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日記: 11月23日(2014年)

 連休の中日。急に思い立って、高尾山にいってきた。

 かつてはシャッター街の様相を呈していた高尾山も、数年前にミシュランで星を取ったとかなんとかと騒がれて以来、急速に活気を取り戻して、いまや東京近郊の一大観光スポットにまでなってしまっている。だから、以前は実家からアクセスしやすいこともあって、気楽に四季の自然を感じにいける身近な場所だったんだけども、活気が戻ってからというもの、混雑しすぎているのに辟易するようになってしまい、すっかり縁遠くなってしまっていた。

 特に、この紅葉の季節や連休のような、集客力のある時期に行くことは、近年ではすっかりなくなっていた。こんな時期に高尾山へ行こうものなら、殺人的な混雑にもみくちゃにされて、情緒もクソもないであろうことはわかっていたし、かつて頻繁に訪れた経験があるぶん、「も、もう行ったことがあるから、いまさら行かなくてもいいモンね、知ってるモンね!」と強がれもしたからだ。

 でも今回はあえてその禁を破って、紅葉かつ連休中という日に行ってみることにした。数年ぶりの紅葉の高尾山が、実際のところどのくらい混雑しているのか、体験として知りたくなったからだ。

 結果は、予想通り・・・というか、予想以上だった。

 京王線高尾山口駅のホームからはじまる混雑は、通勤時間帯の都心部をしのぐ勢い。それがそのままエキの外を過ぎ、ケーブルカー乗り場に至るまで、延々と続いていた。さらにそこからその人々の流れはケーブルカーの行列に連結するものと、1号路に続くものに別れ、ごくごく一部が6号路などの支流ほうへと流れていく、といった様子だった。

 周辺の飲食店(ほぼ蕎麦屋)も、午前11時という昼食にはやや早い時間にもかかわらず、既に行列ができており、どこも大盛況だった。

 今回の訪問は、「早めに高尾山までいって、ふもとで蕎麦を食って、そのあとちょっと周辺の様子を見て、上までは登りもせず、帰る」というお散歩プランだったんだけど、この時間で既に行列とは読みが甘かったよ。昔はどの店でも、正午を過ぎてもすんなり入れたのにな。

 この日は偶然にも、人目に付きにくいみやげ物屋エリアの端っこにある、一見すると飲食店なのかがわかりにくい系統の店に、まだぎりぎり空席があったから、そこに滑り込んで、なんとか昼食にありつくことができたんだけども、これは運が良かっただけだった。こういう時期の場合、「11時は既に手遅れ、行列覚悟」と思っておいたほうがよさそうだ。

 その後は空腹も満たされたので、まだしも空いていた6号路方面を途中までぶらぶら散策し、駅まで戻って、予定通り早々に帰宅した。混雑には辟易したものの、当初の狙い通りその混雑を実感として学ぶことができたのは良かったし、なんだかんだですんなり食事も取れたし、散策もそれなりに楽しめたから、行楽としては成功だったかな。

 ただ、ケーブルカーや1号路の混雑を鑑みるに、もっと上まで登っていたら、そのうち1号路を登った人々と合流して、薬王院から山頂付近までは、また駅前並の混雑だったのかもしれない。それを目にしなかった(避けた)おかげで楽しめた、という可能性も十分にあるな。

 高尾山、恐るべし。

 ※ちなみに紅葉の色づき具合は、まだ5割くらいに見えたかな。上のほうはわからないけど、ちょっと早かったかもしれない。

英国’14: 34.プレミアムエコノミー

 今回の旅行ではプレミアムエコノミーというクラスのシートで渡英した。

 プレミアムエコノミーというのは、エコノミーとビジネスの中間にあるクラスになる。航空会社によって、どの程度エコノミーと差別化しているかは異なるものの、概ね「少し席が広い」「エコノミーよりも5~10万円ほど高価」というのが主要なアイデンティティーになっているようだ。

 今回利用した航空会社はブリティッシュエアウェイズの場合、公式サイトの表現を引用すると

  • 足元広々のワイドシート
  • キャビンクルーの手厚いサービスが行き届く小規模のキャビン
  • 豪華なお食事とバーサービス
  • 各座席にノイズ低減ヘッドフォンと機内エンターテイメントシステム搭載
  • ゆとりのある無料手荷物許容量

 といったところが売りになっている。

 実際に利用してみた感想は、まあまあ、といったところかな。

 私に関して言えば、「このくらいのメリットにお金を出すなら、別に安いエコノミーでいいかな」と思ったけど、高齢者や体の弱い人、それに体の大きな人などは、長時間のフライトを快適に過ごすための投資として、5~10万円というのは、考慮に値する選択肢になるかもしれない。

 シートの快適性に関しては、確かに広く、かつ、リクライニングがより深く傾くので、かなり向上する。ただこのあたりの印象は、非常に個人差があるだろうな、というのが実際のところだろう。

 思うに、個人によって「座った時の休みやすい姿勢」というのは違うものだ。だから、エコノミーとプレミアムエコノミーとの違いが、「座った時の休みやすい姿勢」にどれだけ寄与するかも違ってくる。私に関していえば、この点はさほどプラスに働かなかった。

 またスペースの広さは、居住性を大きく向上させたけど、これも元々どれだけ窮屈だったかで、印象が大きく変わるに違いない。私はエコノミーでもそんなには狭いと感じないサイズの人間なので、やっぱり恩恵は小さかった。スペースの広さのいい点は、通路沿いの席じゃない場合に、トイレなどに出やすい、ということかな。それは確かに重宝したけど、トイレに行きやすくするために5万円、ってのは違うだろうしなぁ。

 あとは、食事は確かによかった気がする。同じ便のエコノミーのものと食べ比べができるわけではないから、本当に良かったのかはわからないけど、まぁ、いままでの経験上からすると美味しい部類だった。ブリティッシュエアウェイズのくせに、だ。

 そんなわけでプレミアムエコノミー。今後も積極的に使うかというと、今のところはそんな事はなさそうだけど、偶然安かったり、自分が年老いたり、高齢者を連れて行ったり、っていう場合にはまた選択するかもしれない、というところかな。

備え付けの備品

リッチな献立表

英国’14: 33.The Oakley Court

 帰国日の前日に泊まったのが、The Oakley Courtというホテルだ。

 立地はヒースロー空港から車で20-25分ほどのところ。ウィンザー城の近くに位置していて、初日に泊まったHeathrow/Windsor Marriott Hotelからもそう遠くないところにある。翌日の帰国に備えて、ヒースロー空港の近くに泊まりたかったものの、さすがに初日と同じところでは芸がないので、このホテルに白羽の矢を立てた、という次第だ。

 このホテルは、いわゆるマナーハウスとか、カントリーハウスと呼ばれる、古い貴族の館を改造したホテルで、いままでの庶民的な宿とは一線を画すエレガントさだった。旅程の最後にきて、ちょっと冒険してみたわけだ。

 とはいっても、立派なのはあくまでも敷地や建物の外枠。内側はというと、そんなに洗練されてもいないな、というのが感想だった。

 そりゃ、敷地を流れるテムズ川やそれを望む庭園、桟橋やテラスカフェなどは、実に優雅なもので、そこにいるだけで異世界感を感じられる素敵な場所だったよ。でも、内部の設備は最新とは言いがたかったし、従業員もプロフェッショナル揃いというよりは、アルバイトに毛が生えたような面々、というような雰囲気で、内実が伴ってはいなかった。なんとなく二流のコスプレホテルというような印象だったというのが、正直なところだ。

 想像よりもお手ごろな宿泊費用だったけど、その値段からしてみても、「ハードはいいけど、ソフトは普通以下」という評価が妥当ではないかなと思う。

 ただ、それでもやっぱりハードウェアの破壊力はすさまじかった。チェックインした時点では「これは期待はずれかもしれないな」と思っていたんだけど、夕食どきに庭園のテラスカフェで食事をして、印象がガラリと変わってしまった。

 グロテスクなゴシック建築の建物を背景に、緑の芝生とゆったりと流れるテムズ川を眺めながら、傾きかけた陽光に照らされて頂くディナーは、さすがに一級品の思い出になった。この経験は、同じ値段で、より設備の整った、最新式のホテルに泊まっても、ちょっとやそっとじゃ味わえない。このハードウェアあってこそ輝くユニークなひとときだ。

 結局、そのディナーの印象がすこぶる良かったおかげで、ホテル全体の印象も跳ね上がってしまった。ハードウェアの魔力にころっと騙されているようでしゃくだけども、今思い返しても、「あのホテルにして良かったな」と思っているのだから、まぁそれはそれでいいのだろう。

外観

敷地内を流れるテムズ川1

敷地内を流れるテムズ川2

ラウンジ

テムズ河畔の庭1

テムズ河畔の庭2

テムズ河畔の桟橋

謎のオブジェ

英国’14: 32.Lowerfield Farm

 今回の旅行で4連泊したのがこちらのB&B、Lowerfield Farmだ。

 こちらのB&Bの特徴は、「コッツウォルズ北部にある」「日本語が少し通じる」「建物に味がある」「敷地が広い」「牧場併設」というようなところじゃないだろうか。

 立地的にはコッツウォルズ地方というくくりでいうと、北部に位置する。そのためコッツウォルズ探索の拠点としては、北部の名所はアクセスがしやすく、南部の名所はそれがややむずかしい、ということになる。今回の旅行でいえば、ストラトフォード・アポン・エイボンやウォリック城にはアクセスがしやすく、バイブリーやレイコック(結局いけなかった)には行き難い。

 日本語が通じるという点は、海外B&B初心者の私には、かなり心強かった。オーナー夫妻は日本で英語を教えていた経験があるらしく、ごく簡単な会話なら日本語で行うことができた。朝食のメニューや案内書なども日本語バージョンがあって、利便性がとても高かった。海外で日本語を目にする事をマイナスに捉える、本格派な方々も世の中にはいようかと思うけども、私においてはプラスにしかならない要素だった。

 建物は数百年前の農家を改造したもので、なかなか味わい深いものがあった。設備は完璧とはいかないものの(エアコンなどはないし、機密性も高いとはいえない)、くねくねと曲がった柱や、厩舎を改造した食堂の梁などには、ファンタジーRPGの宿屋や酒場のような雰囲気があって、旅情の高揚に一役買ってくれた。

 郊外にある「ファームハウス」というような分類のB&Bなので、敷地が広大なのも気分がよかった。レンタカーの駐車も悠々だったし、ただ庭に立って周囲を見渡すだけでも、晴れやかな気持ちになれるところだった。住宅街の中にあるB&Bなどでは、なかなかこういう開放感は味わえないだろう。そんな敷地の一角には牧場があり・・・というか、牧場の一角がB&Bというような割合だけど・・・そこで飼われている動物を愛でることも楽しいレクリエーションだった。

 唯一の欠点は、上の長所の裏返しではあるものの、「郊外にある」という事かな。B&Bなので基本的には夕食の提供はない。だから夕食はどこか別のところで食べなければならないんだけども、最寄りの村まで徒歩20分くらいかかる。車で行けば5分程度ではあるんだけども、車でいくと飲めないという問題が発生する。せっかく日本では飲めないようなイングリッシュエールがいろいろあっても、飲めない(飲んだけど)。これは悲しい。それにこんな立地だから当然だけど、レンタカーで訪ねる以外に利用するすべがない。ここは電車&バススタイルは無理だ。

 でもトータル的には非常にいいB&Bだった。もう一度コッツウォルズ旅行にいくとなっても、ここを選ぶかもしれない。

外観

1人向け部屋「Bredon Hill」

2階の廊下

Honesty Bar

動物たち1:にわとり

動物たち2:やぎ

動物たち3:だちょう

英国’14: 31.Heathrow/Windsor Marriott Hotel

 2014年の間に残りの英国旅行関連記事を片付けなければ。

 ということで、久しぶりの更新。ここからは3つの記事で泊まったホテル/B&Bの話をして、あとは雑記的なものを数件書いていこうと思う。

 まずは、初日に泊まったホテルである、Heathrow/Windsor Marriott Hotelだ。

 ここはまぁ、なんの変哲もない普通のアメリカナイズされたホテルだった。部屋は清潔だったし、間取りも大きめで過ごしやすかったんだけど、建物の規模が大きくて、ロビーから自室に行くまでにかなり歩かされたのには閉口した。前述したホテル内のレストランがカジュアルで使い勝手がよく、英国最初の食事をリラックスしていただけたのはポイントが高かった。

 このホテルを選んだのは、ただただ地理的な条件がよかったという点に尽きる。

 ヒースローからレンタカーで出るということは決まっていた。そしておそらくその時点で飛行機の疲れなどもある。だからあまり空港から離れていないところに泊まりたい。でも空港密接型のホテルだとせっかくのレンタカーがもったいない気がする。それに少しは運転に慣れておきたい。そういうことを総合して、「空港から車で20分」というこのホテルを選んだ次第だ。

 このホテルはウィンザー城やレゴランドという子供向けテーマパークに近いらしく、そういったものが目当ての家族でにぎわっていた。

 なお、今回の利用にあたっては、予約内容と違う部屋があてがわれるというトラブルがあった。苦情を申し立てて部屋を変えてもらい、事なきを得たけども、2009年のエジンバラ最初の夜(ダブルブッキングで部屋がなかった)に続いて、今回もこの国はダメなのか、と不安がよぎったという負の記憶を記録しておこう。

外観

遠景