初ソロキャンプツーリング、2日目。
アドレス氏との宴会も終わり、テントにもぐりこんだ私は、その日の走行や慣れないキャンプ生活の疲れが重なって、泥のように眠り込ん・・・眠れねぇぇぇぇぇ!
初めての経験尽くしで興奮していた上に、テントを打つ雨音がやかましくて全然眠れん! しかも、7月末だというのに、標高1200mのキャンプ場は夜が寒い! 長袖長ズボンで寝袋に包まって、やっとこさ快適という気温。
1時間半ほど寝ては目を覚まし、また1時間半ほど寝ては目を覚ます。そんなことを繰り返して気が付けば時刻は4時30分。真っ暗だったテントの室内が、上がりつつある朝日に照らされて明るくなってきた。これではますます眠れない。
もう半ばヤケクソになった私は、テントを出て朝日を撮影してみるなどという、1人遊び開始モードにはいることにした。カシャ、カシャ、カシャ・・・。うむ、私のヘナチョコカメラでは、夜景など撮れないことがわかったよ。なんという無駄骨。
撮影会も5分も立たずに飽きてしまったので、トイレにいってもうひと眠り。動いたせいか、はたまた排泄したせいか、また少し眠ることができた。
今度は午前6時に目が覚めた。もうすっかり太陽も上がり、テント内は昼間と同じ明るさで照らされていた。もうさすがに寝る気はしないな。起きてしまえ!
テントを這い出て、朝の高原に出てみると・・・うほー!
昨日の雨がウソのような抜けるような青空が、さえぎるもののない360度全方向に広がっていた。明るい陽光が、僅かに残る芝生の上の雨粒にあたって輝いている。まだ気温も上がっておらず、しかし明るく、陽光は暖かい。これ以上ないコンディションだ。
よし、この環境で朝飯にしよう。
朝食は、「素人が思い浮かべる1度はやってみたいキャンプ飯ランキング」で上位をしめるであろう、「ストーブで即席ラーメン」だ。ストーブというのは、皆さんおなじみの暖房器具ではなくて、携帯できる小さなコンロのようなもの。この上にコッヘル(鍋)を載せて沸かした湯で、即席ラーメンを作り、食うのだ。
イメージ優先ならベストチョイスはチキンラーメンなんだけど、私はあまり好きではないので、昨日の買出しでチャルメラを買ってきた。
テントの前に、椅子、テーブルをおき、陣地を構築する。そして厳かな儀式を始めるかのように、ゆっくりとテーブルの上にストーブを組み立て、水を満たしたコッヘルをその上に乗せ、点火する。ストーブからは、想像以上の轟音を発しながら炎が上がり、水を湯に変えていく。・・・おぉぅ・・・いいねいいね。気分が出る。
そして、麺を少し砕いて投入。お馴染みの作成手順で作り上げ、食う!
・・・驚くほど普通の味だ。
いやー、当たり前なんだけどね。でも、こういうところで食うと、うまそうに思うじゃない? でも、案外普通だった! 所詮は即席ラーメンか! ラーメンは出来上がってしまうと、伸びる前に急いで食わねばならないというプレッシャーもあるから、こういうスローな環境ではあまり向かないのかもしれないな。
ま、沸騰の儀式が私には楽しかったからいいか。
食事を終えた私は、しばらく草原でくつろいでいたものの、飽きてしまった。くつろぐことは昨日の降雨前までしていたし、そもそも一晩中寝るためにじーっとしていたので、もうこれ以上じーっとしているのに耐えられないのだ。
よし、帰る準備でもするか。
まだ朝7時前だというのに、私はごそごそとテントの撤収を開始した。まだ他の皆さんは寝ているようなので、こっそりと行う。まだ雨で濡れている部分もあったので、とりあえずは水をできるだけ取り除いた後で、太陽に向けて干すことにした。
干している間に、キャンプ場内を散歩して回ることにした。高原植物と、アブと、トンボと、蜂とに囲まれながら、牧草地を歩く。太陽が高くなってきて、日差しが「暖かい」から「暑い」に変わってきた。これは早く出発しないと、酷暑の中をバイクで走ることになるな。
30分ほど歩いたり休んだりして、テントまで戻り、撤収。ネットが破れていたので、積載が大変だったけど、予備に持ってきていたゴムコードとミニネットでなんとかなった。備えあれば憂い無しだな。
帰りは特に事務所に連絡はいらないそうなので、ちょうど起きてきたアドレス氏に別れを告げ、私は帰路に着いた。
帰り道は、一度佐久市街までもどって、少し南下してR299に乗り、十石峠という峠を経て、本庄児玉ICから関越道に乗って東京へ帰るプランだ。
十石峠までの道は、途中までは私好みの広く、緩やかなカーブの続く田舎道だったんだけど、山奥深くに行くにしたがって、徐々に道幅は狭くなり、ブラインドコーナーの多発する山道になった。私はビビリなので、ブラインドコーナーは最徐行だ。チンタラチンタラと進んでいくと、次々に地元長野のライダー軍団に抜かされた。うーん、この道をあんなに飛ばしていくとは、命知らずなのか、ニュータイプなのか・・・おそろしや。
そんな走行を1時間強つづけると、十石峠に到着した。峠には展望台とトイレが設置してあり、一応休憩することができるようになっていた。展望台からそこそこ綺麗な景色を眺めたり、私を追い抜いていったライダーの人々と会話をしたりして、一休み(キャンプ道具を積んでいると話しかけられやすい気がする)。
一休みし終えた私は、今度は峠下りだ。登りと全く同じように、チンタラ進んで行く私を、地元ライダーが追い抜いていく構図を繰り返しつつ、やがて普通の田舎道に降りたった。
あとはもう、ただひたすら道路を東進するのみである。すっかり太陽も上がりきり、凄まじく暑くなってきた道路の上を、淡々と進む。途中休憩予定だった、「道の駅上野」「道の駅万葉の里」には、多数の地元ライダーがたむろっていたので、鮮やかにスルー。どちらも非常に小さな道の駅で、例えば「道の駅どうし」や各地のPAのような見物の楽しさは少なそうに見えた。
で、高速までに経由する最後の道の駅、「道の駅上州おにし」で休憩を取り、カキ氷を食べてクールダウンをした。うーん、カキ氷1杯が350円かー。高いわ!
そして、あとは高速を走るのみ。ETCのない私は、正規料金を愚直に払って高速に乗り、わき目も振らずに東京へと帰り、今回の旅は幕を閉じたのでした。
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ってことで、初キャンプツーリングは成功のうちに終わった。
反省点は・・・やはり積載だな。積載そのものの方法もそうだし、荷物そのものを減らすため厳選も必要だ。でも、キャンプ自体はとても楽しかったから、また是非行きたいな。せっかく買ったキャンプギアも使い倒さないといけないし。
ただ、今回は幸い涼しかったものの、この季節はキャンプは暑くて辛そうだということも想像できた。だから、次は秋になってからにしようかなぁ。目的地は蓼科か山梨あたりが有力候補かな!