作成者別アーカイブ: Nez/蝿

リアル生産スキル: 第6回


輪郭がみえてきた

 輪郭の削りだし開始。

 ニコルソンのヤスリを駆使して、ひたすら人力でゴリゴリごり。砂鉄状の金属粉が作業台の上や周辺に降り積もっていく。室内でこんな作業をしているくせに、比較的潔癖症な私は、部屋が汚れるのがイヤでちまちまとそれを掃除するんだけど、大変面倒くさい。

 そこで、ビニール袋にいれた磁石を用意して、吸い付ける作戦を取ったんだけど、全然効果なし。余計面倒くさい。

 で、結局ホームセンターで、1,980円の安物ハンディクリーナー(充電式手持ち掃除機)を購入して、こまめに吸い取ってやることにした。またしても出費だけども、うむ、これは便利。微細な鉄粉なんぞを吸っていると、たちまちぶっ壊れるだろうけど、安物だから使いつぶそう。

 しかし、削るに当たっては、やはりけがいた線がよく見えないということがわかった。きっちりけがけていなかったことと、青マジック作戦が甘かったのの双方が原因だろう。

 そこでけがく作戦は放棄して、鋼材に型紙を貼り付けて削ることにしてしまった。どうせ型紙は読本のパクりなので、いくらでも量産できる。これでいけるはずだ。

 で、毎日30~1時間くらいこつこつ削ること1週間弱。合計・・・4、5時間かな? だいぶ型紙の輪郭と、その裏にある鋼材の輪郭が一致してきて、平ヤスリで削れる部分の大半を削り終えるに至った。微妙なディティールが再現し切れていないけど、こだわるのは次回以降にして、今回はそこそこでとりあえず完成を目指すハラだ。

 あとは、ヒルトをはめる溝や、平ヤスリのとどかない凹型の部分を丸ヤスリで削って、外形の削りだしパートはフィニッシュかな。

リアル生産スキル: 第5回

 この日は天候不順の休日。格好の作業日和だ。もりもりと作業は進行する。


物置に鎮座するボール盤様

 まずはボール盤。通販で買ったものが届いていたので、組み立てる。こんな機械を入手するのはもちろん初めてなんだけど、サビ防止のためか、機械全体が油コーティングされていて、ぬめぬめキモイ。まぁ、しかたがないな。

 今回ボール盤はなにに使うかというと、ボール盤で鋼材に連続した穴をあけて、その穴をノコギリで切りつないでいくことで、鋼材を効率よく切断する・・・というために使うのだ。おっさんの皆様方におかれましては、ミニ四駆の軽量化でおなじみの方法である。

 ってことで、ボール盤の準備はできた。次は鋼材に更なる準備を施す。

 前回、とりあえず鋼材に型紙の輪郭をけがいたんだけども、ボール盤のドリルでその輪郭に沿うように、正確に穴を開けていくに当たっては、その輪郭よりもさらに外側に、穴あけのための目印となるラインを引かなければならないのだ。穴あけに使用するドリルは直径4mmなので、輪郭の最低でも2mmは外側に・・・まぁ今回は2.5mmほど外側に、穴あけのためのラインを、ディバイダをつかって、できるだけ正確に引く。さらにそのライン上に、またしても2.5mm間隔で交点をマークをすれば、そこがドリルを当てるポイントになるわけだ。0.5mmも余裕を持たせているのは、腕前的にも、ボール盤の品質的にも、0.1mm単位の作業をするには精度に不安があったからである。

 でそのポイントめがけて穴を開ける。

 はじめてのボール盤ということで、ドキドキしつつ作業。ゴリュゴリュゴリュ・・・。うむうむ、案外あっさりとズボズボ穴が開いていくな。恐るべし、電動工具。

 型紙サイズぎりぎりの鋼材だったので、ドリルで穴を開けるべき箇所は少ない。10箇所程度あけただけで、ボール盤の出番は終了だ。こいつにはまた今度、ファスナーボルトの穴や、軽量化の穴をあけるのに活躍してもらおう。


外形削りだしの途中

 続いて、ノコギリの出番。ボール盤であけた穴を、ゴリュゴリュとつないでいく。これまた思ったよりもよく切れる。ステンレスってもっと硬いものかと思っていたけど、熱処理前だと案外もろいものだなー。ふむふむ。

 ボール盤であけた穴をつないだだけの状態の鋼材は、見るも無残なギザギザな輪郭を持った姿になった。ここから、ひたすら輪郭をヤスリで削って、まずは型紙どおりの輪郭にしていくのが、これからの目標だ。

 とりあえずこの日は、ボール盤であけたラインをそれなりに整えて終了としよう。

 ヤスリ地獄soon・・・。

リアル生産スキル: 第4回

 いよいよ実作業開始。

 ・・・の前に、私のスペックを紹介。

 ・年齢: 14
 ・製図経験: 中学の授業以来
 ・金属加工経験: なし
 ・ボール盤使用経験: なし
 ・ヤスリ使用経験: ミニ四駆以来

 ど素人、オッケイ。このウルトラ初心者がどこまでやれるかというのが、この企画のキモだな。乞うご期待。


見るからにしょぼいレポート用紙型紙

 ってことで、作業開始。今回は、型紙を作成し、鋼材に写すところまでだ。

 型紙はナイフ・メイキング読本のものをパクるので簡単。方眼紙なんてものは持っていないので、単なるB5レポート用紙に、ふふふん、とサンプルデザインをトレースしてやり、カッターで切り抜く。うーん、小学生の工作レベルの、すばらしい型紙が切り取れたぞ。

 今度はそれをもとに、この型紙の輪郭を、鋼材にけがいてやる。けがく際には、青ニスなどと呼ばれるものを塗っておくと、けがいた線が見やすくなるらしい。んが、青ニスなんてものはないので、赤いマジックで代用だ! 塗って、けがく。・・・だめだこりゃ。赤マジックにけがいても、けがいた線がろくに見えないわ。

 そこで今度は青マジックでトライしてみたところ、なんとかいけそうな雰囲気。ま、これでいいか。

 ってことで、今日はここまで。

リアル生産スキル: 第3回


ニコルソンヤスリ(左)、ドリルとか(中央)
安物組ヤスリ、金切鋸(右)

 さて、いろいろと金を使う回だ。もう買ってしまった後ではあるので、ひたすらそれを列記する。

【資料】
 ・ナイフ・メイキング読本 1,800円

【道具】
 ・ボール盤 7,900円
 ・ボール盤用ドリル2.5mm 680円
 ・ボール盤用ドリル4mm 890円
 ・ボール盤用二段ドリル6&4.5mm 2,625円
 ・金属用鋸 500円
 ・安全ゴーグル 150円
 ・バイス 1980円
 ・耐水ペーパー各種 1000円
 ・ケガキ 200円
 ・ディバイダ 1000円
 ・ヤスリ(ニコルソン)平 荒目 1,218円
 ・ヤスリ(ニコルソン)平 中目 1,267円
 ・ヤスリ(ニコルソン)丸 中目 1,092円
 ・作業台 2980円
 ・青マジック 100円
 ・ハンドル用瞬間接着剤 1,300円
 ・ヒルト用エポキシ接着剤 1,050

【材料】
 ・鋼材ATS-34 3×25×250mm 1,800円
 ・加工済みヒルト 1,050円
 ・かしめピン 250円
 ・シュナイダーボルト 525円
 ・ハンドル材ウッドマイカルタ 1,260円

【合計】
 資料費: 1,800円
 道具費: 2,5032円
 材料費: 4,885円

 とまぁ、こんなところだ。やっぱり道具代がとてつもなく高いな。これは回数をこなせば、1本あたり単価は下がっていくわけだけど、きっと私は1、2本作って満足してしまいそうだな。終わったらいらない道具は実家に売ろう・・・無理だなぁ。

 資料はとりあえずこの一冊とWebの情報で足りそうだ。読本の解説は少し大雑把過ぎるので、Webで補完するのは必須っぽいけど、流れはわかりやすい。サンプルの型紙もついているので、これをパクればデザイン工程はスルーできそうだ。マニアの人々的には、きっとデザインするのが楽しいんだろうけどね。

 道具は、ヤスリだけはニコルソンという有名メーカー品にした。ヤスリがけが人力で一番負担の大きな工程だと思うので、ここだけは効率よくやりたい。一方で、ボール盤は穴を開けるだけだし、3mm厚程度の鋼材にあける穴に、精密な垂直が必要とも思えなかったので、安物で妥協した。あとは、2段ドリルというレアな物体や、接着剤など、汎用性の低いものが、比較的高くついた感じだ。ちなみに汎用的な道具は、ナイフメイキングショップで買うよりも、普通の工具店や、ジュエルメイキングショップで買うほうが安い。ナイフメイキング業界の価格設定は、小さな業界だから仕方がないとはいえ相当高めで、どうも印象がよろしくない。

 鋼材はATS-34という、ナイフの世界では最もスタンダードらしいものにした。しかし、今回の目的は「作ってみたい」であって、使用するシチュエーションにこだわりがあったり、切れ味が欲しいわけでもなかったから、加工性のよさ重視で選べばよかったかもなぁ。

 次があったら、鋼材は加工性の高いクロモセブンあたりにしよう。