を撤回して、そこでランチを取ることに決定。

 回廊の雰囲気を楽しみながら軽食を摂り、しばし旅の疲れを癒して、次の目的地へ向かう英気を養ったのだった。

市街に現れた古い門

ソールズベリー大聖堂(縦)

ソールズベリー大聖堂(横)

回廊

英国’14: 1.ストーンヘンジ

 今回の旅行の最初の観光スポットとして訪れたのは、かの有名な世界遺産、ストーンヘンジだ。

 ヒースロー空港近くのホテルから、レンタカーでドライブすること2時間弱。風景がすっかり田舎のそれになり、イギリスらしい平坦な畑と草原と林とが続く中に、その古代の巨石群は、突如出現した。目に飛び込んできたストーンヘンジは、想像していたよりも大きく、遠目に見ても立派なものだった。

 ・・・という感動はあったんだけども、これを間近で見物するまでには障壁も多かった。

 まず、レンタカーから最初に見えた地点から、ストーンヘンジ見物用の施設の駐車場にたどり着くまで、15分以上もかけてぐるっと迂回するルートを走らされた。さらに受付ではチケット購入の列に並び、さらにチケットを持ってストーンヘンジ至近まで観光客を輸送しているシャトルバスに乗る列に並ぶ。さっき目にしたときは「あと少し!」だと感じたストーンヘンジにまで、しかしなかなか肉薄できない。

 そんな迂遠なる道のりを経て、やっとストーンヘンジのそばにまで到着してみると、そこは観光客の洪水状態。人垣が邪魔で、なかなかきれいに眺めることができない。

 どうもイギリスも時まさに夏休みに入っていたらしく、人での多い時期だったようなのだ。しかもこの日はなかなかの好天。青空の下のストーンヘンジを観られたのは幸運だったけど、その幸運が同時に他の観光客も呼んでしまったというわけだ。

 さて、肉眼で見たストーンヘンジ。それ自体に強く感動したということは、残念ながたなかったけど、有名なストーンヘンジを見たことがある、というキャリアがついたことはなんだかうれしいし、行って見ないとわからない周囲の様子や、実際のサイズ感、質感、色合いなんかがわかったのは面白かったかな。

ストーンヘンジ遠距離

ストーンヘンジ近距離

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