いやー、まいった。齢14にして今まで全く気がついていなかったよ、マイタケのうまさに。
今までの私の中での、「肉とともに炒める野菜」ランキングにおいては、味の好み、歯ごたえ、栄養価、価格、手軽さ、いずれをとっても死角のない、キングオブ炒め野菜「もやし」が王座を守り続けていて、タマネギ、ピーマンらの追随を許さない状況にあった。
しかしそこへついに新星が現れたね、マイタケ。
牛肉とマイタケの炒め物、うめえええええ。
偏食であることにかけては、ちょっとした自信のある私。その私が幼少の頃より14の今に到るまで、苦手な食べ物群として公言していたのが、「海草」と「キノコ」だ。
海草に関して言えば、海苔と青海苔とヒジキをのぞいて、未だにこれことごとくヌメっとしたプラスチックとしか思えず、口内に含むことはおろか、海草の接したほかの食材や、海草の入った汁物料理すらを拒んでいるという、日本有数の海草嫌いを持って任じている。
一方、キノコに関して言えば、少々見方が変わってきた。「海草はプラスチックである」という反論の隙のないすばらしい理論同様に、「キノコは胞子に侵される危険あり」というこれまた人道主義に則した完全なる理屈をもって拒んできたわけなんだけども、最近になって気が付いてしまったのだ。
「胞子が出そうなヒダヒダって、シイタケにしかないな」と。
そう。要するに、シイタケが嫌いなせいで、他の全てのキノコをも嫌っていたのだ。それに気がついて、シイタケ以外のキノコを恐る恐る食べ始めてみると、案外いけるのもあるではないか。そうは言っても同じキノコなので、シイタケっぽい部分をもつものも結構あって、味覚的類似点を見出すと、ちょっとオエッってなるんだけど、そういう場合を除けば、案外うまいものが多い。
いまさら「キノコはうまい」とかほざいても、ごく一般的な食生活をお送りの皆様におかれましては、「今日び取り立てて言うほどか、この未開人が」ってな具合だろうけど、私にしてみると昨今の食における発見の中でも、声を大にすべき重大事の1つなのだ。
そしてそんな「キノコ発掘プロジェクト」も大詰めの先日。満を持して挑んだは「雪国マイタケ」。
牛肉とともに炒め、塩、こしょう、醤油で簡単に味付けをして食らってみたところ・・・こ、これはうめぇ。・・・そうか、この1年余りに及ぶキノコ発掘プロジェクトは、この味に会うためにあったんだな。そう確信した私は、静かに箸をおき、次の冒険へを向かうのであった・・・。
キノコ発掘プロジェクト、完。
(スタンディング・オベーション)