年の瀬も押し詰まった今日この頃皆さんいかがお過ごしでしょうか。
ってなわけで、年末年始年度末年度初め恒例、要するに毎年やる時期がいまひとつ一定でない「蝿公国的オンラインゲーム大賞」を、今年も発表!
今年やったオンラインゲームを可能な限り思い出すと・・・
Vanguard(VG)
ロード・オブ・ザ・リングオンライン(LotRO)
モンスターハンターフロンティアオンライン(MHF)
三国志オンライン(3ON)
エバークエスト2(EQ2JE)
ノミネート作品はこんなところかな? 他には思い出せないので、仮にプレイしていたとしても、思い出す価値もないほど印象に残らなかった・・・ということにしておこう。
以上のノミネート作品を見てみると、今年の傾向は、1)MO/MMORPGばかり、2)日本語版が多い、という傾向が見て取れる。日本のMMORPG界の発展を願う私としては、大変嬉しい傾向だ。特に量産型クリックMMORPGではないものの選択肢が増えてきたことは、大変評価したい。
さて、この作品群に序列をつけるとすると・・・下位は簡単だけど、上位が難しいところだな。抜きん出たのもなければ、がくんと下がるものもない。うーん、ちょっと上位に差をつけられないので、今回は
入選:VG、MHF、EQ2JE
落選:LotRO、3ON
という、非常にアバウトな位置づけでお茶を濁すとしよう。
まず落選の2タイトルから。
LotROは、決してできが悪くはないし、良くまとまっていた。ただそのまとまりがあまりにも小さく、全体としてこじんまりとした印象を拭い去れないものになってしまっていたのが致命的だったように思う。ゲームのプレイ体験が薄いものになってしまって、興奮もそこそこ、没頭度もそこそこ、面白さもそこそこ、というような、中庸なゲーム、中途半端なゲームというのが、私の感想だ。私の評価において、同じように中途半端だったVanguardとの決定的な差は、その中途半端の裏返しに、完全だった場合のスケールの大きさが見えるかどうかにあった。
3ON(なんて略し方はするのかも知らない)は、まぁ論外。上記のLotROは、私の記憶にさして残らないゲームとなるタイトルに過ぎないようだけど、そのLotROですら同列に並べたことには申し訳ない気持ちでいっぱいになるくらい、3ONはノミネート作品の中では群を抜いた駄作だ。私はつまらないゲームはプレイしなければいいだけで、別段文字をもって貶める必要はないと思っている。だから多くは罵らないけど、センスがなくてつまらないのと、志がなくてつまらないのでは大きく異なる。一応仮にも日本の大手ゲーム企業が、こんな情けないものを造り、かつ、売っていることには、非難の声を上げざるを得ない。
続いて、入選の3タイトル。
入選タイトルについては、それなりに長く遊び、その感想らしきものをすでにどこかに書いているので、繰り返しになるような内容を、ことさら改めては述べない。ただ入選で悩んだ内容については述べなければ意味不明なので、それに絡む部分を述べたい。
まずVG。3タイトルの中では、最も完成されておらず、最も出来が悪く、最も革新的なゲームだ。公正な判断をするのなら、実際になされた内容のみをもって評価すべきで、その場合VGは他の入選作よりもやや落ちる。だけどVGの掲げた理想の輝きに、ワタクシ、かなり目がくらみました。そしてもうその眩い光輝は失われているんだけど、その光が見えていたときの興奮は今でも鮮明に覚えていて、それで評価が揺れてしまった。この興奮を「ゲームの1要素として評価」すべきかどうか、「興奮させてくれたことに対する評価」をすべきかどうかは、非常に難しいところだけど、私の主観的序列を求めるこのランキングでは、是とした。また、VGは入選3作品の中で唯一のオリジナル作品であるという点も、他2作品と比べたアドバンテージとした。
続いてMHF。オンラインでこれだけ高質なアクションができるRPGはなかった。他媒体で同シリーズを未プレイだった私にとって、この新鮮さはほとんど革命と言ってよく、この一点だけで通常なら年間トップでも間違いはない作品だ。ただMHFの場合、露骨なコンテンツの使いまわし作品であること、オンラインゲームとしての体裁があまりに整っていなかったこと、コンテンツ供給が稚拙だったこと、などが大いに引っかかった。VGとは正反対に、制作運営サイドの理想の低さが落とした影の濃さが、大いに評点を下げている。私としては、理想の低さをもって生み出されたこのゲームを、破格に評価するわけにはいかなかった。
そしてEQ2JE。しばらくプレイしない間に、文句なしに良いゲームになった。ゲームとしての質は、リリース直後とは天地の差がある。リリース直後にプレイし、半ばで挫折した人には、是非もう一度やって欲しい。SOEの回し者ではないけど、EQ2の評価があの時点のもので終わっては、ここまで改善した製作チームがあまりに不憫だ。またゲームそのものの質の高さに加えて、ローカライズの質の高さがすさまじい。ここまでのローカライズをして、どれほどの利益になっているのか心配になってしまうほど、自然な訳になるよう細心の注意が払われている。会話でない部分、例えば情報欄の説明部分とか戦闘ログなんかは、かなりおかしな機械翻訳のままだけど、これらは費用対効果の薄い部分だと判断して、ばっさりと切ったんだろう。妥当な判断だと思う。今後の欧米産MMORPGのローカライズの手本となるべき作品だ。・・・でも、所詮は復帰ゲーム。今年出たゲームを押しのけて1位にしてしまうには、少し抵抗があった。
というわけで、蝿公国的オンラインゲーム大賞2007は、落選2作、入選3作という、あまり面白みのない結果になった。来年はWHOがくるのか、はたまたダークホースが来るのか。なんでもいいから入選ゼロはやめてくれよ! 頼む!